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目覚めた第2の人生




ガバッ!!!



毛布が空を飛ぶ。



「ああ!やっぱり!…もう、お嬢様ったら、また夜更かししましたね?」



彼女お得意の風魔法。


夜中こっそり魔術書を読みふけっていた私をいつも起こしてくれたお姉さん的存在。




「っ!!…リズ!!」


「わっ!…うふふ、お嬢様ったら。どうなさったんですか?怖い夢でも見てしまいましたか?」




私の侍女、リズだ!


身内に向けるような温かな愛情を向けてくれるリズ。周りからみればとても使用人がしていい言動ではない!と責められるかもしれないけれど、それでも私は家族同然に接してくれるうちの使用人達が大好きだった。



それはひいおじい様からの静かなる伝統らしい。もちろん、雇い主を侮辱したり軽視するような態度はご法度で、即処罰ものだけれど。



少なくとも私が生きてきた中で、関わってきた中で、皆一生懸命オルゼリアン家に尽力を注いでくれていたものたちばかりだ。





一際私が懐いていたのが、私付きのメイド──侍女であるリズだ。リズだって他所から見ればまだまだ子供だと言うのに、お姉さんらしい振る舞いで私を見守ってくれている。



そんな彼女の死に際の姿が、今でもありありと脳裏に浮かぶ。



朝イチに抱きつかれてもさほど動揺した様子も見せず、ヨシヨシと頭を撫でてくれるリズに私はしがみつく腕にさらに力を入れた。



入れた……のだが……。



あれ?


「どうしました?」と優しく覗き込んでくるリズが、大きい…。



巨人になったとかじゃなくて…。


むしろこれは……



「ふふっお寝坊さんですね。さぁさお嬢様、朝の身支度をすませちゃいましょう!何せ今日は」



自分の手を開いて閉じて。


ぺたぺたと体を触ってみて。



気づいた。気づいてしまった。




私、体が縮んで…!?





「フェリシアお嬢様の、4歳のお誕生日なのですから!!」




………違った。


縮んだんじゃない。




若返ってるんだ!というより時間が巻き戻ってる!?それも、4歳ですって!?




忘れもしない。4歳の誕生パーティのことだ。



密かに魔術書を読み漁り、魔術への夢と希望で満ち溢れていたあの頃の私は「お父様、お母様、見てみて〜!」なんて言ってお貴族様及び教皇、教団の前で、




「いぐなむ!」



火属性の花火を上げ




「しゃんふりーす!」



水魔術で噴水の水を操り




「ぶるーてる!」



庭に大輪の花を咲かせ




「うぃらいぶ!」



カトラリーの落下を風魔術で防ぎ



「とらすれいぐ!」



あまつさえ、突如降り出した雨空を晴天にまで変えてしまった。





我ながら、あれはよくやったもんだ。


火、水、地、風、空────五大元素のフルコンボだもの。


しかも当時の私は魔術が成功したことに、誇りを持ってたし。




…………教皇たちがそんな私を見逃すはずないって、あの頃の私はまだ、教団の恐ろしさを知らないから出来たことよね。






けれど、今回はそんなヘマしないわ!



生まれて直ぐに高魔力が故の発熱で皇宮医術師を呼んでしまったせいで教団に私の魔力が人より多いことがバレてしまっているのは仕方ない。



ならせめて、それ以降目を付けられないように、【無能】を演じるのよ!


魔力持ってるくせに何もできない落ちこぼれを演じるの!!



家族のもと、友達を作って好きな人と出会うという普通の生活を送るにはもうこれで行くしかないわ!




「お嬢様、本日のお召し物はどれになさいま──「こっち!!」



きめた!とことん逆を言ってやるわ!



今世でも大人しく従順な子供だと思わないでちょうだい!!




やってやるわよフェリシア。大好きな魔術もこの世界では別れを告げてやる!



決して目立たず、けれど私らしく!




理想的な私を、第2の人生で歩んでみせるわ!






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