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創造神の遊戯  作者: 面白味
第一章 創造神初めての冒険
40/55

38話 Sランクの全力(一瞬)

文化祭の練習で書く時間ありませんでした。

すいません。

こっから様々な戦闘が終盤へ向かっていくのでぜひ読んでください。

感想お待ちしております。



ヴォルクが“狂犬血(ブラッドハウル)”による麻薬強化によって変貌したその身体は、既に「人」の形をぎりぎり保つ程度の異様さだった。


黒い血管が皮膚の上を這い、紅い魔力が熱とともに溢れ出す。

彼が一歩踏み出すだけで、地面が焼け、結界がきしむ。


「シルヴィアァァァ……!!」


叫びとともにヴォルクの速度が一気に跳ね上がった。



――ギンッ!!



「――っ!」


紅い残光とともに剣が振り抜かれ、シルヴィアは間一髪身体を捻ってかわす。

だが避けきれなかった衝撃波が弾丸のように飛び散り、彼女の頬をかすめた。


――鮮血が一筋、舞った。


これまでのヴォルクとはまるで別人だ。


速度、力、魔力、殺意――

その全てが一段階どころか二段階は跳ね上がっていた。

シルヴィアがこれほど明確に傷を負うのは今までの人生でも稀だった。

ヴォルクはその血の匂いを嗅いだ瞬間、狂喜した。


「ははッ……! これが! これが私の力だ!

 ようやくあなたも、傷を負いましたねぇ!!」


ヴォルクの声は濁り、低音が混ざり、

人間のものとは思えない異質な響きを帯びている。


剣を横薙ぎに振るう一撃。

ヴォルクの魔力がさらに膨張し、剣に黒い紋様が這い寄り、まるで魔物の爪のように変形する。



「《狂犬剣技・咆哮裂断(ハウリング・ロアー)》!!」


斬撃というより、巨大な魔獣の咆哮にも似た衝撃波がシルヴィアへ迫る。

受ければ動きを封じられ、一瞬で追撃が来る。


だが――


シルヴィアは落ち着き払っていた。


「ふぅ……。やっぱり厄介ね、麻薬の強化。」


槍先にそっと魔力を乗せて横に払う。


「《銀閃槍技・流光壁》!」


槍から溢れた光が壁となり、ヴォルクの衝撃波を完全に相殺した。


ガァァァン!!!


槍から溢れた光が壁となり、ヴォルクの衝撃波を完全に相殺した。


だが――攻撃は止まらない。


ヴォルクの姿が視界から掻き消えた。

空気が裂ける音とともに背後に出現。


シルヴィアは咄嗟に槍で受けるが、

衝撃が槍の柄を通じて腕を痺れさせる。


――重い。

ただ重いだけではない。

麻薬によって強化された魔力と筋力により、斬撃そのものが“質量”を持ったかのよう。


ヴォルクは愉悦に満ちた笑みを浮かべる。


「これが……今の私の力だ。

 Sランクがどうした……! Sランクとて、所詮は人間。殺すことは可能!!」


獣のような踏み込みから繰り出される斬撃が、

嵐のようにシルヴィアへと降り注ぐ。


「《血走刃(ブラッド・スラッシュ)》!」


「《爪牙連斬(ルプス・ファング)》!」


「《狂紋衝波(バーサークインパクト)》!!」


剣から放たれる衝撃波が連続し、

地面をえぐり、破片を吹き飛ばし、

シルヴィアの白銀の鎧に細かな欠けを生じさせた。


シルヴィアは槍を回転させ、

飛来する攻撃をほとんど弾き返しているが――


(このまま足止めされるようならまずい……)


視線を一瞬だけ周りに走らせる。



周囲では──



「ぐあっ!?」

「くそっ……倒しても倒しても蘇ってきやがるッ!」

「誰か……援護を!!」


結界内に閉じ込められた高ランク冒険者たちが

召喚魔物の群れに必死で抗っていた。


結界外では――

見えるはずはないのに、まるで察するかのように、

ラフィーナたちが必死に走り、赤犬の連中から逃げつつ女王の後を追っている。


シルヴィアの表情が少し歪みが見え始めた。


(このままじゃ、ラフィーナたちに被害が出るまで時間の問題……

 それに私がここで足止めされていてはアレを止めることはできたない。)


彼女はヴォルクの連撃を受けながらも、

一瞬の隙に状況を俯瞰した。


ヴォルクは全力でシルヴィアに集中している。

魔物たちは不死で、倒しても倒しても蘇ってくる。

そして結界内の冒険者たちもすでに消耗し動きが鈍くなってきている。


(そして……女王。

 あれを止めるための私の切り札……温存するつもりだったけど……)


シルヴィアは深く息を吸う。


「どうしました! もう息が上がって来ましたか!?

 Sランクの名は、こんなものですかぁ!!」


暴風のような速度で踏み込み、剣が黒い軌跡を描く。



「……仕方ないわね。」


その声は静かで、研ぎ澄まされた刃のようだった。

槍の穂先が、かすかに白光を放ち始め――

周囲に散乱していた砂塵が、風もないのに浮き上がり、光が舞いだした。


「本当はアレ(女王)のために魔力を温存しておきたかったけど……

 この状況じゃ悠長なこと言ってられないわね。」


ヴォルクが怪訝そうに眉を寄せる。


「……何をブツブツと言っているんです?」


シルヴィアはゆっくり槍を持ち直した。

その動きは滑らかで、重圧が一切感じられない。


まるで――

“今までの戦闘が本気ではなかった”と言わんばかりに。


「少しの間だけ……力を解放するわ。」


結界が揺れだした。

空気の温度が数度上がった。

周囲で戦っていだ魔物でさえ、動きを止めた。


次の瞬間、ヴォルクの表情が強ばる。


シルヴィアの身体から放たれる魔力が、

桁違いに濃く、静かに……しかし確実に空間を圧し、(ミネルヴァ)に集まっていく。


「な、なんだ……この魔力……?」


金髪が風に舞い、瞳は宝石のような蒼に染まっていく。

シルヴィアは透き通る声で宣言した。


「《輝閃槍技・天墜(てんつい)ノ型――銀星ノ戦慄シルバースターレクイエム》」


結界内全体がその力に驚く。

高ランク冒険者も、魔物も、ヴォルクでさえ一瞬動きを止めるほどの圧。


槍の刃が、音もなく白銀から純白へと変わり――

その周囲に幾十もの光粒子が舞い始めた。


観た者は誰もが悟るだろう。


この瞬間、シルヴィアは生物としての“格”を上げた。


ヴォルクは一歩後退し、胃の奥が冷たくなるのを感じた。


「――っ……!」


シルヴィアは瞳を閉じて一言だけ呟く。



「……煌閃槍技……」



そして……

彼女は目を開く。


その瞬間――

結界内に光が駆け巡った。



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