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創造神の遊戯  作者: 面白味
創造神初めての冒険
41/54

39話 別格の力

ここらへんから書くのが楽しくなってくるくらいに熱い戦いが起こるのでぜひ読んでください。



―――「《白煌突はくこうとつ》!」


その叫びと同時に、結界内に光が現れた。


シルヴィアの槍が振るわれた――

いや、振るわれたように見えただけだった。


次の瞬間、ヴォルクの右肩が爆ぜるように裂け、血と肉片が宙を舞った。



「――――がっ!!?」


ブシュッ!


遅れて、血が噴き出した。


胸、肩、腹、太腿。


一撃ではない。

同時に、十数発の突きがヴォルクの身体を貫いていた。


(……見えない……!?)


ヴォルクは理解するより先に、膝をついた。

視界が揺れ、結界内の景色が歪む。


「な、何を……した……!」


シルヴィアは静かに、しかし確実に一歩前へ出る。


白銀の魔力は、今や眩い金白色へと変質していた。

まるで星の煌めきを現したかのような、圧倒的な輝き。


「“銀閃”は私の速さの到達点。

 ――そしてその先にあるのが、“煌閃”。」


彼女の槍が鳴動する。

音すら、置き去りにするほどの光の速度。


「視認不可、思考追従不可。

 これが私の本気………あなたに勝ち目はないわ。」


ヴォルクは歯を食いしばり、剣を握り直す。


「……ふざけるな……!!

 私は……そんな強さ、認めないぞォ!!」


雄叫びと共に、ヴォルクは全身の魔力を剣へと叩き込む。

赤黒い魔力が渦を巻き、結界内の空気が悲鳴を上げた。


「これで終わらせる!!

 《狂心穿断きょうしんせんだん》!!」


剣が振り下ろされる。

その斬撃は荒々しくも、確実に命に届く威力を持った攻撃だった。


地面が割れ、結界内にヒビが入る、

直線上の生物を消し飛ばすには十分な必殺の一撃。


――だが。


「……遅いわ。」


シルヴィアは、すでにそこにいなかった。


「なっ――」


次の瞬間、ヴォルクの背後。


「《煌閃槍技……》」


静かな声。

それが“死刑宣告”だった。


「――《天煌一閃てんこういっせん》」


またもや結界内に光が駆け巡った。


ただ一本の、細い光の線。

それはヴォルクの胸を――正確に、心臓を貫いていた。血が、遅れて溢れ出す。



時間が止まったかのような沈黙。


ヴォルクはゆっくりと、自分の胸を見る。



「……あ、ぁ……」



膝から崩れ落ち、剣が地面に転がる。


血が、静かに広がっていく。


「……はは……」


かすれた笑い。


「……やはり……

 Sランクは……桁が……違う……な……」


シルヴィアは槍を引き抜き、静かに構える。


「あなたは強かった。

 ……でも、相手が私だったのが運の尽きだったようね。」


ヴォルクは最後に空を仰ぎ、

体が徐々に崩れていきその場に死体は残らなかった。


――同時に。


彼と共鳴していた魔物たちが、

一斉に灰となって崩れ落ちていく。


結界内に、静寂が戻った。


冒険者たちは呆然と立ち尽くし、

ただ一人立つ“閃槍姫”を見上げる。


シルヴィアは一度、深く息を吐いた。


「……時間は、あまり残されていないわね。」


彼女の視線は、

女王が向かう遥か彼方――都市アーリスの方向へ。





 ヴォルクとの戦闘が終わり、シルヴィアは槍を肩に担ぎ直した。

 結界の中に残っていた高ランク冒険者たちは、まだ戦闘の余韻に呆然としていたが、彼女の鋭い声がその空気を一変させる。


「ぼさっとしている暇はないわ。

 目標は石喰らいの女王の侵攻を止めること。追える者は全員、すぐに向かいなさい」


 一瞬の沈黙ののち、冒険者たちは我に返り、次々と頷いた。


「了解!」

「女王を止めるぞ!」


 彼らは散開し、女王が向かった方向へと全力で走り出す。

 その背中を見送ったシルヴィアは、すぐさま視線を森へと向けた。


(……次はラフィーナたちを)


 赤犬の足止めは倒した。

 だが、その残党はまだ生きている。

 結界外に残された冒険者、特にラフィーナたちが無事とは限らない。


 シルヴィアは地面を蹴り走り出した。


 風を裂き、木々の間を縫うように――

 常人では影すら捉えられぬ速度で、彼女は森を駆け巡る。

 

 血の匂い。

 折れた枝。

 踏み荒らされた地面。


(……戦闘の痕跡。しかも新しい)


 そう確信した直後、視界の先に二つの人影が映った。


 若い女性と――

 その傍らに立つ、一人の男。


 男は背が高く、落ち着いた佇まい。

 だが、その立ち姿が一瞬、シルヴィアの脳裏に《赤犬》という単語をよぎらせた。


(……敵!?)


 判断は一瞬。

――音速を超えた白銀の閃光。


「《銀閃槍技・穿光せんこう》!」


 シルヴィアは減速すらせず、

 槍を投擲した。


 狙いは正確無比……男の額。


 ――次の瞬間。


 カァンッ!!


 澄んだ金属音が森に響き渡った。


 投げ放たれた槍は、

男の手に握られた短剣によって難なく弾かれていた。 


「……危ないですね」


 低く、落ち着いた声。


 その顔を見た瞬間、シルヴィアの瞳が大きく見開かれる。


「……な、何……?」


 赤犬ではない。殺気も敵意もない。

 シルヴィアは即座に距離を取る。

 背筋を冷たい汗が伝った。


(受け止めた……?

 今のを……?)


 その瞬間――


「待ってください! シルヴィアさん!!」


 横から、必死な声が割って入った。


 ラフィーナだった。


 彼女はシルヴィアの前に飛び出し、両手を広げる。


「その人は敵じゃありません!

 この人が……私たちを助けてくれたんです!」


 シルヴィアは即座に槍を引き戻し、深く息を吐いた。


「……ごめんなさい。

 完全に私の早とちりだったわ」


 男――エドガーは、特に気にした様子もなく軽く肩をすくめる。


「いえ。

 この状況です、無理もありません」


その返答に、シルヴィアは内心で舌を巻く。


(……この余裕。

 ただ者じゃないわね)


 改めて周囲を見渡すと、

 地面には赤犬の構成員と思われる遺体が点々と転がっていた。


 どれも、抵抗した形跡すらない。


 シルヴィアは眉をひそめる。


「それで?

 私が結界に閉じ込められてから、何があったの?」


 ラフィーナは一歩前に出て、落ち着いた声で語り始めた。


「結界の外に出たあと、すぐに赤犬の連中が追ってきました。私たちは全員で応戦しましたが……正直、相手は手練れが多くて」


 ぎゅっと拳を握りしめる。


「このままじゃ押し切られる、と思った時です。

 ――エドガーさんが現れました」


 ラフィーナはエドガーを見る。


「エドガーさんは……

 本当に、一瞬でした。

 そこにいた赤犬の全員を、瞬殺しました」


 シルヴィアの視線が、再びエドガーへと向けられる。


(全員……?

 この人数の副首領の配下を……?)


 表情には出さないが、内心では強烈な警戒と興味が湧いていた。


「その後、他の冒険者たちには女王の元へ向かうよう指示して……

 私は、エドガーさんがなぜここにいるのか聞いていたところです」


 話を振られ、エドガーは静かに口を開いた。


「鉱山の労働者たちの避難が、

 すべて完了したので戻ってきました」


その言葉に、

シルヴィアは目を見開いた。


「……避難を?」


「ええ。全員無事に、安全圏まで」


あまりにも当然のように言うその態度。


(この状況で……?

 女王が出現している最中に……?)


シルヴィアは確信する。

――この男は、間違いなく規格外だ。


「……ありがとう」


シルヴィアは、はっきりとそう言った。


「あなたのおかげで、最悪の事態は避けられた」


「礼には及びません」


 エドガーは頷く。

 シルヴィアはすぐに理解した。


(この男……

 最初から“女王”を見据えている)


 森の奥、

 大地を揺らしながら進む石喰らいの女王の気配が、はっきりと伝わってくる。


 シルヴィアは槍を構え直し、静かに告げた。


「……状況は最悪だけど、

 頼もしい援軍がいるみたいね」


 ラフィーナは息を呑み、

 エドガーは変わらぬ表情で前を見据える。


 そして――

 まだエドガーを除く人々は知らない。


 この戦場には、

 さらに“別格”の存在が近づいていることを。


スプラオモロイ

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