表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/38

第7話



「勇者よ。よくぞ、ここまで来た。貴様の力を今ここに示せ。」



 東京タワーも軽々倒しそうな程の巨体。

 少しの腹摺りで大地震並みの地響き。

 分厚い龍翼の羽ばたきは猛烈な台風の様で、その場から吹き飛ばされないように耐えるのがやっとである。


 さすが、ラスボス級だ。




 ——ん?というか、喋るんだな。そっか、そういえばモンスター図鑑に書いてたな。まれに喋れるモンスターもいると。S級クラスのモンスターなら知恵もあるのだろう。




「ふはは、元気なトカゲじゃ!」

 ルシファーは、楽しそうに笑う。




 ファイナルドラゴンは、口から巨大な炎の塊を溜めている。まるで太陽のように眩しくて目も開けられない。



 その凄まじいエネルギー量に、「あ、これはさすがに死んだかな。」と僕は思った。



 さすがに、ルシファーでも倒されはしなくても、無事では済まないだろう。



「行くぞ!冒険者よ!龍の力とくと見るが良い!終焉ノ炎、ファイナルフレ・・」







黒炎(ただのくろいほのお)







 ——ファイナルドラゴンは決め台詞を言う前に消し炭となっていた。


「ふはは、消し炭が残るとは少しはやるようじゃったなトカゲよ!!」

 ルシファーは、小さな牙が見える程、楽しそうに笑っていた。



(こいつ、無敵じゃねぇか・・・)



 と思いつつ、ファイナルドラゴンの落とした光り輝く玉を拾う。これも、高く売れそうだな・・て、あれ?



「なぁ、ルシファー。そういえば僕たちの目的はファイナルドラゴンの鱗1枚だよな。消し炭にしたらダメなんじゃないか?」



 ルシファーは、こっちを向いてハッとした表情をする。



「しまった!楽しくて燃やしてしまったわい!!」



「おい!どうするんだ!!」



 ルシファーは少し悩んだ顔をしたが、すぐに開き直った。



「仕方ないじゃろう!今のわしには黒い炎しか使えないんじゃ。朔が弱いからじゃろう!」



 (だから、その為に鱗を取りに来たんだろ!)と僕は思ったが・・・まあ仕方ない。こんな小悪魔と喧嘩しても仕方がない。そこまで、僕も子どもではない。



 モンスター図鑑を見る僕。確か、倒したモンスターの情報は詳しく追記されている仕組みのはずだ。ええと・・あった、『終焉龍ファイナルドラゴン』S級ボスモンスター。沸き時間1時間。



 ——あらら、意外と早く湧くんだな。仕方ない。1時間待つか・・



「ルシファー!1時間したらまた出現するらしい!とりあえず()()()()()で済む作戦を考えながら、ここで待とう!」



「むぅ、仕方がないのう。なら、朔よ。わしはチョコレートが食べたいぞ。」



 はいはいと思いカバンを開けようとするが、僕はハッと気付く。・・・やばい、ルシファーが寝ている間に僕が残りを食べてしまった・・・



「・・・その、ごめん。僕もお腹が減ってて残りを食べてしまった。」



 僕の言葉を信じられないとばかりに衝撃的な表情をするルシファー。



「ガーーーン!!朔!この愚か者!!ばかばかばかばかばかばか!」

 ただをこねる子どもの小悪魔にポカポカと殴られる僕。




「仕方ないだろ!分かった、帰ったらもっと良いものを買ってあげるから!」



「ばかばかばかばか!なんじゃ!そんなものでわしが許すとでも思うのか!!」



「そうだ!高級な生チョコを買ってやろう!」



 ルシファーのポカポカと殴る手が弱まる。



「な、生チョコじゃと?!」



「ああ、外はふんわり、中はとろーりとした口溶け最高の最高級チョコレートだ。」



「外はふんわり、中はとろーりじゃと!そんな一挙両得のチョコレートが存在するのか?!!」



「ああ、存在する。」



「本当じゃろうな?」



「本当だ。」




 ようやく、ルシファーは僕を殴る手を止めた。




「あー。それは楽しみじゃ。」




 一件落着。上機嫌になったルシファー。

それと同時に、僕たちの後ろから誰かの足音がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ