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プロローグ
青年は探し続けていた。
自分が愛した女性の在り処を。
広大な世界を旅し続けて、なおも見つからぬ恋人よ。
あなたは一体どこにいるのか。
喉が枯れても、名を呼ぼう。
膝をついても、進んでみせよう。
忘れられない。
忘れるはずがない。
瞼に焼き付いた幻想は、未だ衰えず。
ただただ、想いを募らせるばかり。
・・・そうだ。
歩こう。
この道が続く限り。
あの場所にたどり着くまで。
あの人と再び逢うまで。
僕は探し続ける。
混沌の世界の中でも、必ず生き抜く。
それがあの人との約束だから。
たとえ、この荒野に還ろうとも。
ギリシャ神話にある「パンドラの箱」をモチーフに考えました。
実験作品、公開3つ目。