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創造神の遊戯  作者: 面白味
創造神初めての冒険
21/54

20話 一触即発


広場に漂う緊張が、いよいよ爆ぜようとしていた。

厚かましい笑みを浮かべた二人の幹部が、一歩前に出る。


ひとりは太った体に光る頭皮をさらし、丸太のような腕をぶら下げている。脂ぎった首筋から汗が滲み、皮膚の下で盛り上がる筋肉は異様な迫力を放っていた。

「俺の名は〈粉砕のグロック〉だ。この腕一本で岩を砕き、骨を粉にしてきた。喧嘩なら任せとけ」


もうひとりは対照的に、痩せた体に黒いローブをまとい、腰には二本の細身の剣を提げていた。艶やかなロングヘアーを揺らし、鋭い目を細めて笑う様は不気味そのもの。

「私は〈双剣のリューセル〉。速さと鋭さで相手を切り刻むのが仕事さ。お前のこともバラバラにしてやるよ」


下卑た笑い声が広場に響いた。


カイルは黙って一歩前に出た。剣に手はかけず、静かに構える。

「街の人に手をだし、好き放題にするなら、俺は容赦はしない」


グロックが鼻を鳴らした。

「はんっ、減らず口を! 行け、野郎ども!」


背後に控えていた数人の取り巻きが、鉄棒やナイフを手に一斉にカイルへ飛びかかった。



カイルは一歩も動かない。

鋭く振り下ろされた鉄棒を、半身でかわす。

「なっ……!」と驚く声を無視し、腰をひねった拳を敵の顔面に叩き込んだ。


ドゴッ!


鈍い衝撃音と共に男の体が宙を舞い、一回転して石畳に落下する。

「ぐはっ……!」歯が砕け、血を吐いて転がった。


次の下っ端が背後からナイフを突き出す。カイルは微かに首を傾けるだけでそれを避け、逆に肘打ちを顎に叩き込んだ。

男の体は石畳に叩きつけられ、白目を剥いて動かなくなる。


「こ、この野郎!」

残る二人も恐れを振り切るように同時に襲いかかる。


カイルは視線すら動かさず、片方の蹴りを片腕で受け止め、その足を掴んで振り回す。まるで布袋のようにもう一人に叩きつけた。

二人の体が激突し、呻き声を上げて転がる。


――開始から数秒。

下っ端どもは全員、石畳に転がって意識不明となった。


カイルは衣服についた埃を払う仕草すら見せない。ただ2人の方へと進む。



一方その間、空とエドガーは屋台の夫婦を助け出していた。


「さっ、こちらへ。危険ですので少し離れた方が良いでしょう」

エドガーは紳士的に夫婦をエスコートし、安全な場所へ導く。


空はちらりと戦場を見やりながら、何かを呟く。

「……ふむ、鑑定」


すると、目の前に三人――カイル、グロック、リューセルの情報が浮かび上がった。



---


【名前】カイル・ヴァルハイト

【種族】人間

【年齢】27

【レベル】65

【体力】5450

【魔力】1810

【攻撃力】3860

【防御力】3590

【俊敏性】3280

【精神力】900

【スキル】剛拳術/戦気操作/鋼心


【名前】グロック

【種族】人間

【年齢】34

【レベル】52

【体力】1480

【魔力】720

【攻撃力】1390

【防御力】1520

【俊敏性】880

【精神力】310

【スキル】怪力/肉体強化


【名前】リューセル

【種族】人間

【年齢】29

【レベル】53

【体力】1280

【魔力】1050

【攻撃力】1140

【防御力】970

【俊敏性】1560

【精神力】320

【スキル】二刀流/剣速強化/暗殺術



---


空は口角を上げた。

「やっぱりな。数値の差で分かりやすいな。面白くなってきた」


エドガーは苦笑を浮かべ、声を潜めた。

「空様……楽しんでいる場合では」

「いいじゃないか。こういうのは退屈しのぎにちょうどいい」



広場の中心に、グロックとリューセルが立ちはだかる。

下っ端たちが倒れ伏したのを見て、二人の顔に怒りと焦りが滲んだ。


「ちっ……使えねぇ奴らだな……!」

グロークが地響きを立てながら歩み寄る。


リューズも腰の二本の剣を抜き放ち、冷笑した。

「……さすがAランクだ。だが、俺ら二人を相手に勝てると思うなよ」


二人が同時に襲いかかる。


グロックは丸太のような腕を振り下ろし、石畳を砕く勢いの拳を繰り出した。

カイルはその一撃を紙一重で避け、逆に脇腹に膝を叩き込む。

「ぐぅっ!」脂肪を揺らしながらグロックが呻いた。


そこへリューセルの二本の刃が滑り込む。

「はぁッ!」

斬撃が風を裂き、カイルの首筋を狙う。


カイルは後退しながら、腰の大剣を抜いた。

刃と刃が激しくぶつかり、火花が散る。


ガキィィン!


「まぁまぁ速いな」カイルは唸った。

リューセルは猫のように軽やかに飛び退き、二本の剣を交差させる。

「お前の力は確かだ。だが速さなら俺が上だ」


カイルはリューセルの動きに追いつき攻撃をしかける。

再び二人の攻防が交錯する。

リューセルの剣が雨のように降り注ぎ、カイルの大剣が全てを弾き返す。

火花が広場を照らし、耳をつんざく金属音が響いた。


同時に、グロックスが横合いから拳を叩き込む。

だがカイルは剣で受け流し、力を利用して逆に敵の巨体を弾き飛ばす。

「うおおっ!」

グロックスは石畳を滑りながら転がり、唾を吐き捨てた。


「くそっ……化け物め」


カイルの表情は変わらない。

優勢は明らかにカイルだった。



その事実を悟ったのか、グロックスとリューセルの表情に焦りが滲む。


「くそ……このままじゃ……」

「負ければ……あの人に知られたら……俺たち、殺される……!」


二人は互いに目配せし、同時に懐から小さな筒状の物を取り出した。

漆黒に塗られた金属の容器。その中から、禍々しい気配が滲み出ている。


空は遠目にそれを見て、にやりと笑った。

「おや……隠し玉か。面白いものを持ってるな」


広場の空気が、さらに張り詰めた。

カイルが剣を構え直す。


「それは……」






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