神って皆こんななの?
やぁっと描きたかったところに来たので今回はちょっと長いです。
「…………んん」
目を覚ますと、俺はこっちの世界に来て初めて見た夢で出てきたサーカステントの真ん中に居た。スポットライトが俺を照らすの中、目の前には役者が出てくる通路があった。その通路の奥は暗くて何も見えなかった。
「ここは…」
俺が周りを見渡していると、通路の奥で人影が動いた。
俺は咄嗟に外骨格を出して身構えた。
「あら、お目覚めかしら?」
人影の正体は、白黒のスーツにシルクハット、そして白黒のピエロのような仮面をつけた男だった。
「ど〜も〜、私エリスと申します」
エリスと名乗った男は仮面を取り、シルクハットを取って胸に当てながらお辞儀をした。
エリスは金髪のオールバックで青い猫目で、彼はとても表し難い妙な雰囲気を纏っていた。
「こ、ここは何処だ…?僕は森に居たはず」
「そんなに身構えなくて良いわよ?私は貴方に何する気でも無いし、ここは私の世界、私の心の中よ」
「……は?」
何を言っているか理解できなかった。
(エリスの世界?心の中?何を言ってるんだ?)
「盛大に混乱してるわね〜、ま、そりゃそうでしょうけど」
エリスが指を鳴らした。すると次の瞬間目の前に小さなテーブルと椅子が二つ、そして机の上にマカロンやらエクレアやらが乗ったケーキスタンドと紅茶が現れた。
「話はちょっと長くなるからね、お茶でもしながらしましょうか」
「…………」
俺は何もできないので黙って従う事にした。
エリスは紅茶を一口飲んでから話を始めた。
「まず、改めて自己紹介をするわ、私の名前はエリス、この世界を作った神の1人、貴方達からは『嘘の神』とか言われてるわね」
「……………はい?」
「予想通りの反応で安心するわ〜」
曰く俺が行き着いた場所はエリスの神殿だったらしく、本来はデッドソローとあの兎が守っていて誰も近寄らないという。しかしエリスは神の力とかなんとかで異世界から誰かが来たことを察知し、観察してみれば俺という面白そうな奴を発見。その俺がデッドソローが守っている領域に入り、兎を倒した為、ここに導いたとの事だった。(ちなみに神の力で元の世界に直接帰すとかはできないらしい)
「いやさ〜、異世界から来た勇者(笑)の仲間の中に君みたいな弱っちぃ奴がいるとか思ってなくってさwそんで国にも裏切られてここに来たとかなれば呼ぶ以外の選択肢無くない?」
「……………」
(神様って皆んなこんな感じなのかな…)
神様と聞き、どんな奴なのかと身構えたが、そのフランクさやら性悪さで正直拍子抜けだった。
…しかし、次の一言で俺は固まった。
「でもさ、あの性悪王もよくやるよね〜、『この世界を救うにはキーが必要なのです!』とか無駄にキリッとして言っちゃってね〜w私が言うのもなんだけどよくもまぁあんな嘘堂々と言えるわw」
「え?どう言う事…ですか?」
「ん〜?」
(キーはハルマゲドンを防ぐ為の唯一の方法…じゃないのか?王が嘘を?)
「あ〜はいはい、キーの事ね、しっかり説明したげるから、お茶でも飲んで落ち着きなさいよ」
エリスは俺が意味がわからないと言う表情を見て、紅茶を催促した。
「まず、ハルマゲドンなんだけどさ〜、そんなん今のところ起こりそうにはないんだよね、大体それが起きたとしてキーじゃ防げる訳ないし」
「キーは、なんなんですか…?」
俺の疑問に「フフッ」小さく笑い『敬語は使わなくて良い』と言ってから説明を始めた。
曰くキーとはこの世界と他の世界を繋ぐ為の道具、名前の通り鍵だった。王が何のためにそれを集めさせているのかは知らないが、兵器なんかでは無いとの事だった。
それを聞き、俺は一つ疑問が湧いた。
「キーは、世界の鍵…?」
「お、気づいちゃった?」
エリスが不敵に笑ったところを見て、俺は確信した。
(キーを集めることができたら、元の世界に帰られる…!!)
そう思い、バッと立ち上がった所で思いとどまった。
(俺にキーを集められる程の知識と力はない)
俺は成長出来たとはいえまだ勇輝達ほど強くはない、そんな勇輝達が戦いを放棄するほどの魔物、デッドソローほどの怪物がいるこの世界で、俺がキーを集められるほど、八つの種族の場所にたどり付けるわけない。
そう思っていると、またエリスは笑い声をこぼした。
「ちょっと今自分のステータスを見てみなよ」
「?」
不思議に思いながら、俺はステータスを開いた。
桑原優太 17歳 嘘の神の眷属 レベル11
職業 百獣の王
HP 2103
MP 1364
SP 1733
A 1057
B 985
S 826
スキル
《吸収》《外骨格生成》《自動回復(大)》《ポーション生成》《粘液》《痛覚無効》(痛覚を感じなくなる、但し危険信号はしっかり伝わる)《空脚》(跳躍力が爆発的に上昇し、2秒だけ空中で止まることができる)《嘘ノ病》(見た目を自由に変えることができ、他人の嘘が分かりやすくなる)