新たな仲間
地面に落ちていた木の棒を手に取る。
「まぁ、ないよりはマシか…」
しかし、あのボアとかいう魔物かなり素早そうだ。奴の動きを封じたいが…そうだ!!
「何か考えがあるのですね?」
「うむ、僕は天才かもしれんぞ」
先ずは、あいつをおびき寄せる。さっきもこちらを見た途端襲いかかってきた。かなり好戦的な魔物と思っていい。よし、いたぞ。
「こっちだ、アホズラの魔物!!やーいやーい」
「それは何をされているのですか?」
「挑発だよ、見てわからんのか」
「成程、なかなか興味深いですね」
「やめろ、そうまじまじと見られると恥ずかしいだろ!!」
ぶぃぃぃ!!
よし、こっちに一直線に突っ込んできたぞ!
「今だ、スライム!!」
ズブ
急にボアの動きが鈍る。よく見ると足元にスライムが絡みつき上手く身動きが取れない様子。
「貰ったァァ!!」
バギッ
3MSP会得しました。
「お見事でございます」
「ふははは!!これが僕の力だ。では早速いただくか」
待てよ、これ生で食べて大丈夫?お腹壊しそうなんだけど。
「如何致しましたか?」
「いや、なんかコレ生だとお腹壊しそうだなと」
「お任せ下さい」
サリッサはボアを手に取るとおもむろに空へほおり投げた。次の瞬間、サリッサが左手を軽く振るったかと思うとボアの体はみるみる肉と骨とに分解されていく。さらにそれをどこから取り出したのか鋭い棒のような物に指すと、口から勢いよく火を吹き焼き始めた。
「お、お前凄いな」
「メイドですから、料理くらいできて当たり前です」
「最近のメイドすげー」
数分で、その料理は完成した。
「ボアの丸焼き薬草添えでございます」
ジュワァァァ
「超美味そう!!」
パクっ…
うまっ、何これやば。肉から染みでる肉汁と薬草単品では微妙だった物も、油っこいお肉と組み合わせることでこんなにもまろやかになるなんて!!
「如何でしょうか」
「美味い!!なんていうかこう…美味い!!」
あっという間に平らげてしまった。
「食べてから言うのもなんだけど、サリッサの分も取っておけばよかったな」
「問題ありません、私あまり食事を必要としませんので」
さいですか、本人がそう言っているのだからそうなのだろう。それにしても部下をもっと増やさなければ効率が悪すぎる。明日またポイント貯めるしかないか。取り敢えず今日はもう寝よう。幸いなことにスライムは食事も睡眠も要らないらしい、つまり24時間ずっと採取に回せるのでその間ポイントを貯められるわけだ。
しかし、いかんせん遅すぎる。1時間で3ポイント程しか貯まらないのだ。これでは100ポイント貯まるのに数日掛かってしまう。
~翌日~
「おはようございます。スライムのレベルが上がったのでお知らせ致します」
スライム ノーマルレア
レア度 ★
Lv2
HP 35
MP 0
力 3
耐久 10
魔力 0
素早さ 4
幸運 2
スキル 採取Lv2
おぉ、強くなってる。これで少しは効率が良くなるのかな?とは言っても見る限りまだまだ遅い。
1日小動物やら、ボアを狩れば100ポイント溜まるのだが。めちゃめちゃ疲れる。だが、食料はしばらく困らなさそうだ。
「ガチャ〜ガチャ〜♪」
「魔王様ガチャとは何でしょう?」
「ガチャは、ガチャだよ」
サリッサは不思議そうに首を傾げる。僕も何かは分からんがともかくこの儀式はガチャと名ずけた。
「次こそ当たりを頼むぞ…召喚!!」
ギィー!!
「何コレ」
ゴブリン ノーマル
レア度★
Lv2
HP 20
MP 0
力 15
耐久 8
魔力 0
素早さ 13
幸運 2
スキル 狩りLv1
「レア度1…ハズレかぁ」
「魔王様、この魔物に狩りを任せては如何でしょうか?ボア程度の魔物ならば狩れると思いますが」
「流石メイド頭いい!!」
早速ゴブリンに狩りをさせてみたがなかなか効率がいい、僕より倒すの上手いし、何より楽だ。それに後から教えてもらったが、ゴブリンの狩というスキルはどうやら対象を倒した時に1ポイント多くポイントを会得できるようだ。
そのお陰でみるみるポイントが溜まっていく。そして遂に。
「見ろサリッサ!!1000ポイント溜まったぞ」
「おめでとうございます」
そう、夢の10連が出来るのだ。100ポイント溜まる事に何度も使いそうになったが、グッと堪えてなんとか1000ポイント溜まったのだ。僕は早速召喚に移った。
「10回も引くんだ、いいの出てくれよ!召喚!!」
ゴブリン
ゴブリン
ゴブリン
ゴブリン
ゴーレム
ゴブリン
ゴブリン
ドワーフ
スライム
「ちょっと待ったー!!ゴブリン多すぎ!!8割がたゴブリンってどういう事!?」
「まだ、あと1回残っております」
「頼む、いいの来てくれ…」
最後の1匹が出る時は、今までの召喚とは違っていた。禍々しいオーラが辺りを包むと同時に異様な空気が漂う。気づくと中央に黒い影がたたずんでいた。
「報告致します。尚、既に入手しておりますゴブリンとスライムに関しては省略いたします」
ゴブリン×6
スライム×1
ゴーレム レア
レア度★★
Lv9
HP 102
MP 0
力 66
耐久 70
魔力 0
素早さ 2
幸運 0
スキル 頑丈Lv2 自身の耐久値を上昇させる。
力持ちLv1 自身の力を上昇させる。
ドワーフ レア
レア度★★
Lv8
HP 80
MP 5
力 80
耐久 40
魔力 2
素早さ 33
幸運 4
スキル 鍛治Lv3
建築Lv1
「おぉ、どっちも初の魔物か!!じゃあこっちのカッコイイのはなんだ!?」
ダークナイト スーパーレア
レア度★★★
Lv34
HP 866
MP 0
力 921
耐久 500
魔力 0
素早さ 12
幸運 55
スキル 対人戦闘Lv8 対人戦闘において、ステータスに上昇補正
頑丈Lv5 自身の耐久値を上昇させる。
力持ちLv5 自身の力を上昇させる。
闇のオーラLv7 光属性の相手に対して与えるダメージ+
剣術Lv10 剣を装備時、自身の力と素早さに上昇補正
強い、今までの魔物とは明らかに格が違う。こいつは当たりに違いない。それに他のやつもなかなか使えそうだ。特にドワーフの建築と鍛治スキルは重宝するだろう。ゴブリンも数がいて困ることは無いしむしろポイント集めが楽になる。
「ダークナイト君めっちゃカッコイイ、早速試してみたいなぁ」
最初の頃にいたあの魔獣はどうだろうか、今までゴブリンには出会ったらすぐ逃げるよう指示出してたけど、このダークナイト君なら倒せるのでは!?
グルルル
「うわっ噂をしてたらいたよ」
「我が主よ、ご命令を」
「キェェェシャベッタァァ」
「上位の魔物ならば簡単な意思疎通程度なら出来るものもおります」
「そ、そうなの?」
「はい、現に私もこうして貴方様と会話しております」
よく考えたらそれもそうか。
「よし、ダークナイト君。あの魔獣を退治したまえ!!」
「仰せのままに」
ダークナイトは迷うことなく唸り声のする方へと歩み寄る。魔獣は威嚇しながらも迂闊に飛びかかろうとはしてこない。
グルルル
「…」
両者見合ったまま動かない、だが最初に痺れを切らしたのは魔獣の方だった。鋭い爪と牙をむき出しにして、ダークナイトへと襲い掛かるが、ダークナイトは1歩も動こうとはしない。しかし、魔獣の攻撃が当たる直前、一瞬だった。瞬きした間に魔獣は一刀両断されていた。
サンッ
刃が空を切るような音がしたと思ったら、魔獣が両断されていたのだ。
MSP 17ポイント会得しました。
かなり強い魔物だったのだろう、貰えるポイントもかなりのものだ。
「よくやった、ダークナイト君」
「この程度ならば問題ではありません」
なんて頼もしいんだ、これで暫くは安泰だな。
しかし、順調なのはそこまでだった。これまでかなりの魔物を狩ったせいか、思うようにポイントの会得量が増えない。ゴブリン達には辺りを捜索させているのだがなかなか成果が上がらない、もしかしてこの辺りの魔物狩り尽くしちゃった?
「うーむ、あれから10日。224ポイントしか溜まってない」
魔物達にはそれぞれ仕事を与えた、ゴブリン達は狩でのポイント集め、スライム達は薬草の採取、ドワーフには取り敢えず建築スキルで仮住まいを作って貰っているところだ。ゴーレム君はというと…。
「…」
もはや置物である。狩だけならゴブリン達で十分だし、動きも遅い。頭も悪いせいか難しい命令は出来ないしそもそもダークナイトがいる時点でこいつの出る幕は無いのかもしれない。
「よぉ、旦那もうすぐ仮住まいが出来るぜ」
「おぉ本当か!!」
「おうよ、建築スキルも2に上がったみたいだ。だが俺は鍛治の方が得意なんだがなぁ、まぁここじゃ鍛えるもんもねぇか」
そう、ここは森のど真ん中。辺にあるものと言えば鬱蒼と生い茂る木々のみ。その木を使って仮住まいだけは何とか作れたわけだけど。
「なかなかいい家ではないか」
「そう言ってくれると有難いぜ、ただ側は出来たが中はご覧の通りだ」
「そうだな、せめてベット位は欲しい」
「そう思って今作ってるところだ、今日中には出来るからな」
ドワーフ召喚しといて良かった、こいつはレア度の割に当たりなのかもしれない。
ギギィ
お、ゴブリンたちも帰ってきたか。
「む、どうしたその傷は」
見ると切り傷が多い、中には血が流れ出しているものもいる。それに数えてみると1匹少ない。しまった、魔物を狩らせているのだから当然怪我もするか。そうなるとそれを治療する者がいるのか。
「なぁ、サリッサこいつら死ぬとどうなるんだ?」
「それは、もちろんロストします」
だよなぁ、どうしようただでさえ効率が悪くなってきたのにこれでロストしてたのでは意味が無い。
「サリッサは、回復魔法とかは出来ぬのか?」
サリッサは、無情にも首を横に振った。
「残念ながら」
むぅ、では方法は一つしかないか。ポイントは468ポイント4回は回せる訳だ。