第五話「稽古」
〜ウィルガの大平原〜
はい、ということでウィルガの大平原にやって来た
どうやってホムラを呼ぼうか、中級魔術ぶっ放せば来るかな?
やってみるか、杖を片手に魔力を込めた。
「天を仰げ、光の使者よ、上に光を照らし、闇を払いたまえ! 」
『ルミナス・シエル』
キュィィィィィィィン
僕の魔術は杖から空に向けて天高く飛んでいった。
パァン!
空高く飛んだ後周りに光散った、花火みたいだ。
これで来ると良いけど。
「こんなので来るの?」
「多分来ますよ、ホムラは暇人だと思いますので」
ザンッ!!
謎の大きな剣は僕の顔ギリギリで通った。
「誰が暇やて?アレス君?」
やっぱり来たか、案外ちょろいかもな、
「ワイはチョロないで?お前が呼んでたからわざわざ、予定空けたんや」
ちょっと待て、僕の心読めるのか?
「あぁ、読めるで?ワイは神と同等の存在やからな」
まじかよ、これからは気をつけないとな。
「で、要はなんや?金くれとかやったら許さんぞー?」
そんな事頼むわけ無いだろ、金貨には困ってないんだから。
「ホムラ!僕とフィオナを稽古してくれないか?」
「稽古?別に良いけど、ワイで大丈夫なんか?」
良いに決まってるだろう、8第英雄と稽古できるなんて誰もが羨むだろ
「よし、分かった、付き合ったるわ」
これで少しは強くなれるはずだ。
「最初に言っとくけど、ワイの修行は厳しいで」
大丈夫だ、これを乗り越えないとあそこに行けないだろう。
「大丈夫です!」
「私も、よろしくお願いします」
「じゃぁ、フィオナちゃんは斧の技術をもっと磨くか」
「はい!」
フィオナは元々強い、きっと乗り越えられるはずだ。
「問題はお前や、アレス」
僕に問題があるんですか?
「あぁ、お前は魔術師やけど、ゼロ距離で攻撃受けそうになったらどうする?」
何を言ってるんだ?僕は魔術師だぞ?ゼロ距離で戦うわけ無いだろ。
「僕は魔術師なのでゼロ距離になることはないと思います」
「そうか、じゃぁ突っ込んできた敵に魔術を撃ったが効かずに攻めて来た、こうなった場合どうするんや?」
「仲間がいるから大丈夫です」
「仲間がいなかったら?ウッドデスみたいな場面やったらどうするんねや」
さっきまで笑顔だったのに急に表情が変わった、不気味な顔だ。
「それは、どうしようもないです」
「そうやな、お前は仲間に頼りすぎ、仲間が倒してくれるから、大丈夫な訳やないやろ」
確かにそれはそうだ、仲間に頼りすぎるところがあるかもしれない。
「て事で、アレス君には剣術も覚えてもらうでー」
は?剣術だと?素人が出来るのか?
「いや、素人だからやるんやろ」
「はい!剣術教えてください」
「任せとき、ワイが教えるからには中級以上は確定や」
これは安心だ、剣術も中級になれば充分な戦力になるはず。
「まずわ基礎やな、素振り100回10セットスタートや!」
最初からキツくないか?いや、そんなことは言ってられない、やってみせる。
[フィオナ視点]
「じゃ、次はフィオナちゃんや、斧の実力見してみ」
「斧の実力って、ホムラさんに攻撃しても良いの?」
少し不安になった。
「いや、ええよ!好きなだけ攻撃しや」
相手は8第英雄だ、本気で撃っても良いかもしれない。
「では、行きます」
私は斧を構えた。
フィオナは姿勢を低め斧を前に出している。
「お、獣戦流か!面白い奴やな」
私は息を整え、
『獣牙斬』!!
フィオナの斧は獣の牙のように鋭い斧の切れ味を活かし、素早い一閃を相手にぶつけた。
「まだこれからよ!」
『獣牙斬・連』!!!
先程の斬撃の5倍連続して放った。
『獣の舞』!!
戦場で獣のように激しく動きながら斧を巧みに使い、斧で連続攻撃を与え戦場を支配している。
「ふぅ…これくらいで終わり…でしょう」
私は自分の技を駆使しつつ相手に当てまくった。
「あ、もう終わりか?結構早かったな」
?!?!?!
ホムラは無傷だった、なぜ?ちゃんと当てた時の感覚はあったはずよ?
「じゃぁ今度はワイやな!」
このメッセージと共にホムラは消えた、どこにいる?
周りを見渡しても見つからない、
「トン!これが本当の攻撃やったらフィオナちゃんは死んでるで?」
ホムラを見つける事が出来たのは、私の肩を触った後だ、
「何を使ったの?!」
「何って、フィオナちゃんと同じ獣戦流やで?まぁ、ワイは剣やから、獣戦流なんて初めて使ったで」
初めてなのに、私より使いこなして…
「結論から言うけど、フィオナちゃんは、無駄な動きが多すぎるで」
無駄?私はこれでも無駄なくやったつもりなのに。
「フィオナちゃんは『獣牙斬・連』の時、斧を盛大に振っとるけど、軽く振るだけで良いで?」
確かに、私は手を限界まで伸ばしていた、これは良い改善法方だ。
「後さ、振って斬撃だして、その後手を元の位置に戻してからまた振るやろ?手を戻す時にも斬撃出せるようにしてみ、1秒に3発は撃てるようなるで?」
そんな事が出来たなんて、何でそんなに詳しいのだろう…
「改善点ありがとうございます!」
「良いで、それじゃ改善点を意識して、素振りでもしよか」
この人は凄い、本当に私は強くなれるかもしれない。
私は素振りを始めた。
[アレス視点]
「96…9..7…98…99…100!がぁ…はぁ…やっと終わったぞぉ」
100回を10セットって…大変すぎるだろ。
「お!終わったか?結構早かったやないか!」
「は…い、おわりました…」
「随分とお疲れさんやな、水分でも飲みぃや」
ホムラはアレスに水分をぶっかけた
キツくて色々とやばかったが、水分補給ができ、生き返った
「じゃ、お前にワイの剣術を教える、準備はいいか?」
「はい、できてますよ」
「ワイの使う流派は、竜炎火流や」
炎を扱う流派か、強そうだ。
「あぁこの流派は強いで?なんたってワイが作った流派やからな」
流石だ、だから8第英雄の1人なのだろう。
「ちなみに、これが扱える者はどれくらいいますか?」
炎の流派だから人は多そうだ。
「この流派が使える奴はワイ以外おらんねよ…難しいらしい」
なるほどな、ホムラが死んだら竜炎火流が途絶えるのだ、だから教えてくれるのかもしれない。
「僕は絶対に習得して見せますよ、2代目竜炎火流の使い手に」
名前がカッコいいし、普通に強そうだからだ。
「やっぱ、お前は最高や〜!」
ホムラはいつもの不気味な笑顔では無く、ちゃんとした笑顔だった。
それだけ嬉しいんだろう。
「では、竜炎火流について説明するで」
[竜炎火流]
竜炎火流は炎と竜の力を一体化させた剣術流派である。
この流派は、伝説の火竜の力を宿した剣士が扱うものである。
竜の力による圧倒的な攻撃力と炎を操る技術を駆使して戦うため、攻撃は破壊的で範囲が広いのが特徴である。
竜との相性や使用歴によって、技が存在する。(ホムラが使える数は15種類である)
「ま、こんなもんや、ロマンあるやろ?」
確かに炎とか竜が扱えるとなるとかっこいいな。
「これは習得にどれくらいの時間がかかるのですか?」
「ん〜、才能ある奴なら1ヶ月くらいでいけると思うで」
なるほど、じゃあ僕は2ヶ月以内に取得してやる。
「まずは、お前に相応しい剣を選びに行くで」
そうだ、剣持ってなかったな、どんな剣があるのだろう。
「フィオナちゃんも一緒にどうや?斧もあるで」
フィオナは目を輝かせ、
「私も行くわ!」
3人で武器を手に入れる事にした。
「じゃ、エルドリア王国に行くか!」
エルドリア?どんな所だ?
「エルドリア王国って何でしょうか?」
「エルドリア王国ってのは、通称、武装国家エルドリアって呼ばれてるんやで」
武装国家、強い奴が多いのか?
「で、そこに伝説の武器商人がおるんや、そいつに会いに行く」
伝説の武器商人…なんか異世界っぽくて良いな!
「楽しみです!ちなみに、エルドリアまでどれくらいの時間がかかりますか?」
楽しみだが、遠すぎても困る、何せ僕らの目的は宮殿に行く事だ。
「馬車と歩き合わせて、2日くらいやな」
2日なら妥当か
「じゃ、明日の早朝に出発するから支度しとくんやぞ」
「分かりました!」
朝になった。
「アレスっ!朝になったわよ!早く出かけましょ!」
僕は、フィオナの大きい声で起こされた。
服を着て金貨も持ち準備は整った。
よし!出かけようの前に、やる事がある。
そう、師匠に外出する事を伝えなければならない。
「師匠、気をつけて行って参ります、どうか見守ってください」
アレスは師匠の杖に向かって礼をした。
「さぁ!フィオナ!出かけましょう!」
アレス達は家を出た。
〜ウィルガの大平原〜
「ホムラー!おはようございます!」
僕は元気よく挨拶をした。
「おう!良い挨拶や!今日もフィオナちゃんは可愛いな!」
「ありがとうございます」
フィオナは顔が真っ赤だ、可愛いじゃないか
「よし、今から馬車乗り場まで歩くで〜」
それにしても、まず楽しみな事は馬車だ、初めて乗るからな。
「あ、ちなみに馬車初めての奴は酔いやすいから気をつけや」
まじかよ、まぁ酔いには耐性が結構ある方だ。
10分ほど歩くと、馬車乗り場が見えてきた。
「よし、そろそろ馬車乗り場や、忘れ物は無いな?」
「はい!」
エルドリアが楽しみだ。