第六話『武器』
今僕は、馬車に乗っています。
馬車からの景色は、緑木が沢山あり、永遠に続く青い空なんて綺麗なんでしょう。
「空は美しい、まるで師匠のようだ…」
そういえば、師匠に助けて貰った時も、凄く綺麗な青空だったな。
今でも忘れない。
「フィオナ、馬車ってこんなにも新鮮なんですね!」
と、フィオナの方を向くと、顔色の悪いフィオナがいた。
「フィオナ、もしかして酔ってます?」
「えぇ…凄く気持ち悪いわ…」
フィオナは馬車酔いをしたのである。
「初級ですけど、治癒魔術使いましょうか?」
「お願い頼むわ…うぅ」
治癒魔術で治せるか分からないが、フィオナのおでこに手を置いて治癒魔術を唱えた。
「聖なる力で、傷を癒したもう」
『ヒーリング』
ヒィィィン!!
治癒魔術を唱えると手から緑と白の光が出て、フィオナの体内に入っていった、治るのか?
「フィオナどうですか?治りましたか?」
さぁ、遂に結果発表の時間です。果たして効いたのか、効いてないのか!
「気分が良くなった気がする…気持ち悪くない…」
治癒が成功したみたいだ、これはまた、一歩進めた気がする。
「そろそろエルドリアまで半分や、意外と早かったな」
早朝に出て今は夕方だ、ホムラは片道2日と言っていたから早い方なのかもしれない。
エルドリアには何があるのだろうか、武装国家って言われてるくらいだから、クソ強い組織とかもあるのだろう。
伝説の商人も楽しみだ、どんな人なのだろうか。
馬車で14時間が経った頃だ、辺りはすっかり夜になっている。
「よし、今日はここらへんで野宿するで〜」
野宿だと?火は起こせるのか?寝具はあるのか?
「よし、アレスは近くから薪を取ってきてや」
「分かりました」
僕は近くの森に入った、入ったと言ってもすぐの場所だ。
「薪全然無いな、もう木切るか?」
周りの木は全部太くて大きい、切ると危なそうだ。
「私に任せて!」
フィオナは斧で木を叩いた、こんなので切れるわけ無いじゃないか。
と思っていたが、太くてでかい木は沢山の線が入り、細かい薪となった。
「凄い!何を使ったのですか?」
「あれは何も使ってないわよ、斧使いなら誰でも出来るわ」
そうだったのか、てっきり何かの流派を使ってるのかと思った。
「では、薪を持っていきましょう、ホムラが待ってます!」
アレスとフィオナは両手に大量の薪を持ってホムラの元へ行った。
「お!これは大量やな!しかも綺麗やし、良くやったで」
褒められたが褒められた気がしなかった、口調的な問題だろう
3人は野宿をした。
「さぁ!残り半分や!張り切って行くで!」
僕はホムラに起こされた、相変わらず元気だなこの人…
フィオナはまだ寝ている、ちょっと待て、寝顔可愛すぎないか?
「フィオナ、朝ですよー」
しかし彼女は起きなかった、これはボディタッチで起こさないとダメですよね?
「フィオナ〜朝ですよ〜ぐへへへ…」
僕はフィオナの胸を触ろうとした直前だった。
「うぅ…もう朝なの?」
彼女は起きた、僕は光をも越える速さで自分の手をしまった。
「今、何かしようとした?」
「いえ、普通に起こしただけですよ」
危ねぇ…僕が手を戻してなかったら、胸触ろうとしてたのがバレるところだったぞ…!
「それにしても、朝は早いわね、まだ眠気が…」
それはそうだ、なんたって今は4時くらいだろう、早すぎる
僕達は出る準備をし、馬車に乗った。
「ちなみに、金貨はあるん?」
ホムラはこっちを見つめながら話し出した。
金貨は、100枚ほど魔箱に入れたはずだ。
(魔箱は、専用の箱に魔力を加え、沢山入れることの出来る箱)
「金貨は100枚ほどありますよ」
100枚あれば大抵の物は買えるはずだ
「おお、富豪やな、普通そんな持ってこんで?」
旅行気分で浮いてたかな?本当は自分の剣術を磨くための旅みたいなものだ。
「何が起こるか分からないので念のためです」
旅人危険は当たり前だからな。
「それはそうやな、まぁワイがおるから大丈夫やで」
8大英雄が居るんだ、敵は寄ってこないだろう
「そろそろ着くで、エルドリアに」
あっという間だ。
!!!!!
僕は前を見てみるとエルドリアが見えた。
エルドリアの門へ行った。
「お前達は何処から来た」
「ワイはアスタリアから来たで」
「これはこれは、ホムラ様!大歓迎ですぞ!」
「どーも」
さっきまで、重い圧を出していた警備隊だったが、ホムラを見た瞬間、力が抜けるかのように圧が消えた。8大英雄恐るべし
3人はエルドリアへ入った
〜エルドリア王国〜
エルドリアの街は、まるで戦の鼓動が響く巨大な鋼鉄の心臓のようだ。石造りの高い建物は、まるで古の巨人が立ち並ぶかのように威厳を放ち、空を覆う旗は風に揺れながら、常にこの地の不屈の精神を語りかけている。街角には、鎧をまとった兵士たちがまるで鋼の守護者のように立ち並び、民衆の中に静かな緊張感を漂わせている。
市場は活気に満ちた嵐のようで、商人たちの声が交錯し、食材や武器の匂いが混じり合って、まるで戦の準備を整えるかのように賑わっている。歩道には、平和と戦争が隣り合わせで共存しているかのように、武器を持つ者と日常の品を求める者が行き交う。
空は重く曇り、街の上に張り詰めた雰囲気が漂い、まるで嵐の前の静けさのようだ。しかし、その静けさの中にも、エルドリアの強靭な意志が感じられ、すべてが戦いの準備を整えているかのように見える。
「凄いわね!!」
アスタリアとは全然違う、両方とも賑やかだが、ここはまた違う新鮮味があって良い。
「エルドリアって武装国家って言われてるのでゴツい人しかいないイメージでした」
普通に可愛い子も多いじゃないか、武装国家には見えない。
「さ、伝説に会いに行くで」
遂に待ちに待った伝説の商人だ。
3人はエルドリア街の端っこにある人気の無い場所へ行った。
ホムラは壁に立った
「おぉーい、お前の好きな客連れてきたで〜」
ホムラは壁を5回ほど叩いている、意味はあるのか?
「ワシャ、客が好きなど一度も言っとらんわい!」
壁の向こうから怒鳴り声が聞こえてきた。
「まぁ良いからさ、早よ開けてやー」
更に壁を叩いた。
「あぁもう、分かったわい、うるさい奴じゃの」
壁に線が入った。
線が入ると、ドアのような形になり扉が開いた。
「どもー結構まったで?1時間くらいか?
「嘘つくで無い!」
「あぁ、ごめんごめん!」
軽い謝罪だ
「で?要はなんじゃ?」
真剣な眼差しでこちらを見てくる。
「こいつ、アレスって言うんやけど、こいつの相棒を探しに来たんや」
相棒って剣のことか?
「もしかしてだが、あいつも竜炎火流を取得するのか?」
「あぁ、そうやで」
「ホムラ、お前に弟子が出来たのは良い事じゃが、ワシの剣をあげる訳にはいかん」
え?なんでだ、ホムラからは認められたぞ
「なんでダメなのでしょうか!僕は覚えたいんですよ!」
ドンッ!!
武器商人は物凄い強さで机を叩いた。
「そんな、覚えたいとか、やりたいからとか言う変な理由じゃ渡せんわい」
そんな、じゃあここまで来た意味ないじゃないか。
「お願いします!僕は絶対に流派を覚えますし、中途半端じゃありません!」
「なら、エルドリアの近くにある、エルドリア迷宮を1人で攻略してこい」
エルドリア迷宮?ダンジョンか。
「流石に無理やろ、アレスはまだ剣術覚えたてやぞ?」
そうだ、剣を振る事しかやってない、無理に決まってる。
「ワシは剣で攻略しろとは言ってないぞ、お得意の魔術でも使えばどうじゃ」
なに?なんで僕の事を知ってるんだ、誰にも伝えていないはずだろう
「何で分かるんですか?、僕は誰にも伝えた事ないのに」
アレスは驚いている。
「なぁに、お前の目を見れば分かるわい」
これが伝説の目か、流石だ
「アレス、お前1人で攻略出来るんか?」
ホムラは心配していた
「はい、大丈夫です!でも、僕は魔術師です、フィオナと攻略して来ても宜しいですか?」
僕は魔術師だ、ゼロ距離は向いていない。
「許してやる、ただし時間は12時間じゃ、守れなかったら2人とも武器はなしじゃ」
僕とフィオナの腕を見せる時が来たようだ、絶対にクリアしてみせる。1
「では、10時間で帰ってきます!」
僕とフィオナは店を出た。
[ホムラ視点]
あいつらならクリアは出来るやろう、でも、12時間は流石に無理や
ワイがお前らと同じくらいの時、1日はかかったんや。
「時間内に帰ってこいよ、飯奢ったるから」
あいつらならきっと上手く行くはずや、“頑張れよ”
〜エルドリア商店〜
迷宮に行くなら回復薬や魔鉱石は必須だろう。
ということで、買いに来た。
「すみませーん、魔鉱石って売ってますか?」
「おーらっしゃーい!魔鉱石なら入り口から左に進めばあるぜ」
あるみたいだ、どれくらいいるのかな。
棚には、魔鉱石、闘昇石、防御石など様々の石があった
「てか、僕は魔力が異常だから要らないじゃないか」
闘昇石を買ってみる事にした。
「フィオナ〜、何か買いたい物は有りますか?」
棚と睨めっこをしているフィオナに聞いてみると
「迷宮に行くから、水や食料を見ていたの」
確かに、水、食料は必須だ。
僕らは買い物で金貨を殆ど使ってしまった。石が高かった…(一個30金貨)
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