生きながらえます
「…………」
目が覚めると、俺は地面に横たわっていた。
あのままデッドソローに殺されたかと思ったが、何故かデッドソローは俺をスルーして帰って行ったようだった。
死ななかった事をラッキーと思いつつ、俺は国に戻ろうとした所で足を止めた。
(僕、裏切られたんだよね?)
理由は容易に想像できた。俺の職業が厄介すぎる上ステータスも弱すぎるからだ。どうやらリンドール王国はいらないと思った物は切り捨てる方針らしい。それを思うと、俺は帰る気はなくなった。
(かと言って行く当てもないし、どうしよう)
全身がチクチクと痛み、同時に物凄い気だるさが襲った。
試しにステータスを開いてみればHPが残り1になっていた。俺の低い耐久からみればあのデッドソローの一撃を耐えられたのは奇跡だったのかもしれない。
とりあえず回復のために安心して休憩できる場所を探そうと歩く。すると足元で何かが当たった。
(デッドソローの、骨?)
それは俺を突き飛ばした騎士団員がデッドソローに攻撃を当て、散らばったデッドソローの骨だった。
俺は少し考えた後、骨を拾った。
(ダメ元で………できなくても良いし、できたら最高)
頭の中でそう呟き、できないだろうと思いながら骨に《吸収》使う、すると次の瞬間、骨が眩しく光、気付けば骨は手から亡くなっていた。
(え、せ、成功した!?)
急いで自分のステータスを確認する
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桑原優太 17歳 人間 レベル2
職業 百獣の王
HP 3/120
MP 50
SP 50
A 32
B 26
S 21
スキル
《吸収》《外骨格生成》(体に骨の鎧を作り、纏わせることができる。鎧は衝撃と打撃には弱い。再生にはMPを消費する)
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(な、なんで!?僕が倒したわけじゃないのに)
どうやら自分が倒していなくとも、魔物の一部だったら吸収することはできるらしい。
早速俺はスキルを試すことにした。
「が、外骨格生成」
そう呟くと俺の右腕に白い骨が出てきて、腕を覆った。
(うわっ、ちょっと気持ち悪い)
俺が念じると骨はすぐに消え、そしてもう一度念じればすぐに骨は出てきた。どうやら自由度は大分高いようだ。
(とりあえず…戦闘手段はゲット…これで魔物をかれたら良いんだけど)
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転落1日目
とりあえず水が確保できる場所の発見と、角兎を狩ることに成功。なんとか食料は得ることができた。火は起こせないので生肉を食べなければならなかったが、生きるためなら躊躇はしなかった。味は…御察し
角兎からはスキルは手に入らなかったし、何故かHPの回復も少しだけだったが幾分かはマシになった。
転落2日目
緑色のスライムを発見した。今までスライムは全部青色だったので、変異種か何かかと思う。
慎重に戦って吸収を試みる。
転落3日目
ミドリノスライム、モウイヤ。
すごい、すっっっっごい生命力だった。ゴキブリも顔負け。核を何回潰しても死なないし、スライムだから潰したりなんやらができない。もう二度と戦いたくない。
しかし倒した甲斐はあった。新しいスキル《自動回復(小)》と《ポーション生成》が手に入った。
自動回復(小)の効果は字面通り、少しずつHPを回復できた。今まで回復手段がなかったのでとてもありがたかった。
ポーション生成はMPを200消費し、ポーションを一回回復分だけ作れるという物だった。効果は使ってないのでわからない、というかMPが足りなくて一回分も作れない…いつか作れるようにならなきゃ
転落9日目
大分サバイバル生活に慣れてきた。段々森の奥に来たのか角兎がいなくなり、少し強くなった狐のような魔物が出てくるようになったが、自分も成長できているようで、大して問題はなかった。
そして転落日16目だった。
人間は慣れる生き物、誰かが言ったその言葉を俺は身をもって実感していた。俺はサバイバル生活にすっかり慣れ、今ではすっかり日常になっていた。
あまり見ていないのでわからないが、ステータスも大分上がっているようで、もしかしたらこのまま一生を終えるかもとも思った。
しかし、そんな思想を壊すように、森の奥から『何か』が現れた。
主人公の現在のステータス
桑原優太 17歳 人間 レベル 9
職業 百獣の王
HP 742
MP 238
SP 619
A 127
B 82
S 44
スキル
《吸収》《外骨格生成》《自動回復(小)》《ポーション生成》
魔物を狩りまくったり吸収しまくってるので短期間でかなりレベル上がってます。