第1話
『ワールドオンライン』実装初日
僕、プレイヤー名『朔』はさっそく初回限定無料ワールドガチャを引いた。このガチャはランダムに武器、防具、魔法アイテム、ペットなどが手に入る。
本来ならリアルマネー1回10万円のガチャ。
頼む!!!
聖なる伝説の剣!
ダイヤモンドの鎧!
最強の魔法呪文アイテム!
ドラゴンのペット!
何でもいいから強いやつ出てくれ!!平凡な高校二年生の僕にとって、二度と挑戦出来るか分からない最初で最期の運試しだ。今後の僕のゲームライフを大きく握っている。
周りでは、Aランクの聖なる伝説の剣が出たという猛者が現れ、人混みが出来ている。Aランクの排出率は0.1%。1000人に1人の確率だ。
ぜひ、新しいうちのギルドに入ってくれ!
いや、君がマスターとして私達を雇ってくれ!
その剣をリアルマネー1000万で売ってくれ!
私と結婚システムで結婚しない?
など、大金持ちプレイヤーや美人プレイヤーすらも彼に声をかけている。それを尻目に僕は、古いガシャポンのようなデザインをしたガチャのレバーに手をやる。
ーガチャを回しますー
→YES or No
Y....YES!!!
来い!!!頼む!!!
懸命に祈りを捧げる僕。
ーペットが排出されましたー
ペットか!!出来れば武器が良かったが・・・!
僕は機械音のアナウンスに焦りを覚える。
ーGランク 『ルシファー』を召喚しますー
え?え?え?え?え?
なんだそれ!?G???
確か最上級はSランク(0.01%)
最下級はFランク(50%)
Fより下があったのか?!
何かのバグか、いや、それとも僕の聞き間違いか!!?
自分の耳を疑う僕の前に、ルシファーが召喚された。
しかし、僕の想像する堕天使ルシファーとは大きく異なった。
130〜140cmの小さな身長
子どもの様な幼い顔
長い綺麗な金髪と青い瞳
白い質素なドレス
一見、ただの子どもにしか見えない。そして、申し訳程度に、
小さな黒いツノ
小さな黒い羽
小さな黒い尻尾
まるでハロウィンに小悪魔のコスプレをするただの子どもだ。
「終わった・・・」
完全にFランク、もしくはFランク以下のペットだろう。
落胆する僕。
周りのプレイヤーは、見向きもしない。
ああ、あいつはハズレのFランクの小悪魔ペットでも引いたのだ、と一瞥して全くこちらに関心を示していなかった。
そんな、僕に対して、
「わしは、究極なる堕天の王『ルシファー』
なるほど、お主がわしを召喚したのか?ふはははは、褒めてやろう!!!」
小悪魔ペットは自信に満ち溢れていた。