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第五話

ピーピー、ピピピ!!



「んん.....」

小鳥の鳴き声で目を覚ました。病室の窓を閉めているのにも関わらず、小鳥の声が聞こえるのはなぜだろうか。

私は重たい体を起こした。

「よいしょっと」

いつものようにスリッパを履いて、顔を洗うために洗面台の前に立つ。

「......」

何も言えない。

窓の方に向かった。



ガラガラガラ



片手で押さえながら、片手で窓を開けた。

「すぅ〜......はぁ、、、」

目を瞑りながら、空に向かって深呼吸した。気持ちのいい朝が、こんな私を向かい入れてくれた気がした。

私の病室は棟の一番端っこにある。右隣にはあまり話したことのない老婆が一人入院している。

左隣には誰もおらず、宮古島の街が鮮明に映し出されていた。

宮古島には、約53000人の人口が住んでいる。

東京都に比べると、264倍もの差がある。

いや、東京の人口多すぎるでしょ。

私は窓際に手をついたまま、空を見上げた。

目の前の木に鳥が、1匹、2匹、3匹———

仲良く大きな羽を広げて飛んでいった。

視線を空から街に移した。

あの人、見たことある。

こんな小さな街なら、一度は会ったことある人なのかな。

窓は開けたまま、近くのパイプ椅子に腰掛けて、リモコンを手に取りテレビをつけた。



『およそ1ヶ月後に宮古島祭が始まりますね〜!』



綺麗なテレビキャスターの女性が言ったこの一言に、私の心はギュッと狭くなった。

特集名は、”日本が盛り上がる宮古島祭”

私は急いで立ち上がり、カレンダーを見た。

「ほんとだ.....」

”ある日”に、赤いペンで丸をつけていた。そして、大きく”宮古島祭”と書かれていた。


『宮古島祭』


宮古島内で開催される大規模なお祭り。町内の職員が一ヶ月前から準備を初めるんだとか。

食事の出店

花火

神輿

まぁ、典型的なお祭り。

その中でも毎年大トリを飾るのは、花火。

島外内関係なく、何十人もの花火職人が集まり、暗闇に染まった宮古島の島を色鮮やかに彩る。

入院する前は、毎年、葉那と見に行っていた。

「......」

私は宮古島祭の特集に夢中になっていた。



コンコンコン



「入りますよー」

『今年の宮古島祭は、一味違います!』

「うわぁ!」

今年の宮古島祭は5000発の花火が打ち上がるらしい。

5000発.....?

想像がつかないな。

「すげぇな」

「え!?」

いつの間にか、先生が真後ろに立っていた。

「いつからいたんですか!?」

先生は腕を組みながらテレビを見ていた。

「5000発って可能なんだ」

先生は普通にしていた。こんなに動揺してるのって、私だけなんだよね。

「こっち、座ります?」

私は先生に隣のパイプ椅子を勧めた。

先生は分かっていたように隣に座った。さっきより、ほんの少しだけ、距離が近くなった。

ふと見る先生の横顔は、凛としていた。鼻が高くて顎もシュッとしてて。おまけに二重目がぱっちりと出来ていた。

不思議なことに、先生はいつも佐野さんと一緒なのに、今日は一人で部屋にやってきた。

大きな重機と一緒にやってくる佐野さん。

先生に聞こうとも思ったが、先生は子供のようにテレビを見つめていた。

そんなに、花火が気になるのかな?

「先生、花火好きなんですか?」

「まぁまぁかな」

「そうですか。私は、大好きです」

「ふ〜ん」

先生は相槌を打つだけで、またテレビを見た。

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