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日記を読んだ

×月4日

大好きな翆くんへの愛を込めた日記を書きます。

私と翆くんは幼稚園からの幼馴染で、恋心に気付いたのは翆くんと出会って十年経ったつい昨日。恋とかそういうのばかばかしいと思ってたので、私が翆くんが好きだって気付いた時はびっくりしました。

というより、ずっとないないって思ってました。翆くんといると落ち着いたり、胸がドキドキしたけど、ひどいところもあるからまさかって否定してました。

でも大好きだって思い始めたら、心が清々しくなって、心が苦しくなりました。これが恋の感覚なんだと思います。


×月5日

今日も翆くんと帰りました。

翆くん、今日もかっこよかった。さりげなく道端の石を蹴っていくところとか、私が手を出したら握ってくれるところとか、あのもう大人な声だとか。全部大好き。

もう実質恋人でいいよね?翆くんちゃんとストーリー見てくれるし、私のこと見てくれるし、リイン送ったら返してくれるし。

大好き、全部好き。


×月8日

今日もいっぱい翆くんとお話ししました。

私の髪の毛が好きだって言ってくれました。毎日ちゃんと髪のケアをしているおかげです。

私のこと好きって言ってくれた翆くんが大好き。今日も翆くんのことが大好きです。


×月9日

可愛い、可愛い。翆くんの可愛いところを発見しちゃった。

本を読むのが最近好きなのだって。ちょっと前まで字を読むことは苦手って言ってたのに。急にどうしちゃったのだろう。知りたいな。

本当に、毎日幸せなのです。翆くんとっても可愛くって、でもやっぱりかっこよくって、大好きなのです。


×月10日

今日は翆くんの嫌なところを思い出しちゃいました。

翆くんは気分が悪くなるとすぐ暴言を言います。手が出ます。嫌いなところです。

でもそんなところも今は大好きになっちゃいます。

今日は、翆くんとのリインを見返しながら眠ろう。


×月13日

翆くんの妹さんの茜ちゃんが大好きすぎるところは可愛くて好きだけど苦手です。

私のことを異性としてみてくれない理由がここに集結されてる気がするので。

でも今日も翆くんが好きです。いっぱい翆くん摂取したい。


×月18日

やった、今度デートに行く約束した。デートではないけどデパートに一緒に遊びに行きます。お弁当は私が手作りします。楽しみ。

今日も翆くんのこと大大大好き。手が綺麗で、顔も良くて、何かを思い出して笑っていると

ころも。でも私のこともっと見て欲しい。欲張りでしょうか。


×月19日

わかってます、気づくのが遅すぎたことくらい。翆くんが好きだってもっと早く気づけば良かった。私は愚か者。

もしもっと早かったら告白できていたかもしれない、もし恋心なんてばかばかしいとか思ってなかったらもっといい関係が築けたかもしれない。でももう遅すぎたんです。

ねぇ翆くん私のこと見て。

私なんでもするから。努力するから。ねぇ、お願い。


×月20日

今日、翆くんが本を読み始めた理由を分かった途端とてつもない不安に駆られました。もしかしたら翆くんは私から離れていくかもしれない。嫌だ、怖い。怖くて怖くて、もう眠れません。

助けて、毎日翆くんが夢に出てくるのに、夢に出てこないで欲しい、私に頑張って翆くんのこと忘れられるようにして欲しい。でも眠らないと。翆くん、ねぇ翆くん。お願いです。私のこと、助けて。


×月21日

ちゃんとデートができた。よかった。これで翆くんが私から離れていくかもという不安がはがれました。お弁当も上手にできたし、もう、安心安全です。

今日は安心して眠ります。



嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだ。翆くんが引っ越し準備しているところ見ちゃった、今日一緒に帰ってくれなかった、なんでなんでなんでなんで私のこと好きって言ってくれたのに、髪も料理も服も全部翆くんのお気に入りになれるように頑張っているのに。



何もできない、何もしたくない。日記を書いているのが奇跡。


×月25日

やっぱり私は翆くんの隣にはふさわしくないようだ。茜ちゃんが羨ましい。羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい。茜ちゃん、そこ譲ってよ、私が翆くんの隣にふさわしいんだから。


×月26日

むり、翆くんどこ行くの。私のこと置いていかないで。


×月27日

特別な日、久しぶりに翆くんに会いました。翆くんの隣にいるのはとっても安心しました。

でも私はもう翆くんとあまり一緒にはいられません。翆くんは私を捨ててあの子のところに行きました。だから、特別な日以外は。


×月28日

やっぱりあの子と一緒にいるのは安心します。

でもね茜ちゃん、翆くんの気持ちを代弁して喋らないで。私をこれ以上つらくさせないで。翆くんの口から私に話しかけて欲しい。


×月29日

もう翆くんが私のことを呼んでくれることはありません。呼ぶ時はお前とかあなたとか、そういう風に言います。辛い。隣にいられないことよりも、何よりも、一番辛い。やっぱりもっと早く恋心に気づいておけばよかった。

私は愚か。なんて、愚かなんでしょう。



ご飯食べれていません



やっと少し食べました。

翆くんと一緒にいられる特別な日がどんどんと少なくなっていきます。

卒業が近づいている証です。

翆くんから離れられればどれほどいいことか。悲しい。


×月1日

決めました。私、ヒロインになります。

悲劇のヒロイン。そして、ハッピーエンドを迎えた先では神様になる。そんなヒロイン。

早速計画しなきゃいけないですね。実行する日が楽しみです。



髪を切りました。これも大好きな大好きな翆くんのためです。



今日は実行する日です。がんばります。



遅かった。翆くん、もういなくなっちゃった。



なんで、復讐しようとしたのに、愛してあげたのに、私の愛も憎しみも何も翆くんには伝わらなかったの、なんで、なんで

お願い助けて翆くん私のこと好きって言ってくれたもんねだから私そんな翆くんを愛して大好きで辛くて憎くてお願いお願いお願いお願いお願い



愛が積もりすぎて、目の前がチカチカしてます。



憎くもありました

でも愛しました

許しは心を救うって聞いたのに

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