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創造神の遊戯  作者: 面白味
創造神初めての冒険
25/54

24話 馬車の中で

テストが終わったのでまた書き始めました。

pvも気づいたら1000を超えていてびっくりです。

これからもぜひよろしくお願いします。


ラグンは門の近くにつくと3人に向かって言った。

「鉱山までの馬車を用意しました。乗ってください。」


通りに停められたそれは、一般的な輸送用のものとは違い、細部まで手入れが行き届いた高級仕様だった。

頑丈な黒鉄の枠組みに魔導強化の刻印が刻まれ、木の表面には魔石を埋め込んだ紋様が淡く光っている。


「おお……これはなかなかの代物ですね。」

エドガーが感嘆の声を漏らす。


ラグンは鼻を鳴らし、得意げに言った。

「これは商会が特注で造らせた馬車です。馬は三頭、どれも魔力で強化されていて、通常の倍の速度で走ります。荷台にも振動を抑える魔法を刻んであって長旅でも安心です。歩きなら鉱山まで丸一日ですが、これなら二時間もかからないと思います。」


ラグンは御者台に座り、手綱を握る。


空は無言で馬車の側面を指先でなぞった。

魔力の流れが確かに感じられる。刻印の精度も高い。

「……悪くない造りだな。」と短く呟き、

空、カイル、エドガーの三人は後部の車内へと乗り込んだ。



---

「それでは出発しますね」

ラグンが馬に合図を送ると、三頭の馬が力強く嘶き、蹄が地面を蹴った。

馬車は街を離れ、やがて広大な草原を駆け抜け始めた。


外の景色が流れていく。緩やかな丘、点々と並ぶ樹木、遠くに霞む鉱山の影。

心地よい揺れがあるものの、魔法による制御で車体の揺れはほとんど感じられない。


「快適だな。」

カイルが窓から風を受けながら呟く。

「こういう静かな旅も悪くない。」


「そうだな。」と空は応じた。

そして空は少し力を手に込める。


彼は心のなかで唱えた。

空気が一瞬震える。

目に見えない薄膜のような結界が、馬車全体を覆う。


――【空間遮断結界ノイズ・シェル。】


馬車の外を覆うように、薄い膜の結界が展開された。これにより外部からの視認、音、そして魔力の感知までも遮断する。敵意あるものに近づけない本能を埋め込んでしまう能力。

空の許可なしでは誰も気づくことない完璧な術式。


もちろん、魔法を使ったことはカイルやラグンに気づかれることはない。エドガーだけが一瞬視線を送り、軽く頷いた。

「……なるほど、備えあれば憂い無し、ということですな。」

小声で囁く。


空はそれに口角をわずかに上げただけで、特に返事はしなかった。



---



「しかし、空。」

外の景色を見ていたはずのカイルがふと声をかけてきた。

「お前がEランクってのは、どう考えてもおかしいと思うんだが何か隠してないか。」


カイルが空に疑問をいうが

空は視線を外に向けたまま、ごまかすように言う。

「そうか?」


「ああ、お前はどこか人間離れしてるところがある。昨日の蹴り……あれはどう見ても常人の動きじゃなかった。」


「……さて、何のことだったかな。」

空はとぼけたように答え、目を閉じた。


「……まぁ、俺はお前が強いことは、最初に会った時から薄々感じていた。」

カイルはそう言いながら、ふと真剣な表情に変わる。

「だがな、強さってのは隠すと余計に面倒ごとを呼ぶ。変な奴らに目をつけられねぇように気をつけろ。」


「忠告として受け取っておく。」


カイルはそれ以上突っ込まず、肩をすくめた。

「はぁ……だが、俺は空が何者でも別に気にしてないから安心しろ」

カイルはそう言うとまた外の景色を眺め始めた。


ある程度時間がたつと、次はエドガーがカイルにたいてし口を開いた。

「カイル様は普段、どのように依頼をこなされているのですか?」


「俺か? そうだな……基本は黒鋼の翼の仲間と一緒にだ。あいつらとは長年付き合ってるし、頼りになるし、戦いも息が合う。だが今は全員休暇中だ。だからこうして、お前たちと同じ馬車に乗ることができている。」


エドガーは不思議そうに聞き返す。

「休暇中ですのに我々の依頼を手伝って……。休まなくてもよろしいのでしょうか?」


「まぁな…。俺は動くことが好きだから休みの時でも1人で依頼を受けることがあるぞ」


エドガーは微笑みを浮かべる。

「なるほど、では本日は特別な共闘となりそうですな。」


「そういうことだ。」

カイルは拳を軽く叩き合わせた。

「まっ、俺としては昨日の借りを返すいい機会だと思ってるぜ。それに、気になることもあったしな。」


「気になる?」

エドガーが尋ねる。


「空がどんな戦いをするのか、もう少し見てみたくなったんだよ。」

カイルの瞳がわずかに光る。戦士特有の血が騒ぐような表情だった。


空は微かに笑みを返すだけだったが、その横顔にはどこか楽しげな気配があった



---



二時間の道のりは驚くほど静かに過ぎた。

森を抜け、山肌に沿って進むと、やがて岩肌がむき出しの谷間に広大な施設群が見えてきた。


それが鉱山だった。


坑道の入口がいくつも口を開き、周囲には木造の宿舎や作業場、資材置き場が並んでいる。煙突からはかすかな煙が上がり、人々の生活の匂いが漂ってきた。

ラグンが3人に向かって説明する。

「ここがダリオ商会が保有する鉱山。ロッキド鉱山です。主に鉄などの鉱石が採れるんです」


馬車が止まると、宿舎の扉が開き、ぞろぞろと労働者たちが姿を現した。

屈強な男たち、煤にまみれた服を着た者、疲れを隠せない顔の者――。


「おお、ラグン。連れて来てくれたのか!」

「冒険者だ!」


口々に声が上がり、彼らの目には安堵と期待が混じっていた。


ラグンが馬車から降り、胸を張って仲間たちに告げる。

「この方々が、今回依頼を受けてくれた冒険者の方々です。これで鉱山もう大丈夫なはずです!」


人々の間にざわめきが広がる。

その中心に立つ空、エドガー、カイルの三人を見て、労働者たちは頭を下げ、手を合わせる者までいた。


「……思ったより歓迎されてるな。」

カイルが苦笑する。


「当然でございます。彼らにとっては我らが頼りですから。」

エドガーが応じる。


空は無言のまま群衆を見渡し、静かに息を吐いた。

(……人の期待、か。こういうのも悪くないな。)


鉱山での一幕、もうすぐ始まろうとしていた。



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