15話 新たな依頼
ネタネタネタネタネタネタネタネタネタ¯\_(͡°͜ʖ͡°)_/¯
拠点の大広間にて。
仲間たちが訓練や談笑をしている中、ラフィーナは机に突っ伏したまま、ぼんやりと意識を漂わせていた。
(……あの時の……)
思い出すだけで頬が熱くなる。
あの鋭い気配の森狼の群れ。振り返れば狼の牙が迫っていた瞬間、彼に抱き上げられて――救われた。
胸の鼓動が未だに落ち着かない。
「……ラフィーナ」
不意に名を呼ばれ、ラフィーナはびくりと肩を揺らした。
振り向くと、そこには長い金の髪を揺らす女――クラン《暁の羽根》が誇るSランク冒険者の内の1人す、シルヴィア・オルディスが立っていた。
銀の鎧に身を包み、背には片刃の大剣。凛としたその姿は周囲からも畏敬の目で見られる存在。
「な、なんでしょうか、シルヴィア様」
ラフィーナは慌てて姿勢を正した。
「さっきから、様子が変よ」
シルヴィアは机に手を置き、鋭い視線を向ける。
「依頼から帰ったばかりなのに、報告の後はずっと夢見心地な顔をしている。皆心配してるわよ。……一体、何があったの?」
「い、いえ……なにも」
ラフィーナは視線を逸らす。だが、耳の先まで赤くなっているのを隠せなかった。
「……嘘ね」
シルヴィアの声は低く、しかし冷たさはない。
むしろ、姉のように心配している響きだった。
「あなたほど冷静な娘が……こんな顔をするなんて。よほどのことがあったのでしょう」
ラフィーナは言葉を詰まらせる。
エドガーの名を口にしたい衝動に駆られるが――「秘密にする」と約束した。
唇を噛みしめ、小さく首を横に振る。
「……申し訳ありません。個人的なことなんです」
シルヴィアはしばし沈黙し、その後ため息をついた。
「そう……なら無理には聞かないわ。ただ、気をつけなさい。女の顔をするあなたを見るのは初めてよ」
ラフィーナは俯きながらも、胸の内で呟く。
(……エドガー様……)
その想いは、ますます強くなっていくのだった。
街の冒険者ギルド。
夕暮れの陽光がステンドグラスを通り、賑やかな声と酒の匂いが漂う中。
空とエドガーが受付へ歩み寄ると、リーナが笑顔で迎えた。
「お帰りなさいませ、空様、エドガー様」
彼女は軽く会釈する。
「森狼討伐の報告、確かに受け取りました。こんなに数が多いのに……無事でよかったです。それと、兵士隊からも連絡がありました。街に戻る途中で賊を捕らえていただいた件、正式に感謝状が贈られるそうです」
「へえ」
空は肩を竦める。
「まあ、別に感謝状なんてどうでもいいけど」
「そういうわけにもいきませんよ」
リーナはくすりと笑う。
「冒険者としての評価に直結しますからね」
エドガーは恭しく一礼した。
「リーナ殿、ご丁寧な説明、痛み入ります。空様は謙虚でいらっしゃいますが、我々にとっては大切なことですゆえ」
リーナは目を細める。
「……相変わらずですね、エドガー様」
軽いやり取りを交わしたのち、報告は無事に終わった。
空とエドガーはギルドを後にし、その足でダリオの店へ向かった。
「おおっ、これはこれは!」
恰幅のいい中年商人――ダリオが姿を現し、両手を広げて迎えた。
「空様、そしてエドガー様! 本日もご来店いただき、誠に光栄でございます」
「……大げさだな」
空は気怠げに言いながらも、店内を見渡した。
薬瓶、革袋、採掘用のツルハシや松明、果ては宝石のかけらまで並ぶ雑多な空間。
「本日は何をお探しでいらっしゃいますか?」
「いや、暇だったから立ち寄っただけだ」
空は店内のアイテムなどを見ながら答える
「そうでしたか。では私のお願いを聞いていただけないでしょうか」
ダリオは声を潜め、身を乗り出す。
「私個人で依頼をお願いしたいのです。鉱山にて《魔鉄鉱》を採掘してほしいのです」
「採掘?」
空が眉をひそめると、エドガーが興味深げに首を傾げた。
「魔鉄鉱……通常の鉄より強度が高く、魔力を帯びた鉱石。武具にも錬金にも重宝される素材でございますな」
ダリオは頷き、額の汗を拭った。
「はい。ですが最近、その鉱山には《石喰らい》という魔物が住み着いてしまって……職人では手が出せないのです。討伐を兼ねた採掘をお願いできないでしょうか」
空は思わず苦笑した。
「いや……俺はまだEランクだぞ? そんな大仕事を、俺たちでいいのか」
するとダリオは慌てて首を振った。
「いえいえ! 私はあなた方のお力をこの目で拝見しました。あの賊を一瞬で捕らえた時から……空様がただの冒険者ではないこと、確信しておりますゆえ!」
空は黙り込んだ。
(……バレてる、か)
エドガーが一歩前に出る。
「ご安心を、ダリオ殿。空様が受けられるならば、この上なく確実な結果をお届けいたします」
「おおっ、ありがたい……! では、ぜひお引き受けいただけますか?」
空はしばらく考えた末、口元に笑みを浮かべた。
「……わかった。引き受けよう」
ダリオは大げさに両手を広げた。
「おお、ありがとうございます! 本当に、本当に助かります!」
そうして空は、また新たな依頼を受け取った。




