第七話『迷宮攻略』前編
遅れて申し訳ないです
「では、迷宮内へ行きましょう!」
エルドリア迷宮の入口は、まるで天に開いた裂け目のようだった。そこから漏れ出す光は、闇を引き裂くもののようであり、同時にその奥に待つ恐怖を予感させる。まるで未知の運命に引き寄せられる運命の歯車のように、足が自然とその先へと導かれる。
迷宮内の空間は、まるで時間が濁流のように流れ、空間は泡のように弾けては消えていく。歩くたびに足元がわずかにずれる感覚があり、どこを進んでもどこか別の場所へと導かれているような錯覚に陥る。道は無限に続き、同じ景色が何度も繰り返される。
迷宮の壁は、まるで記憶の中にある曖昧な出来事を映し出す鏡のようだ。触れると冷たく、石の表面に無数の細かな亀裂が走っている。それらの亀裂の中に映るのは、過去の影、誰かの足音、失われた時間の断片。触れるたびに、昔の記憶が目の前に蘇り、今ここにいる自分すら、もう一度迷ってしまう気がしてくる。
迷宮ってこんなにも酷いのか?そこら中に死体がある。
「フィオナ、体調は大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ」
それにしても空気が重すぎる、これじゃまともに動けないじゃないか。
さぁ、こっからどうするか考えないとな。
僕はホムラから貰った本を読むことにした
[エルドリア迷宮の攻略方法]
・エルドリア迷宮には、階層が10階あり、下へ行く程、難易度は上がる。
・各階層にクリア条件があり、条件を達成すると次の階層へ繋がる魔法陣が使えるようになる。
・最終階層にいる、双竜カイラ・アバンを倒すと迷宮攻略である。
・各階層に宝箱があり、報酬が手に入る。
[注意事項]
・各階層の条件は毎度同じとは限らない。
・各階層にダミー魔法陣がある
・各階層には小さな毒が充満しているため、長時間いると危険である。
・死ぬ覚悟のある者のみ入ること
・最終階層の敵の能力等口外禁止。
結構ルールがあるな、ルールが多ければ多いほど安全なイメージだが、どうなのだろうか。
12時間以内だ、早くしよう。
「フィオナ、絶対に抜け出しますよ!」
「近距離は任せて!私の斧でぶった斬って見せるわ!」
非常に頼もしい、やはりフィオナは居てくれて良かった。
師匠、行きますね
僕達は第1階層へ進んだ。
[条件]
・ウッドデス100体討伐
ウッドデス100体討伐?!?!あまりにも多すぎないか?
「アレス!この階層のウッドデスは弱いわよ」
何を言ってるんだ、前僕の中級が意味なかったんだぞ?
「僕の中級では役に立たなかった…」
「えぇ、あの時のは上級ウッドデスだからよ」
「上級?普通のウッドデスではないってことですか?」
「そうね、あれは、良く分かってないけど、急に上級レベルになったみたい」
あ、それは僕が挑発したからです…すいません
でも、普通のウッドデスなら、行けるだろう。
「じゃあ私はウッドデスに突っ込むから、援護お願いね」
「分かりました!」
2人は大量のウッドデスを前に、武器を構えた。
[フィオナ視点]
今目の前にいるのは7〜9体程度、後から増えるタイプね
ま、私の斧で1発よ。
私は斧を持ち全身を集中させた。
『獣戦流』!!
『獣の咆哮』!
フィオナは斧を地面に力強く擦った、すると獣の咆哮のような叫び声が響き渡り、ウッドデスを威圧していく。
ギャギャギャァァァァ、ギャギャギャァァァ!!!
この威圧によりピンチを感じたウッドデスは更に大量のウッドデスを読んだ。
目の前は30体程にまで増えた。
関係無いわ、逆にここまでは順調だ。
『獣牙斬・連』
フィオナの斧から10枚の斬撃が相手を襲う。
ギュィィィィィン!!!
獣の牙のような鋭い斬は、次々と標的を斬る、まるで獲物を狩る獣の様だ。
しかし、耐えているウッドデスもいた、恐らく上級ウッドデスだろう、
フィオナは次々と狩っていくが、正面に気を取られすぎて後ろが見えない。
ギャァ!!
背後から上級ウッドデスが襲いかかってきた。
「そんなっ…」
『ルミナス・アーク』!!!
フィオナを襲おうとしていた上級ウッドデスが消えた。
「大丈夫ですか!フィオナ!」
今の一撃はアレスの魔術だった。
「どんどん攻撃してください!背後は守ってます」
私はアレスに助けられた、私も頑張らないと
「次は私の番ね!」
上級ウッドデス約20体に向かって、斧を向ける。
「私、ここを攻略しなきゃならないの、だから死んでちょうだい」
『獣戦流・改』
さっきまでの獣戦流とは違う、オーラが出ている。
『狼牙一閃』!!
目の前のウッドデスやがいなくなった、正確に言えば無数の斬撃により空中へ散った。
フィオナは斧を少し振っただけでこの威力である。
先程は魔法陣から大量にスポーンしていたが、急にスポーンしなくなった。
100体討伐したのだ。
目の前の魔法陣が光りだした。
「アレス!ウッドデス討伐したわよ!次の階層へ行きましょ!」
[アレス視点]
ウッドデス100体討伐した
99%フィオナの活躍だが、そんなことどうでも良い
それにしても急に強くなったな、ちょっと前までは弱かったのに。
今のフィオナは別人だ、技を目で追えなかった。
アレスは邪魔者になる予感がした。
「では、次の階層へ行きましょう」
「そうね!」
2人は第2階層へ向かった。
[第2階層攻略条件]
・ダークゴーレム10体討伐
・ダークゴーレムの頭を2個回収
(闇の力で操られた石のゴーレム。通常のゴーレムよりも強靭な防御力を誇り、暗闇の中でも強力な一撃を放つ。夜間や暗所に出現することが多い。)
今回はどれほどの強さなのかは分からないが、回収条件が加わった。
ちなみに、ゴーレムの頭は低確率でドロップするらしい、つまり運ゲーだ。
「フィオナ、どうやって倒そうか」
ゴーレムは石だ、フィオナの斧は効くのだろうか。となると僕の魔術で倒したら?
いや、行ってみなきゃ分からないな
「行ってみましょう!」
ダークゴーレムってどれ程の大きさなんだ?ゴーレムすら見たことないからな。
アレスは杖を落とした。
「あれを、10体も倒すのか?」
ダークゴーレムは、“まるで山が動いたかのようだった”
ダークゴーレムが歩みを進めるたび、地面が揺れ、空気が震える。まるで動く山脈のようで、何もかもが小さく見えるその姿に圧倒される。
「アレス!私達なら倒せるわよ」
フィオナは震えている僕を慰めてくれた。
そうだ、これが倒せなかったら、宮殿に行けないだろう。
「そうだね、僕達なら倒せるはずさ」
落ちている杖を拾いフィオナの背後に立った。
「フィオナ!僕は中級魔術に魔力を込めるので、時間稼ぎは出来ますか?」
「あぁ、できるわよ!私に任せて!」
僕は中級魔術を唱えた
「闇の深淵よ、我が力となり、此処に放たれし矛となれ!
雷鳴轟きし力を宿し、裂けよ、穿て、陰のの槍よ!」
唱えた後、僕は魔力を込め始めた。
[フィオナ視点]
私は時間稼ぎをするが、ダークゴーレムに少しでもダメージを与えれたら良いなと思っている。
なんなら、何体かは倒しとく必要がある、アレスがどこまで使えるか分からないからだ。
「さぁ、来なさい!ダークゴーレム!」
私はダークゴーレムの元へ走った。
うおぉぉぉぉぉ!!!
『獣戦流』!!
『獣牙斬・連』!!
フィオナと斧の斬撃がダークゴーレムを襲った。
しかし、鋭い牙のような斬撃はダークゴーレムに直撃したが少し穴が空いたくらいだった。
「なっ…余り聞いてない?!?!」
ダークゴーレムは激怒したのか、フィオナを襲う。
ゴゴゴゴゴ!!
ダークゴーレムは巨大の拳を振り下ろした。
するとフィオナは矢のように弾け飛び、地面に叩きつけられたのだ。
「体が...動かない…!」
フィオナは痛みと衝撃で動けなくなり、息が上がっている。
ダークゴーレムは倒れ込んでいるフィオナに対しもう一度拳を振り下ろそうとした。
『レイジング・シャドウ・ランス』!!
アレスは暗黒のエネルギーを集め、巨大な闇の槍を作り出し、敵に向けて放った。
この魔術は強力な力を持ち、物理的な防御をも貫き、暗闇の力で敵の魔力を削り取る。
ゴグガガガゴギガガガガ!!!
「僕は何もしてないように見えるかも知れませんが、コツコツ鍛えてるんですよ!」
アレスはさっきの一撃で3体ほど倒したのだ。
「フィオナ、一旦休んでいてください、これは僕が片付けます」
フィオナはこちらを見ていた。
「アレス…」
なんだろう、アレスはまるで暗闇の中に差し込んだ一筋の光のようだった。
[アレス視点]
よし、取り敢えず3体倒したから後は7体だな、意外と行けるな
「お前ら、良くも僕の大事なメンバーを痛ぶってくれたな?生きて帰れると思うなよ?」
ダークゴーレム達は話が理解出来ていないはずだが、一斉に叫び出した。
魔術師がダークゴーレムと戦うのだ、しかも7体。
これは戦略を練らないと確実に勝てない。
アレスは考え、一つ思いついた。
高台を作って上から狙撃するのはどうだ?
やってみるか。
「大地の力よ、我が命令に従い、
土を操り、空を越えん!
岩よ、土よ、力を集めて、
我を高き場所へと導きたまえ!」
『アース・リフト』
アレスは唱えると、地面から大きな岩や土が巻き上がり、アレスをその上に乗せて高台へと素早く移動させた。
「これは良い眺めだな、思う存分に撃ち込めるぞ?」
ダークゴーレムはアレスが逃げたと思い周りを探し始めた。
案外頭は弱いのかもしれない。
「ダークゴーレムの中で1人逸れた奴から狙うんだよ!」
『レイジング・シャドウ・ランス』!
ダークゴーレムを撃ち抜いた、これで4体目だ。
『レイジング・シャドウ・ランス』!!
ダークゴーレムは死んだと思った瞬間だ、ダークゴーレムは巨大な手でアレスの槍を掴んでいたのだ。
「何?!?!?!」
ダークゴーレムはアレスの乗る高台に槍を投げると、物凄いスピードで高台を貫いた。
危ねぇ、じゃねぇか。落ちるところだったぞ?
アレスは高台から降り、高台の穴から槍を放った。
不意に撃たれ反応出来なかったダークゴーレム2体を同時に貫く。
「よしっ!後4体だ」
ダークゴーレムは焦るかのように動き回り、アレスの方へと向かってきた。
「お前らの弱いところは集団なのに連携が取れてない所だ」
と、4体全員を相手に槍を放つ、するとダークゴーレムは倒れて、誰もが勝ったと思う瞬間だった。
ジジジジジジジジ!!!!
するとダークゴーレム×4は急に光出したのだ。
「マジかよ、ダークの割に光ってるじゃねぇか…」
アレスはフィオナの元へ駆けつけ、高台を盾にした。
『アース・リフト』!!
ダークゴーレムは大爆発を起こした。
雷鳴のような爆音が響き、盾はまるで雷に打たれた木のように震えた。
迷宮中に漂う煙
「ゴホッゴホッ!フィオナ!大丈夫ですか?」
「え…えぇ…生きて‥いるわ」
爆発が盾に衝撃を与え、まるで雷に打たれた木のように震え、裂けるかと思うほどの力がかかった。しかし、何とか耐え抜き、その場をしのぐことができた。まさに奇跡だ。
「痛てて…爆発の衝撃で腰を痛めた様です、フィオナはどこか怪我してませんか?」
こうして僕達は2階層を突破した、しかし1つ分かることがあるとすれば
“10階層は無理”かもしれないという事を。
「フィオナ…僕達、10階層まで行けるのでしょうか」
2階層でこのレベルだ、正直行ける気がしない。
「僕達は2階層だけでこんなにも、怪我をして、本当に行けるのでしょうか」
するとフィオナはこっちを見ながらこう言ったのだ。
「私たちにはまだ早かったかもしれないわ、でも、今弱音吐いたって何の意味があるのよ」
「そうですよね、弱音を吐くなんて情けないですよね」
「そういう事じゃないわ、弱音なんていつでも吐いて良いわよ、泣いても良いし吐いても良い、でも今は2階層を突破した、これは喜ぶべきじゃないかしら」
このセリフで思わず泣いてしまった。
「フィオナ…ありがとう!フィオナのおかげで突破出来たよ」
僕は抱きついた、フィオナは凄く暖かい。
「さっ!休憩して準備したら3階層を攻略するための準備をするわよ!」
「はい!」
僕達は準備をして3階層へ向かった。
[3階層攻略条件]
・魔鉱石の回収 15個
[注意事項]
・…には気をつけろ
3階層は簡単に突破出来そうだ。
しかし、注意事項の看板が、壊れており文が途切れている。
「フィオナ!ここの階層はさっきのと比べると簡単かも知れません、ですが、何か危険な匂いがするので気をつけてください」
「えぇ、分かったわ」
僕達は3階層に入った。
?!?!?!
なんだこれは…?広すぎる、ざっと見てドーム2個分くらいだろう。
「フィオナ、広いので気をつけてくださいね」
アレス達は、なるべく離れないように行動をした。
「それにしてもここの階層は色んな鉱石が光っていて綺麗ですね」
今後、金貨に困ったらここに行くか
フィオナはアレスの事をずっと見ていた。
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもないわ」
これは何かあるようだ。
どれくらい歩いただろうか、3kmは歩いた気がする、しかも0個だ
てか、魔鉱石ってどんな見た目をしているのだろうか。
「フィオナは魔鉱石がどんな物か知ってますか?」
フィオナは僕より詳しいから、恐らく知っているだろう。
「魔鉱石でしょ?し…知ってるわよ?」
これは知らない人の反応ですよ、フィオナさん
「だって仕方ないじゃない…魔鉱石なんて高いから、私には縁の無い物だと思ってたのよ!」
一体、いつからフィオナは金欠だったのか、それと、どういう生活をしてたのかが気になってくる。
「フィオナは常に金欠ですけど、どうやって生活してたんです?」
僕は歩きながら聞いてみた。
「私は力が強くて、力仕事をする代わりに宿に泊めて貰ってたの」
「今はお金あります?」
「……ない…です」
迷宮が終わったら沢山食事に連れてこう。
さらに2kmほど歩いた、が一個も取れていない。
もしかして魔鉱石って魔力に反応するのだろうか。
やってみるか。
アレスは色んな鉱石に手を置いて、魔力を込めていった。
ピン!
数多い鉱石の中から、1つ紫色で小さな鉱石が反応した。
これが魔鉱石か…結構大変だな。
キィィィィィン!
鉱石は白く光だし…
「フィオナ!離れてください!」
アレスはフィオナの手を握り、鉱石から離れた。
ボン!
鉱石は小規模爆発したのだ。
「危なかった…怪我するところでしたね」
爆発には敏感だ、師匠‥ありがとうございます。
フィオナはアレスの顔を見た
「アレス…!アレスは敬語で喋る時が多いからさ?あの‥私といる時は普通に喋って欲しいの」
ぐはぁぁぁっ!
破壊力えぐすぎるだろぉぉぉ!
確かに僕は敬語が多かった気がする、気をつけないとな
「分かったよ!フィオナ、一緒に頑張ろう!」
これで良いかな、タメで喋るのはほぼ経験無いからな
「えぇ!頑張りましょ!」
2人は歩いた。
魔鉱石ってさっき爆発したやつで合ってるんじゃないか?
魔鉱石には最初から魔力が込められている、それに追加で魔力を注いだのだ、容量を超え爆発したのではないか?
アレスは試すため、さっきの魔鉱石を探し始めた。
「フィオナ!さっき爆発した鉱石を探してくれないか?」
「爆発した鉱石…?大丈夫なの?」
「まだ分からないけど、可能性があるんだ」
「分かったわ、探してみるわね」
2人は爆発した鉱石を探すことにした。
「フィオナは、何で斧を選んだの?」
僕は気になった。
「昔、森の奥で迷子になったことがあるの、まぁ小さいのに行った私が悪いんだけどね」
それはそうだが、小さい子は好奇心があって仕方ないと思うが
「迷子の時、魔族に襲われたの…」
大丈夫なのか?凄く心配だ
「大丈夫なの?」
「私も死ぬと思ってた、だけどね?斧使いの人に助けてもらって…その、斧使いに会うために斧を使い始めたの」
そんな過去があったなんて、ちゃんとした理由があるんだな。
「その、斧使いはどんな人か分かるの?」
「それが、分からないのよ…でも、黄色い髪色をしてたのは覚えてる」
黄色い髪色をした斧使いか、黄色い髪色は余り見ないからな、探しやすいかも。
「じゃあ、宮殿行ったら一緒に探そう!」
「ありがとう…」
歩いていると鉱石を見つけた。
「あったわよ!早速回収しましょ!」
一個回収した、が、後ろにたくさんあるぞ?!
「フィオナ!鉱石が大量だ!」
全部回収した、恐らく20個近くはある
2人は戻り、次の階層に繋がる魔法陣に魔鉱石を使った。
キィィィィィン
魔法陣は赤白く光輝いた。
「次の階層に行こう!」
その時だ、目の前の魔法陣が二つに増えたのだ、1つはダミーだ。
「アレス?何してるのよ?」
フィオナはすでに魔法陣に乗っていた。
「フィオナ!今すぐ魔法陣から退くんだっ!!!」」
「え?!ちょっと待って」
「フィオナ!必ず4階層で合流しましょう。」
フィオナは、テレポートした。
いや、行くなら同じ所の方が良いな。
僕もフィオナに続いて魔法陣に乗った。
「ここはどこだ?フィオナは?」
フィオナと同じ魔法陣に乗ったが、フィオナはいなかった。
「これはこれは、ダミー魔法陣にハマるなんて何年振りデスかね?」
前から不気味な声が聞こえる。
「お前は誰だ?」
アレスは杖を向けた
「ちょっと、敵か分からないのに杖を向けるのは良くないデスよ?」
「じゃぁ、お前は敵か?」
「私は、魔王軍幹部のロキア・ファントムレイヴと申します」
魔王軍…だと…?!
「お前、魔王軍幹部って言ったか?」
「そうデスが、どうかしましたか?」
「お前は何しにここへ来た」
「私は2年ほど前にこの迷宮へ偵察に来たのですが、ダミー魔法陣にハマりましてね!」
あっ…ただのマヌケ野郎じゃないか、何だか安心だ。
「僕もダミー魔法陣に…」
僕も人の事言えないよな。
「貴方様に提案があるのデスが、協力してここから抜け出しませんか?」
協力?魔王軍が?しかも幹部だ、信用出来ないな。
「お前、僕を襲わないと誓えるのか?」
「えぇ、誓いますよ?攻撃もしませんし、10階層まで協力してあげますよ、後、フィオナさんも」
今フィオナって言ったよな?何で知ってるんだ?
「何でフィオナの事知ってるんだよ」
「貴方様の心をお読みしました」
心が読めるのか、こりゃ厄介だな
「まあ良いです、協力しましょう、僕はアレス・ドラゴンハートです」
僕は魔王軍幹部と協力する事にした。
[フィオナ視点]
ここは…どこなの?
周りは暗い、何も見えないじゃない。
周りを探りながら前を歩いていると看板があった。
フィオナは4階層へ来た。
[第4階層攻略条件]
・デスバード10体討伐
[注意事項]
・デスバードは20m上で飛んでいるため、魔術師必須
私は…斧…魔術師0…
フィオナは詰んだのである
「どうすれば良いのよ、私は魔術使えないわよ?」
「アレスぅ、助けてよぉ…」
いや、アレスが少しでも楽できるようにここは1人で突破しないと…
でも、どうする?
「私は獣戦流、獣牙斬と…」
獣牙斬の斬撃はどうだろう、この斬撃なら遠距離に飛ばせる
行ってみよう。
フィオナは4階層へ入った。
ギィィィ!ギィィィ!
デスバードは凄く鳴いている、うるさすぎる
「デスバードの鳴き声がうるさすぎて周りが聞こえない…本来ならこれで連携を取れなくするのね」
でも今は1人だ、関係ない。
スゥー、ハァー
デスバードに向かって斧を向けた。
『獣戦流』
『獣牙斬・連』!!!
うぉぉぉぉぉぉっ!!!
斧から大量の斬撃を飛ばした、しかし、デスバードは動きが速い、斬撃は全然通らない。
デスバードは興奮してフィオナに襲いかかる!
ギギギィィィ!!ギギギギギッ!!!
デスバードの鋭い羽がフィオナの体を切り裂く。
「くっ…!なんて強さなのよ…これは一旦退いた方が良いわね」
フィオナは4階層の外に出た
「どうやって勝てば良いの、斬撃を当てようとしても周りのデスバードに軌道を逸らされる」
やっぱり斧だけで挑むのは愚かかも知れない、
「こんな時にアレスがいたら何て言うのかな…」
(僕なら、技を作りますね、技と技を組み合わせると新技になります、まぁ魔術は最初からたくさんありますけど)
これだ、獣牙斬の斬撃に何かを組み合わせれば行けるはず。
確か、月光流は斬撃多かった気がする。
(月光流…月の光を利用し、主に光の斬撃を生み出す流派)
でも、月光流は使えない…
そうだ!他の流派に頼るんじゃなくて、獣戦流を極めれば良いのよ!
フィオナは獣牙斬のポーズをしながら力を込めていく。
『獣牙斬』!!
ドォォン!
いつもならスピードと威力は落ちていくのだが、溜めて撃つと、一定のまま斬撃を放てる事が分かった。
これなら、行けるわね、名付けるなら『獣牙天斬』
フィオナは4階層へ入った
「デスバード!覚悟しなさい、お前たちは死ぬのよ」
ギギギギギギィィィ!!ギィィィ
デスバードは興奮しているがこれで良いはず、アレスが前教えてくれたのだ
『獣戦流』
『獣牙天斬』
フィオナは斧を振り、でかい斬撃を出した。
デスバードは先程の斬撃の軌道を逸らそうと羽を使った。
スパァァァァンッ!!!
ギギギギギッギィィィギィィィ!!!
フィオナの斬撃はデスバードを力強く貫いた
「あと、9体」
今の所順調だ
デスバード×9は全速力でフィオナを襲う!
こっちの方が都合が良い、近づけば近づくほど当てやすく、威力を出せる。
『獣牙天斬・連』
フィオナは斧から斬撃を放つ
スパパパァァァァァァン!!!
大量のデスバードを貫いた、が、一体倒し逃したデスバードがいる。
「待てええぇっ!」
フィオナは残りのデスバードの上に乗り、斧を構えた
『獣牙斬』!!!
フィオナは最後の一体に獣牙斬をした。
すると、上空20m程の高さからフィオナは落ち始めた。
流石に、新技を使うのは、凄く疲れる。体が動かない。
フィオナはデスバードと共に地面へ落ちていった。
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