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創造神の遊戯  作者: 面白味
創造神初めての冒険
10/54

9話 救助

ぜひ感想や評価していただけるとモチベ上がるので是非ともよろしくお願いします

オナシャス


夕暮れが濃くなり、草原は赤紫の光に包まれていた。

薬草で膨らんだ袋を肩に掛け、空とエドガーは街への帰路を辿っていた。


「……最初の依頼、思ったよりも良いものだったな」

空が呟くと、エドガーが微笑を浮かべる。


「左様でございます。主がお楽しみになられていたのは、私にとっても喜ばしいこと。ギルドへ戻れば、きっと他の冒険者も驚くことになりましょう」


空は少し目を細め、草原の向こうに沈みかける太陽を見つめる。


その時──空の足が止まった。


「……ん?」


わずかな震動。風に混じる血の匂い。

そして遠くから響いてくる金属音。


「戦闘の気配……」

空の目が細く光る。


エドガーも瞬時に反応し、手を柄に添えた。

「主、どうなさいますか?」


「見に行く」

短く言い放つと、空は風を切るよう走りだした。

彼の足取りは決して速くはない。だが、たった数歩で距離を一気に詰めていく。エドガーも慌てることなく後に続いた。


* * *


やがて二人の視界に飛び込んできたのは、数台の荷馬車と、それを取り囲む十数人の男たちだった。


商隊。


だが、その護衛らしき者たちはすでに数人が地に伏し、気を失っていた。残った者たちは必死に抵抗している。

対するは粗末ながらも武器を手にした強盗団。獰猛な笑みを浮かべ、商人たちを脅していた。


「金を出せ! 命が惜しけりゃ抵抗するな!」

「ぐっ……誰か、援軍を──!」


空は一瞥し、状況を把握する。

商人と護衛の実力は低く、時間の問題で蹂躙されるだろう。


「エドガー」

「御意」


次の瞬間、エドガーの影が地を駆け抜けた。

彼は剣を抜くことなく、最前列の強盗の手首を正確に打ち払い、武器を弾き飛ばす。

そのまま回し蹴りで二人、肘打ちで一人。

流れるような動作で、あっという間に数人の武装を奪った。


「なっ……なんだこいつは!」

「ひ、ひとりで……!」


驚愕と混乱に包まれる強盗団。

そこへ、空が軽く指を鳴らした。


──空気が震えた。


「なっ、身体が……!」

「動けねぇ!? な、なんで浮いて……うわぁぁ!」


強盗たちの身体が次々と宙へ浮き上がる。

まるで見えぬ鎖に縛られたかのように、腕も脚も自由を奪われ、宙に逆さ吊りにされた。

彼らは必死に暴れたが、抵抗は一切無意味だった。


「……ふむ。大した事ないな」

空は無表情のまま言う。


地に倒れていた商人が目を見開いた。

壮年の男で、立派な衣服を纏い、だが恐怖と驚きで顔は蒼白になっていた。


「な、なんということだ……まさか、あなた方が……助けてくださったのか?」


エドガーが一歩前に進み、丁寧に頭を下げる。

「ええ、ご安心ください。賊どもは既に無力化いたしました」


空もちらりと視線を向ける。

「怪我はないか?」


商人は一瞬言葉を失った後、慌てて頭を下げた。

「は、はい……命を助けていただき、感謝の言葉もございません……!」


空は宙に浮く強盗たちを見回した。

彼らは口々に叫んでいたが、もはや脅威ではなかった。


「……気絶させて、街の兵に引き渡すとしよう」

「それがいいでしょう。強盗を捕まえた報酬も受け取ることができますし。」

彼が指を軽く弾くと、強盗たちの意識が一斉に途切れ、ずるりと宙から落ちる。

だが地面に打ち付けられる寸前に、見えぬ力が彼らを優しく受け止めた。

重傷もなく、ただ眠るように気を失っている。


「処置完了でございますな」

エドガーが周囲を確認する。


空は頷き、商人の方へ向き直った。

「改めて問う。大丈夫か?」


「ええ……護衛の者が何人か負傷してしまいましたが、命を落とさずに済んだのは全てあなた方のおかげです」


商人は深々と頭を下げ、声を震わせた。

「もしよろしければ……街までご一緒していただけませんか? このままでは再び襲撃されるやもしれませんので……」


空は軽く顎を引いた。

「構わない」


「主のお心遣い、感服いたします」

エドガーもまた恭しく一礼した。


* * *


夕闇が迫る草原を、商隊と共に街へ向かう。

強盗たちは縄で縛り、空によって宙に浮かんでいる状態で荷馬車の後ろを漂っている。

彼らは意識を失ったまま、身じろぎ一つしない。


商人は道すがら、何度も空とエドガーに礼を述べてきた。

「私はダリオと申します。商人を生業とし、この街と隣国の間で交易をしております。……お名前を伺っても?」


エドガーがちらりと主を見て、答えた。

「こちらは私の主、空様。そして私が仕える者、エドガー・ロウエルにございます」


「空様、エドガー様……必ずや恩はお返しいたします。どうか今後とも……」


空は少し考え、わずかに笑った。

「礼は要らない。俺はただ、気になったから動いただけだ」


「それでも……命を救っていただいたのです。感謝せずにはおれません」


商人ダリオの目は真摯で、そこに偽りはなかった。


空はふと遠くの街を見つめる。

城壁が夕焼けの中に浮かび上がり、帰還を告げる鐘の音が微かに響いていた。


「……まずは、街へ戻ろう」


その一言に、誰もが頷いた。

こうして、空たちは初めての依頼を終えただけでなく、街の外で新たな縁を得ることとなった。



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