第19話 プレゼント交換
「なつ〜!誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
「あ〜あ…なつが歳上になっちゃったわ!」
「あと8日経てば追いつくじゃん!」
「追いつかないわよ!なつは今日で24歳でしょ?ねーさんは次で二十歳だから!」
「めっちゃ歳下じゃん…ていうか二十歳って…」
「何?悪い?」
「…悪くはないよ…」
「でしょ?はい、プレゼント!」
「ありがとう!開けていい?」
「うん、いいよ!むしろ、ここで開けなきゃ殺す!」
「あっ!財布!ありがとう!」
「うふ。なつの財布ってもうボロボロだもんね!ずっと考えてたんだ」
「しかもポールスミス?ありがとう!」
「なつはこのブランド好きだもんね」
「よく知ってるね?」
「なつの服を選択しているのは一体誰でしょう?時々、そのブランドがあるから知ってるのよ」
「ねーさんはやっぱり凄いな」
「今頃気がつくなんて遅いぞ!」
凄いのはずっと前から知ってるよ。
怖いくらいに凄いもん。
普段の言動も怖いけど。
誕生日を一緒に過ごした後は、次はバレンタイン。
俺は24歳のバレンタインデーで初めて本命チョコというものを貰った。
幸奈ちゃんはバレンタインとか興味がないとか言ってた。
しかし、俺がこれまで貰っとことがないことを察していて、今年は考えていたらしい。
そして、前に俺に聞いてきて、貰ったことがないことが確定して喜んだみたいだ。
チョコの包装には黒のマジックで、大きく『脱バレンタイン童貞』と書かれていた。
見せる気はないが、人に見せれないメッセージだ。
次は幸奈ちゃんの誕生日の番だ。
休みの日にアクセサリーのお店に行った。
指輪かぁ…
どれがいいのかわからない。
商品を眺めていると店員さんが声をかけてきた。
「婚約指輪ですか?それとも、恋人へのプレゼントですか?」
「恋人への誕生日プレゼントです」
「サイズは分かりますか?」
「8号です」
「ご予算は?」
「特に決めてませんが…」
「お相手様の年齢はいくつですか?」
「24歳になります」
「24歳の彼女への誕生日プレゼントなら、3万から5万くらいがいいでしょうね。こちらの方から探したらいいと思いますよ」
店員さんに勧められたコーナーで幸奈ちゃんに合いそうな指輪を探した。
その中の1つが妙に目につく。
幸奈ちゃんっぽい。
その直感に従った。
「これを見せてください」
「はい!こちらのプラチナリングですね」
「プラチナって言うんですね?」
「はい、婚約指輪でもよく使われますけど、これは少しカジュアルだから、プレゼントにはすごく良いと思いますよ」
「じゃあ、これでお願いします」
「はい、ご購入ありがとうございます。では、サイズ調整等もございますので後日お渡しいたします」
早めに来ていて良かった。
サイズ調整なるものがあるなんて知らなかった。
俺は後日、指輪を受け取り、ケーキ屋さんにも寄って予約して帰った。
幸奈ちゃんの誕生日。
「誕生日おめでとう!」
嫌味のように、ローソクを24本立てたケーキを差し出した。
幸奈ちゃんはローソクの数を数えて、
「殺すよ?」
と言ってきた。
「ごめんなさい…」
「なつがハッピーバースデーの歌をここで歌ったら許す」
「えっ!?歌う!?」
「うん」
「ここで?マジで言ってる?」
「うん」
俺は歌わされた。
恥ずかしいが幸奈ちゃんが喜んでいたから良しとしよう。
「じゃあ、これプレゼント」
「ありがとう!開けていい?」
「どうぞ」
幸奈ちゃんは包み紙を大事そうに開けて、リングケースを取り出した。
そして、ゆっくりと開けた。
「わぁ〜!!すっごくかわいい!」
「良かったぁ、気に入ってくれて」
「うん!すっごく嬉しい!なつが選んだの!?」
「そうよ。直感でこれが1番ねーさんに似合いそうだって」
「うん!想像以上!さすがなつ、私を分かってる」
そう言って、幸奈ちゃんは指輪を取り出して、左手の薬指にはめた。
それから、ずっと左手を眺めて、すごく嬉しそうにニコニコしている。
この姿を見るだけで、こっちも幸せな気分になる。
本当に良かった。
この日からずっと幸奈ちゃんはこの指輪を着け続けた。
こんな風に毎日過ごせるのも1ヶ月半かぁ。
そこから2年は、半同棲になる。
そう思うと少しさみしくなったが、そこそこ近いし、何かあればすぐに帰れる。
それに、それが終われば、ほぼ間違いなく結婚だ。
結婚するためにも頑張らなきゃ。
でも、今は残り1ヶ月半を出来るだけ幸奈ちゃんといよう。
俺は3月は極力、幸奈ちゃんと居たかったから、アルバイトをこの2月中に辞める連絡をした。
そして、極力、幸奈ちゃんの仕事場にも遊びに行った。
もちろん、幸奈ちゃんが遊びに来いとずっと前から言っていたからだ。
そして、幸奈ちゃんのバイトの後輩で仲良しの安井さんや、主任さんとも、よく話すようになった。
幸奈ちゃんの家族だけでなく、友人や仕事関係の人とも仲良くなった。
このことが後に俺たちを助けた。




