表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われ勇者の専属聖女になりました……けれど私にあるのは10キロの米袋だけです!  作者: 天城らん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/16

6-1 騎士団の食堂

 そうしている間に、部屋がノックされテオ君がやってきた。

 オレンジ色の髪がキラキラと日の光を浴びて輝いている。


千穂ちほ、食堂に案内するよ」


 石鹸の匂いのする清潔感あふれる好青年が、扉の前で微笑むと、私の胸はドキドキした。


(くうっ、朝から何度も尊い姿をありがとう!)


 私は心の中で拝みつつ、ちょっと照れながらテオ君にエスコートされるままについて行った。

 色々考えることはあるけど、後回しにしてご飯を食べよう。

 腹が減っては戦は出来ぬってね。



 テオ君に連れられて来たのは、騎士団の食堂だった。


「千穂は聖女だから城の食堂も使えるし、個別に部屋で取ることも可能ですが、ここ《騎士団》が一番早く開くんで、私はいつも利用してるんですよ」


 テオ君が案内しながら説明してくれた。

 お城の敷地内にある騎士団の建物に、勇者の討伐隊もいるそうだ。

 宿舎も訓練場もあるし、騎士団との連携も取りやすいからだとか。

 食堂は、朝食を食べる騎士たちでにぎわっていた。

 食事は、見慣れたホテルビュッフェみたいな感じの自分で選ぶ洋食だった。

 パンとパスタとサラダ、卵と厚切りのローストビーフみたいなのが並んでいる。


(わお、朝からがっり肉なのね。贅沢~)


 ホテルのビュッフェみたいと言ったものの、量が山盛りでハンパなかった。

(騎士団の食堂だから、人数もいるし猛烈に食べる人が多いんだろうなぁ)

 弟のユウちゃんも、めちゃくちゃ食べるけどその比ではない感じに思った。


 私は、それらのずらりと並んだメニューを見て、お腹がぐうとなった。


「さあ、選んでください」

「うん。いっぱい食べるよ!」


 私は、自分で作らないで食べられる朝食をありがたく思いながら取り皿に選んでいく。


(どれにしようかな。ミートソースのパスタも美味しそうね)


 昨晩の夕食から食べてないから、目移りしちゃう。

 テオ君の前で、あまりガツガツ食べるのも恥ずかしいと思ったけれど、空腹には勝てずに取り皿にいっぱい盛ってしまった。

 ミートパスタは控えめに、あとはバケットとスクランブルエッグとレタスとベーコンを取った。

 欲張りすぎたかな? 


(ミートパスタは、ボロネーゼって言うやつかな? ひき肉が絡んでいてすごく美味しい! ベーコンはカリカリで、スクランブルエッグもふわふわで、バケットにのせて食べたらたまらないよっ!)


 私は夢中で食べてしまったけれど、向かい側にテオ君がいるのを思い出し、ハッと手を止めた。


(大人の女性としては、はしたなかったかも?)


 ちらっとテオ君の方を見れば、それは全くの杞憂きゆうだった。

 テオ君、運動量が多いせいかバケットに肉を挟んだものの他に、山盛りにパスタもモグモグしている。

 弟の大学生のユウちゃんもいっぱい食べると思ってたけど、テオ君はそれより食べていて驚く。

 だから、つい反射的に弟に言うように言ってしまう。


「勇者様、お野菜も食べないとだよ? お・や・さ・い!」

「ぎくっ、生野菜はどうも苦手で……」

「ならせめて温野菜を食べなさいよ。ポトフとか。芋は野菜だけど、野菜のカウントには入れません。葉っぱを食べなさい」

「はい……」


 そう言って、テオ君がしぶしぶサニーレタス的な葉っぱをお皿に少し持ってきて、しょぼんとして食べ始めた。


(そんなに、生野菜が嫌いだったとは……)


 私は、サニーレタスをくわえた勇者様がおかしくて、笑いをこらえる。

 だって、魔獣よりも生野菜が苦手そうなんだもの。


「そうだ。カリカリのベーコンとか、半熟卵をのせるとサラダも美味しく食べられたりするから試してみてね」

「……千穂は、なんだかおかあさんみたいですね」


 テオ君は、生野菜をお肉で流し込んでからつぶやく。


「あ、ごめんね。長く弟の世話をしてたからクセなのよ」

「千穂には弟がいるんですね。いくつですか?」

「弟は19歳で大学生だよ」

「えっ、千穂がそのくらいだと思ってたのですが……?」

「私は23だよ」


 それを聞いて、テオ君は盛大にせき込んだ。

 それは、どういう反応??

 世話焼きだし、もっと年上だと思ってたってこと??


「す、すみません。年上だったんですね」


 テオ君は、あわわと急にしどろもどろになった。

 ああ、年下だと思っていたのね。



 聞けば、テオ君は私より二つ年下だった。

 私としては『あ、やっぱり』という感じ。

 なんとなく、弟と重なるせいか、高身長で体格もいいけど年下っぽいと思ってたんだ。

 私は、自分の勘が当たっていたことにうんうんと心の中でうなずいた。


「千穂はすごく可愛らしいので、てっきり年下だと思い込んでました……」


 テオ君は、ちょっと顔を赤らめながら言う。

 私は、ふふっと笑って『気にしないで』と言った。

 かわいいなんて言われてちょっとときめいちゃったけど、たぶんテオ君が言う『かわいい』は背丈のことだ。


(ちっちゃい子をカワイイっていうのと同じよね。私、身長が153センチしかないからなぁ)


 多くの人が私をかわいいという場合は、背丈が小さくてかわいいの意味だと理解している。

 だって、顔はごく平凡だという自覚があるもの。


「年上だからって、気にしないで。今まで通りでいいよ」


 お姉さんだから、お世辞を真に受けたりはしないのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ