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創造神の遊戯  作者: 面白味
創造神初めての冒険
14/54

13話 女冒険者


――私は、ラフィーナ・セレスティア。

クラン《暁の羽根》に所属する斥候である。


私の役割は、前に出て剣を振るうことでも、大魔法を放つことでもない。

敵の情報を集め、地形を探り、必要とあれば暗器で敵を仕留める――影の役目だ。

派手さはないが、仲間たちからは「頼りになる」と言ってもらえている。


今日は単独任務だった。

ギルドを通じてクランに届いた依頼――希少な薬草《聖魔草》の採取。

これはただの薬草ではなく、聖なる力を含み、悪しき者を浄化する。教団など様々な団体がこぞって欲しがる薬草なのだ。

しかし、1つの森の中にあるかないかの希少なものであり、森狼など厄介な魔物がいるこの森で摘むのは危険を伴う。

だからこそ、足の速い私が派遣されたのだ。


(もう少し奥まで進めば……きっと見つかるはず)


そう思って木々の間を進んでいた時、私はとんでもないものを見てしまった。


――二人の冒険者。


いや、冒険者と呼んでいいのだろうか。


一人は黒髪の青年。

彼は短いナイフ一本で、森狼を切り刻んでいた。

その動きは鮮やかで、速すぎて目で追えない。

振るわれた刃の軌跡に触れた狼は、悲鳴すらあげられず肉片へと変わる。


もう一人は白髪混じりの老人。

だが彼の身のこなしは、私が知るどんな戦士よりも美しかった。

指先が軽く振るわれるだけで、狼の首が宙を舞い、血の雨が降る。

それは残虐さではなく、むしろ優雅に踊っているようにさえ見えた。


「……なに、これ……」


気づけば私は、息を呑んでいた。

狼が群れをなしても、彼らの前では意味をなさない。

数十匹が、ほんの数分で屠られていく。

血と肉の臭いが立ち込める中で、二人は笑みすら浮かべていた。


恐怖よりも、目を離せない。

あれは……人間の戦いじゃない。


だが、私は見入ってしまった。

そのせいで――背後に迫る気配に気づくのが遅れた。


「――ッ!」


振り返った時には遅かった。

牙を剥いた森狼が、私に飛びかかってきていた。


(しまった!)


短剣を抜こうとした瞬間。

視界が急に揺れた。

――私の体が宙に浮いていたからだ。


「ご安心を、嬢さん」


優しい声。

私を抱え上げたのは、さきほど狼を切り裂いていた老人だった。


彼の腕は力強く、だが驚くほど穏やかで、包み込むように優しかった。

気づけば私は、お姫様抱っこの形で抱えられていた。


背後で狼が振るった爪が空を切り、次の瞬間――

「失礼」

エドガーの手刀が一閃した。

狼の首は軽やかに地面へと転がり、血が飛び散る。


「お怪我はございませんか?」


彼は私を抱えたまま、真剣な眼差しで問いかけてきた。


「……っ」


頬が熱くなるのを、抑えられなかった。

あまりに唐突で、現実味がない。

だが、確かに私は助けられたのだ。


「わ、私は……だ、大丈夫です」

声が震えてしまう。


エドガーは微笑んだ。

「それは何より。しかし女性の方一人では危険ですよ」


そう言って、彼は私をそっと地面に降ろした。

その所作まで紳士的で、無駄がなく、自然と胸が高鳴る。


私は自分の胸に手を当てて、驚愕した。

(な、なにこれ……私……?)


森の中、血と死の匂いに満ちた場面で――私は自分の心を持っていかれていた。

目の前の老紳士に。



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