第16話 もう一つのGame ―後編―
12月5日
――A.M.1:31――
「あれは……!」
私はミッサーが躰で拘束している研究員に銃を突きつけ、問い質した。
「あそこに行く道は、何処ですか!?教えてください!」
「そ、そこに階段がある。降りていけば実験場に入れるはずだ……」
それだけ聞き届けた私は言われた方へ向かって駆け出していった。
「ちょっとフミ!?いきなりどうしたのよ!?」
「え、何?フミ姉どこ行くの!?」
「待ちなさい、フミナ!」
ミッサーの言葉もミツバやお姉ちゃんの制止も聞かず、階段を見つけてそこを降りると実験場に辿り着いた。
戦闘一つは行える程の広さがあるが、他の獣人や研究員の姿は一切見受けられない。ただし、実験の為であろう機械が幾つも設置されており、その内の一つに彼が縛り付けられていた。
それはそれ自体に幾つも配線が挿されている椅子のような装置で、背もたれや肘掛けに相当する部分には拘束具が取り付けられている。
さらに彼の頭部をヘルメット状のマシンが覆っており、彼からはこちらが見えてなさそうだ。
間違いなくこれは獣人専用の洗脳マシーンだろう。と、ユウカさんが言った。
これまで何度もそう言った類いの機械を見ている彼女が言うならそうなのだろう。まだ経験が浅い私には何が何やら。
また、彼の姿も見覚えのあるニンゲンの姿ではなかった。
マシンによって目元は覆われてしまっているが、そこから突き出た角とマズル状の鼻口。さらに全身が剛毛で覆われ、手足には偶蹄類の象徴たる蹄があった。
その形態からわかる彼の生類は、恐らく《アメリカバイソン》だ。因みに《バッファロー》と言われる事もあるが、細かく言えばそれは間違いで本来は《スイギュウ》も含めた野牛の総称を指すらしい。
「グレイさん……グレイさん!」
「うう…」
私の呼び声に応じるように彼―――グレイさんは低い唸り声を発した。
「よかった…。やっぱり息はある。でも意識は――――」
「半覚醒ってところかしら。こっちでバイタルチェックができるみたいね」
管制室から聴こえたユウカさんの声にホッと息をつき、直ぐに声を張り上げた。
「本当ですか!?じ、じゃあ、ついでにこれの解除とかもできたりします?」
「私を誰だと思ってるのよ。それで、そいつは本当にアンタの知り合いなの?」
「間違いないですよ!グレイさんです!」
私は躊躇なく言い張った。
確かに獣人態でヒトの外観を失っている彼をパッと見で認知するのは難しいだろう。
しかし、生物にはそれぞれに独特の気配というものがある。
自然界に生きる動物達も、眼や耳・鼻だけでなく第六感で天敵や獲物の存在を察知するように、獣人もお互いに固有の気配を感じとる事で敵味方を判断することが出来る。もちろん、それなりに経験を積んでる獣人なら気配を隠すことは造作もない。
多分、私とグレイさんは同じウシ科という側面と一応は顔見知りだった事もあり、彼を彼だと認識することが出来たんだと思う。
しかし、彼女は一つ息を吐いてから私に言った。
「そう、でも駄目よ。そいつは放って置きなさい」
「――――う……」
「拾ったとしてもメリットなんか何も無いでしょ。ただの足手纏い、邪魔になるだけよ。大体、どうして助ける必要があるわけ?」
「そ、それは……」
彼女の言うことは正しい。事実、このヒトを助けた所で、もう普通の生活は出来ないだろう。ニンゲンに戻る手段も、現状存在しない。それならば、いっそ一思いに殺してしまった方が良いのかもしれない。
「ユウちゃん、その言い方はちょっと酷くない?」
「別に。私はただ、余計な荷物を増やさない方が合理的って話をしてるだけ」
アキさんが少しフォローしてくれたが、それでも私はただただ口籠ってしまうばかりだ。
さっきは思わず飛び出してしまったが、特別助けたくなるような関係が彼と有るわけでもない。
「……てくれ」
「――――!?」
このヒトはもう諦めるしかない――――そう思ったその時、彼の口が僅かに動いていた。
「たす……け…て……くれ……」
「グレイさん!?」
「驚いたわね。その状態でまだ喋れるなんて!」
これには私達全員、眼を見開いて彼を見た。如何に獣人といえど、脳改造に等しい洗脳を受けては、自我を保つ事は難しい。それに耐えているということは、それだけ彼が強い精神を持っている事になる。
「お願いですユウカさん!グレイさんを助けてあげてください‼」
少なくとも、今のグレイさんは苦しんでいる。それがはっきりすると、私は居ても立っても居られなくなった。
私は頭上のガラス越しで頭を掻き毟るユウカさんに強く視線を送った。
――――今後の事は後でまた考えれば良い。それよりも、今は苦しんでいる知り合いを放っては置けない!と伝えるように。
「……分かったわよ。洗脳もされてないみたいだし、そこまで言うなら止めはしないわ」
「では、事情の方は後に私からダンナ様に説明しておきます」
流石は我らがメイド長兼姉だ。話が早い。
そうして、ユウカさんに装置の拘束具を外してもらい、彼の意識を確認した。
「グレイさん!グレイさん!」
《グレイ》というのは彼のゲーマーとしての名なので本名ではないはずだ。だけど、私はそれしか知らないのでその名前で呼び掛け続ける。
「ううっ……!」
ようやく声が届いたのか、顔の側面に付いた瞼が開く。
「だ、誰だ……?」
「良かった、気がついた!私ですフミ…Fです!ゲーマーF!わかりますか⁉」
一瞬本名を言おうとしたが、それではわからないだろうと思って慌てて「F」という自分のよく使うプレイヤー名で答えた。
すると、グレイさんはおぼつかない足でゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡すと私に言った。
「あんた、その角……」
「え?ああ、これですか?ええ。私も獣人ですから」
「な―――じゃあ、あんたもバケモンだっていうのかよ!?」
「まあ、そうなります。でも、どうしてこんな事に?」
今度は私も彼を発見して最初に思った質問をぶつけてみる。
「そ、それは――――」
グレイさんが言いかけたその時、ユウカさんが叫んだ。
「危ない!そこから離れなさい!!」
その言葉と同時に壁が破壊され、二体の獣人が姿を表した。
そのうち一体はヒトに当たる手足の他に腹部から第三・第四の脚を持ち、その全てが節足動物のそれだ。さらに肩部からは豪腕のような触肢を生やし、クモにも似たそのシルエットは完全にヒトの形態を失っている。
もう一体は前者よりもヒトの面影は若干残っているものの、全身が針状の皮膚で覆われている。よく見ると頭にはイカのような口と大きな単眼がこちらを睨んでおり、やはりヒトの外観は失われていた。
前者はウデムシ、後者はウニ――棘の長さから、恐らくガンカゼ――の獣人だ。
「くっ!私でもギリギリまで気づけなかったなんて。この部屋防音性良いわね!?」
などと言葉を吐きつつも、ユウカさんはカタカタとキーボードを打ってデータのダウンロードを試みる。
しかし彼女にはらしくもなく、先程から作業に時間が掛かっているようだ。
その現状に焦りが出たのか、未だ敵を縛り上げているミッサーがしびれを切らして急かしだした。
「そんなコト言ってないで、いつまで掛かってるのよ!」
「うるさい!耳に響く!くうっ―――思ったよりもセキュリティが固いのよ!」
時間の問題だけど、増援が来る前に敵は倒しておいた方がいい。そう呟やき、作業に没頭しつつも周囲に指示を出した。
「ヒトミ!ミツバ!二人はそこの妹と敵を迎撃して!」
「承知しました」
「バッチコイだよー。退屈してたんだ」
「アキ、アンタは二人の代わりに入り口の見張りをやって!ミサはまだそいつらを締め上げてなさい。必要になったとき困るから!」
「オッケー、任せといて」
「いいけど、さっさと済ませてよね」
指示を受け、全員が行動を開始する。私も目の前の獣人を相手にさっき使ったショットガンよりも、近接戦闘に特化したメリケンを構えた。
お姉ちゃん達も管制室のガラスを蹴破ってこっちへ来たのを境に戦闘開始かと思った―――――その時だった。
突然背後から腕を掛けて拘束され、私は身動きが取れなくなっていた。しかしその縛りは素人同然で直ぐに返り討ちに出来る程度のものだ。そこで、振り返って自分を拘束したのは誰か、振り解く前に顔を見てやろうと思って見ると、それは毛深いバッファローの獣人――――グレイさんだったのだ。
「そんな……な、何をするんですか!?離して下さい!」
私は出来るだけ彼を傷つけないよう、半分も力を入れずに抵抗して見せるが、対して彼は本気でこちらを拘束しているようだ。
「う、動くんじゃねえ、動くんじゃねえぞ。さもないと…こ、こいつを殺っちまうぞ!」
グレイさんの声が震えていた。手すら震えていて、実際これを振り解く事はコントローラーにコマンドを入れるよりも簡単だ。
それをわかっているからか、お姉ちゃんとミツバは私とグレイさんを見る降りをして明らかに危険な二体の獣人の方にしか眼を向けていない。
でもどうして?洗脳はされていないはずなのに何故グレイさんは私達を邪魔をするのか。
それを尋ねようとすると、彼は興奮しながら叫び、誰かに問いかけた。
「さあ、出てこいよ!こいつらを出してきたってことは、そういう事なんだろう!?なあ頼むよ!俺を元のニンゲンに戻してくれえっ!」
「――――そ、それってどういう……?」
しかし思いはするものの考えるより早く、声に答えるように状況に異変が生じた。
ガタガタ、と天井から物音が聴こえたのだ。ただし、それに気付いたのは私でも、お姉ちゃんでもミツバでもない。
ユウカさんだ。ウサギの能力を持つ彼女の耳が天井から微かに響く足音を察知したのだ。
「何――――?」
ユウカさんが眉間にシワを寄せていると、ミッサーが巻き付いてまとめて拘束していたクローン達が、なにやらモゾモゾと動きだし。
「え、ちょっと?なにやってんのよ」
「「「――――――ッ!」」」
困惑するミサを無視して、いきなり口を大きく開けたかと思うとクローン達は一斉に舌を噛み自殺を図った。
「なっ――――」
「――――ええ……」
「うそ………」
ドラマとかでもたまに見たりするが、あの方法での自殺は大量出血での死であり、直ぐに死ねるものではない。痛みに苦しみ、その末間もなく絶命する。
元々、彼らはそういう命令を受けていたのだろう。しかしいくら量産型遺伝子操作人間とはいえ、これでは完全に消耗品扱いだ。
いや……《ヴォルフガング》事態、こうして組織のために自殺したり仲間を平気で抹殺するケースが多かったと聞く。彼らもその一員ということか。
突然の捕虜の自害にほんの一瞬狼狽する三人。その隙をついたように、多数の獣人達が天井を突き破って現れた。
オオカミ、ジャッカル、リカオン、ハスキーなど犬科の獣人がほとんどで、その全てがオオカミが遠吠えをするバッジを胸に着けていた。
「《ヴォルフガング》!?そんな、こんな所から!?」
間違いなく先の物音の主だが、まさか天井を突き破ってしかも狭い部屋に大人数の人員を送り込んでくるとはさすがの彼女も予想出来なかったのだろう。まさに袋のネズミ、それを食い殺さんとするオオカミの群れだ。
「グレイさん、離してください!このままじゃ……」
私はなんとか説得を試みるが、気持ちの悪い笑みを浮かべるばかりで聞く耳を持たない。
「うるせぇっ!へへっ、悪いな。あんた達に動いてもらったら困るんだ。お前にはこの前の借りがあるし、ここで大人しく仲間がやられる所を――――」
「キシャアッーー!」
グレイさんのセリフの途中、突然ウデムシ獣人が背後から襲いかかった。しかし標的は私ではなく、明らかにグレイさんだった。
「―――は?」
――――ドカーン!と獣人の身体が小爆発を起こし、奇襲に失敗。爆発の原因はミツバの投げた小型手榴弾だ。
「フミナ!!いつまでぼうっとしているの!?いい加減になさい!」
「――――ハッ!ご、ごめんなさいっ」
先の爆発に勝るとも劣らないお姉ちゃんの怒声が、混乱していた私を正気に戻した。そして言われるまま、毛むくじゃらの腕から脱出した。
グレイさんは呆気にとられて既に力を抜いており、振り解く必要もなくスルリと持ち場へと戻ることができた。
「どういう事だよ……なんであいつらに俺を襲わせた!?」
グレイの問いに先頭に居たハスキーの獣人とリカオンの獣人が割れたガラスを飛び越えて降りてきた。答えたのはハスキーの獣人だ。
「おーおー悪ィ悪ィ。知らなかったのかー」
「……は?」
棒読み調で発せられる言葉の意味がわからない、といった表情を浮かべ、困惑した彼に今度はリカオンの獣人が言葉を続ける。
「わかりませんか?わからないですよねえ知らないのですから。あなたはただの捨駒なんですよ。まあ、組織の実験台にされただけ光栄に思いなさい」
「―――――はあ!?何だよそれ、話が違うじゃねえか!言うことを聞けば、人間に戻してやるって………」
「そんな方法、あるわけないじゃないですかヤダー」
自棄に知的に見えたが、クソ腹立つヤツだった。
だけど、そんな私の感想より、グレイさんはショックで崩れかかっていた。
「そんな……じゃあ俺は、これからどうすれば……」
ボロボロと頭の側面に付いた眼から涙を溢し、絶望に満ちたその顔は見るも哀れだった。
――――ねえちょっと代わってもらえる?
私は自分の胸に手を当てて、黒に語り掛ける。
(知らねえな。あんなヤツ。助ける義理が何処にある?)
黒は素っ気ない態度でこれを断った。
――――お願い。グレイさんのことだけじゃないの。この状況じゃあ私が出るよりもあんたに出てもらった方が都合がいいから。
今、私達が出くわしている状況は、無理ゲーもいいところの大ピンチだ。ユウカさんも作業があと少しで終わる所だとは思うが、この状態では色々と厳しい。
だが、実際はそんなことよりも、私は目の前の哀しき獣人をじっと見つめていた。
(良いのかよ?コイツとは縁が無いってわけじゃあねぇが、コイツの人生はもうメチャクチャだ。一思いに殺しちまった方が後腐れなくて済々すると思うぜ)
―――そんなのは分かってる。でも、逆にそんな風にされた人生のまま終わらせるなんて、そんなのは悲しいよ。
(ハッ!そんなの、お前の独り善がりじゃねぇか。うつつ抜かすんならゲームするときだけにしやがれ)
「――――でも、それでも!眼の前で、こんなに悲しんでいる人を、見過ごす訳にはいかないの!あの時の、あの時のお姉ちゃんやミツバ、それと……わたしみたいに」
そのとき、白と黒はあの時の事を思い出していた。そしてその想いに、理想に――――私の心も少しは揺らいだようだった。
「――――ったくしょうがねえな。いいぜ。今回は手伝ってやる。けどな、コイツの面倒は白が見ろよ!」
私の髪が黒く染まり、腕が、脚が、身体が、獣人化と同時に白と黒の人格が入れ替わる。
「さあて、ようやくだ。こっから戦闘開始だぜ!」
背中に背負ったショットガンを握り、銃口を突きつけた。
「嘗められたものですね。戦場を遊戯だなんて、身の程知らずもいい加減に――――」
蹄を蹴り、まずさっきからムカつくリカオン獣人の顔面に一蹴り入れてやった。
「テ、テメェ!」
殴りかかるハスキー獣人にもう一度銃を向け、トリガーに指を掛ける。
「チィッ!」
流石に至近距離で散弾を食らうまいと、数歩分飛び退いて後退した。
だが離れても弾は当たる。引き金の指を引こうとしたその時、ウニ獣人とウデムシ獣人が襲いかかった。こいつらは奇襲しかしねぇのかよ。
――――ドカーン!!とまたも爆弾が炸裂し、爆風で敵にノックバックが掛かる。
「ナイスミツバ!」
ゲームでアシストしてくれた時と同じ感覚で、ミツバにサムズアップを送る。それに応え、彼女も同じように親指を立てた。
「フミナ!こっちは私達に任せて、貴女はそちらの方々の相手を!」
猟銃で牽制しつつ叫ぶお姉に相槌し、私は既に体勢を整え直していたリカオンとハスキーに殴りかかった。それを視てハスキー獣人が爪を立てて、私の腸目掛けて突っ込んできた。
「このアマァッ!!」
速い。だけど、ミオさんやレイコの姐さんより全然遅い。ヤギの反応速度嘗めんな!
咄嗟の見切りで相手の攻撃を躱し、持っていたショットガンを手放して手足に蹄を作った私は、格ゲーの要領で。
右、下、斜めの順でパンチを入れ、体勢を崩した所でアッパーカットを繰り出すと続けざまに下、斜め、左と連続キックからの回し蹴りでフィニッシュ!
「ぐはあっ‼」
流れるようなコンボをキメて、吹っ飛ばされたハスキーは壁に叩きつけられた。
「ガルァッ‼」
休む暇もなく襲いかかるリカオン獣人に私はもう一本銃を取り出してトリガーを引いた。おっと、誰も一本しかないとは言ってないし隠してもいないぜ。
一方、ウニとウデムシの相手をしてるお姉とミツバだが、対して苦戦はしていない。
既に獣人化したお姉は武器を手放して私と同じように格闘戦に入っていた。流石にフィールドがフィールドなわけで、遠距離用の猟銃では部が悪いだろう。
巨大な触肢がお姉が襲うが、それをするりと抜けて一発一発を的確に叩き込んでいく。私もそうだが、蹄のある獣人はこういった格闘スタイルを取ることが多い。
ミツバも爆弾は使わずになにやらハデな装飾の付いた棒を振るっている。本人曰く、マジカルステッキ(物理)―――要は鈍器だ。相手は全身棘だらけの身体だが、素手で戦わなければ何の問題もない。ましてや、こっちは空飛べていざとなったら爆弾でドカンなのだから相性は最悪だ。
私は上の管制室を見上げ、ユウカさん達の状況を視るが、数の暴力に教われる光景は明らかに劣性だった。
「ははは……いいのですか?お仲間を放っておいて、このままでは時間の問題ですよ」
「ハッ!知るかよそんなもん。私は基本、眼の前のヤツから潰していくプレイスタイルなんだよ」
ボロボロになりながらも軽口を叩くリカオンに私はそう吐き捨ててやった。そうして、さっき床に落とした銃をもう一度手に取って、さらにこうも吐き捨てる。
「けどな、テメエらみたいなザコを相手にするのもいい加減飽きてきた。周回はいいけどgdgdすんのはキライなんでね」
「ンだと…テメェ―――!!」
と、ハスキーが自分の怒りを露にしたところで。
「……調子に乗るなよガキがぁ!クソが、最後まで足掻きやがって!おい、誰かこっちに降りてきやがれェッ!」
キャラ崩壊かよ、というレベルでリカオンが発狂した。しかも呼び掛けに応じて何体か獣人が降りてきた。
「ったく、悪あがきはどっちだよ。『仲間を呼ぶ』しやがって、一番面倒なのはオマエだな。」
「そういっていられるのも今の内だぜ。お前らの仲間はもう限界だ。いつまでも持つはずが―――」
「「「「おっ待たせーーー!」」」
ハスキーの言葉を遮るように、やんちゃな声と共に敵の獣人の一体が吹っ飛ばされてここまで落ちてきた。
「な、なんだ仲間が!?」
「バカな、そんなはずは……」
「今だ、ミツバ!」
「あいよー!」
突然の事に動揺を見せたこの瞬間、私の合図でミツバが爆弾を投擲。今度はさっきよりも強いヤツで、前方二体の獣人に直撃。爆煙が目眩ましになり、私はその中に入って一匹、二匹とダブルショットガンで次々に頭を吹き飛ばして行く。それでもってフィニッシュは――――
「勝利」
ドパン!!と銃声が鳴り響き、私達姉妹は完全圧倒に勝利を納めた。
「フッ、爆発オチなんてサイテーDA☆ZE」
「それ違うから。今言うセリフじゃないから。貴女、言いたいだけでしょう」
煙が晴れ、お姉とカッコつけるミツバの方を見ると、二体の獣人の死体と、落ち着いたのか人間態に戻ったグレイの姿がそこにあった。
獣人図鑑
ウデムシ獣人 タイプ:昆虫型
クモのようなフォルムに肩部から生えた大きな触肢が特徴。戦闘時もこの触肢を獲物に突き刺して自由を奪い、ゆっくりと補食する。脚や腕は自切可能であり、場合によってはこれを用いて逃亡するを
ガンガゼ獣人 タイプ:水棲型
全身にみっちりと生えた刺と頭の単眼が特徴。刺には毒性があり細長く鋭いため皮膚に刺さりやい。さらに折れやすい上に先端に逆刺があるため簡単には抜く事が出来ない。弱点は腹部で刺が少ない。また、ガンガゼは食べる所が少ないが、調理すれば食べられる。




