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創造神の遊戯  作者: 面白味
創造神初めての冒険
17/54

16話 思いもよらぬ休み


「……承知しました。空様に依頼をお願いできるとは思っていませんでした」

ダリオは恭しく頭を下げ、分厚い帳簿に依頼の詳細を記していく。


空は軽く頷きながら尋ねた。

「それで、すぐに行けばいいのか?」


「いえ、実は……明後日、お願いしたいのです」


「明後日?」

空は首を傾げる。


ダリオは少し言葉を選ぶようにして説明を始めた。

「鉱山までは街から離れており、道も複雑。そこで内の案内役を一人つけたいのです。その者が明後日には街に戻る予定でして……。彼なら地理にも明るく、護衛としても頼りになります」


「……なるほどな」

空は特に異論を挟まず、あっさりと了承した。


「では明後日の朝、再びこの店にお越しください。案内人をご紹介いたします」

ダリオは何度も頭を下げ、礼を言う。



---



雑貨屋を後にした空とエドガーは、人目のない路地へと入る。

空が指を鳴らすと、虚空に淡い光が走り、異空間へのゲートが開いた。


二人が足を踏み入れると、先日整えたばかりの室内が現れる。

書棚には空が創り出した書物が並び、落ち着いたインテリアが品よく配置されている。


エドガーは椅子に腰を下ろし、ほっと息を吐いた。

「……静寂とは素晴らしいものですね。スラムにいた頃の騒音が、今となっては遠い夢のようです」


空も椅子に腰掛け、足を組んで一息ついた。

「……やっぱり、この空間は落ち着くな」



エドガーは口元に微笑を浮かべる。

「さて、空様。明日は1日することがない、自由ということになりますが……どうなさいますか?」


空は顎に手を当て、少し考え込む。

「せっかくだし……街を見て回るか」


エドガーは静かに頷き、言葉を添える。

「でしたら、私がご案内いたしましょう。この街には歴史ある建造物も多く、また市井の人々の営みを覗けば、新たな発見もあるはず」



「……いいな」

空の口元に笑みが浮かんだ。


エドガーは続けて、

「ただ、観光をするにあたっては、多少の余裕があった方が楽しめましょう。屋台の料理も、街の工芸品も、金がなければ縁遠いものとなります」


空は立ち上がり、少し笑った。

「金なら作ろうと思えば作れるが……それじゃ面白くないな」


「……さすがは空様。お金そのものを創り出すことなど容易でしょうが、大量の金が流れてしまうと、街……いや国全体で経済的混乱を招きましょう」


「だろうな。だから――金を増やすために、別の“何か”を生み出す」



---



空は片手を宙に掲げた。

薄く光が集まり、やがて形を成す。


そして現れたのは――繊細な彫刻が施された純白の杯。

光を受ければ虹色に煌めき、まるで聖遺物のような雰囲気で見る者全てを魅了するオーラを放っている。



エドガーは思わず立ち上がる。

「……っ! これは……!」

その瞳には驚嘆が宿っていた。


「すごいものを……お作りになりましたな」


空は杯を抱げる。

「大したことはない。ただの創作だ」


「いえ……これは街の雑貨に持ち込めば、白金貨が何十枚と積まれてもおかしくはありません」

エドガーは冷静さを保ちながらも、言葉の端々に興奮を隠せなかった。


空は眉をひそめる。

「……そこまでか。じゃあ、まずいな」


「はい。過ぎたるは及ばざるがごとし。これほどの代物を売りに出せば、街どころか王国全体を巻き込む騒ぎとなりましょう」


「そうか……なら、もう少しマシなものを作るか」


空は杯を保管庫の中に投げ込み、再び光を操り、別の形を生みだす。

現れたのは、鋼のような強度を持ちながらも軽く、柄に高度な魔石が埋め込まれた深みのある青色の装飾を纏った短剣だった。

美しい外見と実用性を兼ね備えた一級品だが、先ほどの杯ほどの神秘性はない。



エドガーは短剣を手に取り、じっと見つめる。

「……これならば。白金貨に届くかどうか……いえ、場合によっては大金貨程度で収まるでしょう。まだ十分に高価ではありますが、騒ぎにはなりません」


空は満足そうに頷いた。

「なら、これでいい。明日の朝、これを売りに行くか」


エドガーは深く頭を下げた。

「さすがでございます、空様。……明日は、存分に街をお楽しみいただけましょう」



---


夜が更け、二人は異空間の静謐の中で休むことにした。


空はソファーに横になりながら、独り言のように呟く。

「観光、か。……人間らしい遊びも、たまには悪くない」


エドガーは隣の椅子に腰掛け、執事らしい姿勢で控えていた。

「はい。空様がこの世界を楽しんでくださること、それこそ私の喜びでもございます」


薄明かりに照らされた部屋は、穏やかで、どこか温かい空気に包まれていた。


こうして――明日の観光に胸を弾ませながら、二人は静かに夜を過ごしていった。



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