34話 大きすぎる壁
いやぁ~テスト終わり最高ですな。
ゲーム楽しすぎるけど、こっちもしっかり書いているので悪しからず。
地鳴り――。
いや、“大地そのものが悲鳴を上げている”かのような重低音が周囲を震わせていた。
吹き荒れる土埃の中、漆黒に染まる魔力を纏った剣を構え、ただ一人――黒鋼の翼のカイルが女王の真下に立っていた。
全長100km。
古代に生き、文明すら喰らい尽くしたと伝わる石喰らいの女王。
その巨大な体の一部――たった“首”だけが地上へ出ているだけで、山を越える圧倒的威圧感を放っていた。
「……なるほど。さすがに、キツイな」
カイルは喉の奥で笑い、体から黒い戦気を噴き上げる。
「いくぞ!!」
黒鋼――
鋼系統の魔力を極限まで凝縮し、刃を漆黒へと進化させる秘奥義。
この状態のカイルは、Aランクの魔物程度なら一撃で粉砕できる。
地面を蹴った瞬間、黒い残像が数十に見えるほどの速度で、カイルは女王の鱗へ一直線に斬りかかる。
「――黒鋼連刃ッ!!」
漆黒の剣が光を裂き、真っ直ぐに女王の体表を斬りつける。
刃が触れた瞬間――
嫌な硬質音だけが響いた。
――ガキィンッ!
「……傷、一つ、つかねぇ……?」
カイルの眉が不覚にも跳ね上がる。
主の石喰らいですら、黒鋼なら内部から破壊できた。
だが女王の外殻は、それすら寄せ付けない。
表面に刃が触れたと思った瞬間、逆にカイルの剣の方が弾かれ、腕に痺れが走った。
――硬すぎる!!
「っ……はは、マジかよ……」
言葉とは裏腹に、表情には焦りはなかった。
だがその目の奥に宿るのは、これまで味わったことのない“壁”への実感。
女王はカイルの攻撃を受けたことすら気付かないように、巨大な身体をゆっくりと持ち上げた。
砂や岩が滝のように落ちる。
その質量の動きだけで、暴風が発生し木々がなぎ倒されていく。
「おいおい……ただ動いただけでこの威力かよ」
カイルは踏ん張りつつも、目を細めた。
完全に、格が違う。
女王の上半身も地上に現れた――
あたりの地形が、まるで呼応するように崩れ落ちていく。
峡谷が裂け、地面が波打ち、岩山が崩れ、平地が沈む。
それを背にしながらも、カイルは剣を構え直し、深呼吸をし、自身を落ち着かせた。
「けどよ……俺はここで逃げるわけにはいかねぇんだよ!」
黒鋼の魔力が再び立ち上がる。
が――その時だ。
女王の巨大な頭部が、ぎし……ぎし……と不自然な角度で持ち上がった。
体の半分以上が地上に出てきている。
そして――
女王の目が開いた。
濁った灰色の瞳。
生物としての感情も知性も持たない、ただ“捕食”するためだけに生きてきた巨大な獣の眼差し。
「ぐっ……!」
視線が向けられただけで、足元の岩が粉砕されるような圧力。
カイルはすぐに黒鋼で防御しなければ、その視線だけで身体が潰れていたかもしれない。
(やべぇ……ただの視線でこれって……)
女王は、カイルを全く敵として認識していなかった。
――まるで虫を見るように。
いや、それすら興味の対象にすらならない。
女王は周囲を見渡し……
次の瞬間、巨体がピタリと静止する。
その視線が、一点を捉えた。
それは――
都市アーリス。
人口10万人を超える、鉱山に最も近い巨大都市。
そこには空たちが逃がした労働者も、街で暮らす無数の人々もいる。
完全に“餌場”として認識した。
そして動き始める。
女王の身体が、少しだけ前に出た。
その少しの進行で、木々が根こそぎ折れ、巨大な津波のように土砂が押し寄せる。
「……ッ!」
カイルは咄嗟に飛び上がり、押し寄せる土砂を跳躍でかわす。
だが、女王は止まらない。
ゆっくり進んでいるだけで――
その進行方向にあるものすべてを押し潰し、飲み込み、破壊していく。
「……おいおい、ふざけんなよ!」
カイルの表情は険しくなる。
あれが街に到達すれば、軽く数万人単位で人が死ぬ。都市も完全に崩壊する。
行かせるわけにはいかない。
「おいバケモンっ……お前の相手は俺だつってんだろ……!」
カイルは黒鋼の魔力を再び引き上げ、一気に加速する。
黒い稲妻のような速度で女王の外殻目掛けて突撃し、全力の斬撃を叩き込む――
「ウオオオオオォォッ!!」
渾身の一撃を叩き込んだ。
だが。
――――ガアァァンッ!!!
またも硬質な音。
剣が折れはしないものの、刃は通らず、衝撃が逆にカイルへ返ってくる。
「くっそ……どうなってんだよその身体は……!」
女王は、微塵も反応しない。
ただ、都市の方向へ――生物たちが密集する方向へ――
まっすぐに進んでいく。
「止まれよ……このまま都市には行かせねぇぞ……!!」
カイルは歯を食いしばった。
黒鋼が使える魔力はあと数分しか持たない。
だが、それでも。
鋼の翼が羽ばたくと、黒光りする魔力が噴射され、カイルは女王の頭部めがけ高速で突撃する。
「黒鋼――黒連刃ッ!!」
数十もの斬撃が黒い閃光となって空間を叩き斬る。
だが――すべてが虚しく弾かれた。
衝撃波だけが女王の体表をかすめ、その巨体に吸い込まれるように消える。
(……斬れない。マジで斬れねぇ……!
黒鋼ですら通じないなんて……!)
それでもカイルは一歩も退かない。
都市へ向かう女王の進行方向に回り込み、全力で攻撃を続ける。
斬って、
叩き、
突き、
飛び、
もう一度斬る。
しかしその全ては、女王の進行速度を止めるには至らない。
「おい……止まれ……止まれって言ってんだろッ!!」
拳が震える。
剣が震える。
歯が軋む。
それでも女王は歩みを止めない。
女王は街へ向かい続ける。
魔力も残りわずか。
カイルの身体も限界が近い。
それでも――
彼は剣を構える。
「空と約束したんだ……俺がお前を引き止めるってな!」
鋼の翼がもう一度だけ光を放つ。
カイルは吠えるように叫び、女王を追いかけた。
この後の展開はいくつか考えているけどどれも書きたすぎるからめっちゃ迷ってます笑




