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青空が嫌いだった

作者: 陰宗

 青空が嫌いだった。つむじが暑くなるし、眩しくて目を細めると、睨んでいると勘違いされてよく怒られたから。


 小説が嫌いだった。私が書く小節は面白くないのに、他の人が書いた小説はすごく面白くて自分に才能がないことを思い知らされるから。


 運動が嫌いだった。汗をかくと気持ち悪いし、運動も得意じゃなかったから。


 勉強が嫌いだった。面白くないし、テストでよく悪い点をとって怒られてたから。


 友達が嫌いだった。何で私なんかに話しかけてくれるのか理解できなかったし、私が出来ないことを簡単にやってのけるから。


 親が嫌いだった。あれこれ干渉してきては、言って欲しくもないことをずけずけと言ってくるから。


 私が嫌いだった。特技もなにもなくて、やりたい事も夢もない空っぽな人間だったから。




 がんが嫌いだった。私の身体で暴れ回って、私を動けなくさせたから。




 青空が好きだ。眩しくて暖かくて、生きてるって実感が湧くから。


 小説が好きだ。主人公を見てると私の苦境なんて大したことなくて、まだまだ頑張ろう! って思えるから。


 運動が好きだ。見てるとパワーをもらえるし、いつか私も他のみんなと一緒に外で遊ぼうって思えるから。


 勉強が好きだ。お医者さんがカッコよくて、いつかあの人みたいになるための道標になってくれるから。


 友達が好きだ。よくお見舞いに来てくれて、私の代わりに私がしたいことをやってくれたり、手伝ってくれたりするから。


 親が好きだ。仕事も忙しいのに、よく見舞いに来てくれては楽しくお話したり、喝を入れてくれたり、私が頑張るための起爆剤になってくれるから。


 私が好きだ。色々な人に愛されてるし、将来なりたい私になるために色々な努力をすることができてるから。


 がんが好きだ。私を変えてくれて、私に生きたいと思わせてくれたから。




 やっぱ嘘。がんは嫌いだ。私は、お前なんかに負けないから!

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