表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/27

第八話

「え?あ、あぁ、ええと.....」

私は咄嗟に言葉が出なかった。急に見知らぬ医師から声をかけられて、咄嗟に言葉が出る方がおかしいと思うけどね。

「あ!もしかして置いてかれちゃった?」

はぁ?全然そんなんじゃないし。

ただの検査だし。

何なのこの人。ちょっと失礼なんじゃない?

「そんなんじゃないです。今から検査です」

「そうなんだ〜。俺暇だから一緒にいよっか?こんなところで一人の方がいやでしょ?」

「別に」

「そっか〜」

その医師は、隣のソファに座った。まるでずっといたみたいに。

「俺、小林悠仁(こばやしゆうじん)。そこで働いてる」

小林先生は、耳鼻咽喉科の部屋を指差した。

「そうなんですね」

「君は?」

「白夜、空音です」

「白夜そらね、いい名前つけてもらったね。白夜なんて珍しいね!”そらね”は漢字はどうやって書くの?」

「青空の空に、音色の音です」

小林先生は大きな声で、かわいい〜!と言った。そのせいで、余計に視線を集めてしまった。この人と一緒にいるくらいなら、一人で恥ずかしがった方がマシだと思った。

私は自分でも驚くほど、言葉がたくさん出てきた。

「小林先生のゆうじん?どんな漢字ですか?」

「えっとね、こう書くの」

小林先生は胸ポケットから紙とペンを取り出して、そこに綺麗な字を書いた。



“悠仁”と、書いた。



「どんな意味があるんですか?」

「あぁ〜何だっけな」

小林先生は少し考えてから、言った。

「悠仁の”悠”は、『広い心』って意味で、悠仁の”仁”は、『人を思いやる』って意味。二つ合わせて『包容力があり、人を大切にする人物』って意味......って、なんか恥ずかしいな」

「......」

反応に困った。

けど、お世辞なしにも、本当に素敵な由来だと思った。初対面で話して、こんなにも会話が続いて楽しいと思えるのは、彼が初めてだったと思う。



ガラガラガラ



「白夜さん準備できましたよ.....って、悠仁くん?」

部屋から佐野さんがやってきた。

「お!佐野ちゃん!久しぶりだねー!」

小林先生は立ち上がった。

気づかなかった。そういえばこの人、身長高いんだった。

私を置いてけぼりにしつつ、二人は仲良く話し始めた。

佐野さんはずっと、耳が赤かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ