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創造神の遊戯  作者: 面白味
第一章 創造神初めての冒険
22/55

21話 麻薬の力


グロックとリューセル、二人は互いに目を合わせ、懐からあるものを取り出す。


「……やるしかねぇ」

「あの人に殺されるくらいなら、これに頼るしかないな」


彼らが取り出したのは小さなガラス瓶だった。中には濁った赤黒い液体が揺れている。

グロックは躊躇なく蓋を噛み千切り、中身を一気に飲み干した。

リューセルも同じように喉へ流し込む。


ゴク、ゴク……!


次の瞬間、二人の全身が震え、血管が浮き上がる。筋肉が異常な速さで膨張し、皮膚の下を赤黒い光が走る。リューセルの目は血走り、グロックの皮膚は紫色に染まっていった。


「うおおおおおおッッ!!!」

「はぁぁぁぁッッ!!!」


周囲に圧迫感を伴う異様な気配が溢れ出す。


カイルは剣を構えたまま低く呟いた。

「……麻薬か」


少し離れた場所から見ていた空も、同じ言葉を漏らす。

「ふむ……やはり、ああいう奴らは持っているもんだな。顔つきまで化け物になってるじゃないか」


空は再び2人に向けて鑑定を行った。



---


【名前】グロック

【種族】人間(麻薬強化状態:異常)

【年齢】34

【レベル】52

【体力】1480 → 2960(異常↑)

【魔力】720 → 1440(異常↑)

【攻撃力】1390 → 2780(異常↑)

【防御力】1520 → 3040(異常↑)

【俊敏性】880 → 1760(異常↑)

【精神力】310→155(異常↓)

【スキル】怪力/肉体強化


【名前】リューセル・カルネア

【種族】人間(麻薬強化状態:異常)

【年齢】29

【レベル】53 → 106(異常↑)

【体力】1280 → 2560(異常↑)

【魔力】1050 → 2100(異常↑)

【攻撃力】1140 → 2880(異常↑)

【防御力】970 → 1940(異常↑)

【俊敏性】1560 → 3120(異常↑)

【精神力】320 → 160(異常↓)

【スキル】二刀流/剣速強化/暗殺術



---


「数値が倍化……逆に精神力は半分に。副作用で死ぬかもしれないのに、それを迷わず飲むとはな」

空は顎に手を当て、興味深そうに笑った。



変貌した二人が咆哮し、同時にカイルへ襲いかかる。


「潰してやるぅぅぅうッッッ!」

「切り刻んでやるぜッ!」


グロックの巨腕が地響きを立てて振り下ろされ、リューセルの二刀が稲妻のように閃く。


カイルは剣を構え、両者の猛攻を受け流す。

「っ……速い!」


リューセルの斬撃は視認が難しい速度に。

カイルが弾いた刃がすぐに別の角度から襲いかかる。

同時にグロックの拳が風圧を伴って迫る。


ドゴォォン!


石畳が砕け、粉塵が舞い上がる。

その隙を狙ってリューセルの剣が首筋を狙った。


「ふっ!」

カイルは身を沈め、刃を紙一重で避ける。

剣を横薙ぎに振るが、リューセルは身をひねって空を切った。


「ククッ、どうした! この速さについてこれるかな!」

「俺の拳で骨まで粉々にしてやる!」


猛攻にその場は荒れ果て、石畳はひび割れ、砂煙が視界を覆った。


カイルは僅かに後退し、低く呟いた。

「少々……手こずらせてくれる。これ以上被害を増やすわけにもいかないからな。仕方がない、少しだけ本気を出すとしよう」



――スキル《戦気解放》「鋼の翼!」

カイルの体から魔力が溢れ出す。


瞬間、カイルの全身を覆う魔力が膨れ上がり剣に注がれていく。

剣先は鋼につつまれ輝きだす。


「なに……っ!?」

「気配が……さっきまでと違う……!」


カイルは地を蹴った。


リューセルの斬撃を剣で受け止め、逆に渾身の蹴りを叩き込む。

リューセルの体が数メートル吹き飛び、壁に激突して崩れ落ちた。


グロックが怒号を上げながら殴りかかる。

だがカイルはその攻撃を剣で受け止め、さらにその拳を押し返す。

「ぐおぉぉッッ!」

巨体が宙を舞う。

「鋼烈波!」

剣の柄の部分で放つ波動がグロックの腹に直撃し、大きく吹き飛ばす。


リューセルは再び立ち上がり、血を吐きながらも二刀を構える。

「クソがぁぁぁぁ!」


剣速はなおも健在だった。

だがカイルの《戦気解放》を纏った剣がそれを圧倒する。

火花が散り、リューセルの剣が折れた。


「……これで終わりだ!」

カイルの渾身の斬撃がリューセルを吹き飛ばす。


同時にグロックも、攻撃に受け、白目を剥いて崩れ落ちた。


二人の体はぼろぼろになり、その場に倒れ伏した。




カイルは大剣を収め、深呼吸をする。

「ふぅ……」


その背後で、血塗れのリューセルがわずかに動いた。

「……まだ、だ……ッ!」


倒れ伏していたはずのリューセルが、最後の力で飛びかかる。

二刀の折れた片刃を握り、背後のカイルへ突き立てようとする。




だが、カイルの反応が僅かに遅れた。


次の瞬間――


「これ以上は見過ごせないな」


後ろで見ていたはずの空の姿が現れた。

彼は軽やかに足で蹴り飛ばす。


ドゴォォン!


リューセルの顔面に蹴りが突き刺さり、その体はぐしゃりと潰れて地面に叩きつけられた。

骨が砕ける音が広場に響き、リューセルは動かなくなる。


「……これ以上は面白くないからな」

空は砂埃を払い、何事もなかったかのように立ち尽くす。


カイルは目を見開いた。

「君は……確か、あの時の……!」


空は肩を竦め、軽く笑った。

「これであの時の借りは返したぞ」


カイルは剣を収め、深く息をついた。

「……ありがとう。間一髪だったよ。ところで君はどうしてここにいるんだい?」


空は飄々とした調子で答える。

「暇ができたんでな、観光というものをしていた。そしたら面白そうなことが起きていたから見ていだんだ」


「そうか……」

カイルも苦笑し、肩の力を抜いた。

「俺は、ちょうど昼飯を食いに来ていただけなんだが……まさか《赤犬》奴らが表で暴れ出すとは思わなかったよ」


二人は互いに視線を交わし、わずかに笑った。


広場に残るのは、壊れた石畳と倒れ伏すマフィアたち。

戦いの余韻だけが、まだ空気を震わせていた。



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