0話 創造神の旅立ち
やっぱりこっち系の方が描きやすい。
しばらくはこっちの話を書きますのでよろしくお願いします。
永劫の時を越え、数えられぬ星々が生まれては消え、幾万もの文明が芽吹き、繁栄し、やがて塵と帰すまでをただ一人見守り続けた存在がいた。
その名は── 空。
彼は始まりの存在にして終わりの存在。
万物を創り、概念を紡ぎ、存在を与える権能を持つ、唯一無二の絶対者である。
星々を飾る光も、海を満たす水も、大地を繋ぐ重力も、そこに生きる命も。
果ては「死」という概念さえも彼が与えた。
あらゆるものは彼の手によって編まれ、意図され、形づくられた。
だが──彼は孤独ではなかった。
自ら創り出した数多の世界を維持するために、空は管理者たる存在を創造した。
それは「神」と呼ばれるべき者たちであり、天を統べ、秩序を司る組織を形作った。
彼らは己の役割を持ち、自然を整え、魂を導き、文明を見守る。
空の眷属にして補佐者、いわば「神の組織」である。
その頂点に空が在った。
いや、頂点ですらない。あまりに隔絶した存在
──天上天下唯我独尊。
絶対的な始まりであり、終わりをも超える存在。
だが、その力の強大さゆえに、彼は組織の中で異物と化していた。
神々は畏怖した。
誰も逆らえぬ存在、誰も届かぬ存在。
彼が微笑むだけで、空気が震え、彼が一瞥するだけで因果が揺らぐ。
「創造主である空様が存在する限り、我らに何の意味があるのか──」
その疑念と恐怖は、やがて静かなる排斥へと変わった。
直接的に拒絶されることはない。
しかし、彼の周囲には常に冷たい空気が流れていた。
神々の会議で発言すれば、沈黙が返る。
助言を求められることはなく、ただ「存在するだけ」で、彼は疎まれた。
空自身も、その事実にはとっくに気づいていた。
だが、彼は憤怒せず、悲嘆せず、ただ受け入れた。
なぜなら──
彼にとって世界を創ることは呼吸であり、存在することそのものだったからだ。
数億年、数兆年、あるいはそれ以上。
人の尺度では到底測れぬ時を、ただ「創造」に費やしてきた。
しかし、いつしか「創造」は日常となり、退屈と化していた。
神々の組織を導く必要もなく、創り出した世界を維持するだけの日々。
星が生まれ、命が芽吹き、文明が育ち、滅びていく。
その繰り返しを何度も眺め、何度も経験し、永遠に続く営みを既に理解し尽くしていた。
──そして、彼は決意する。
「もう、よいだろう」
組織の頂点に座ることに意味はない。
神々を率いる必要もない。
無限の時を費やし、創造と管理を繰り返す日々に終止符を打とう。
退屈を破り、孤独を破り、己自身の存在意義を揺さぶるために。
空は「管理者」としての立場を捨てた。
組織を抜け、神々の世界から身を引いた。
それは、神々から見れば祝福すべきことかもしれない。
彼という圧倒的な存在がいなくなれば、彼らはようやく「自らの役割」を果たせる。
恐怖も、劣等感も、畏怖も、必要ない。
だが、空にとっては──ただの「旅立ち」であった。
彼は選んだ。
無限に広がる可能性の中から、ひとつの世界へと。
それは、多種多様な種族が生きる広大な異世界。
人間、精霊、獣人、竜族、魔族──ありとあらゆる存在が共に在り、時に争い、時に手を取り合う、混沌と秩序が交錯する世界。
そこに彼は降臨する。
だが、今回は「創造主」ではない。
世界を形づくる者ではなく、世界を「楽しむ者」として。
絶対者としての立場を捨て、ただ一人の存在として、その世界に関わろうと。
空の眼は、久方ぶりに輝きを宿していた。
無限の退屈を終え、新たなる物語が始まる瞬間を告げる光。
──創造神は人の世へと歩み出す。
──すべてを創り、すべてを終わらせる者が、ひとつの世界の「運命」と交わるために。
その旅は、やがて大地を揺るがし、星を震わせ、歴史を覆すだろう。
誰もが知らぬうちに、世界は彼によって「動かされて」ゆくのだ。
これはエピローグであり、同時に序章でもある。
無限の時を超えた絶対者が、再び「生きる」ことを選んだ物語である
前の作品と色々と似ている部分がありますが、本来描きたかったのはこうゆうものなのでご了承ください。乁|・〰・|ㄏ




