表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の魂  作者: 突撃バカ
5/23

第4話 襲いかかるインド

インドと開戦!!


2月24日



第三独立機動艦隊は舞鶴軍港で停泊していた。同時にもともと舞鶴所属艦隊である第二空母打撃艦隊も停泊していた。


そろそろ日本の艦隊について説明しておくべきだろう。

日本軍は3つの独立機動艦隊、4つの空母打撃艦隊、2つの汎用艦隊によって構成されている。

第一独立機動艦隊の戦力は、金剛級航空巡洋艦4隻、天城級駆逐艦6隻である。

第二独立機動艦隊は、伊勢級巡洋艦4隻と長門級空母2隻、嵐山級駆逐艦4隻である。

第三独立機動艦隊は説明の必要はないだろう。

空母打撃艦隊は全て、旗艦に赤城級空母を使い、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦で編成される。

汎用艦隊は空母はなく、航空戦力もヘリコプターだけだが、対空防御は独立機動艦隊をも上回る。



ちなみに粒子推進器を使用した艦は、第三独立機動艦隊にしか配備されていない。烈火も、配備されているのは独立機動艦隊のみだ。

日本軍の主力は紫電Ⅱ改だった。紫電Ⅱに粒子推進システムを組み込んだ機体で、少々強引な改造だったにも関わらず、かなり扱い易く、高性能な機体に仕上がった。今や、日本の紫電Ⅱ全てが紫電Ⅱ改になっている。見た目は変わらないため、他国は紫電Ⅱを旧式機と思い込んでいる。




第三独立機動艦隊が舞鶴軍港に入港した理由……。それは、インドの日本侵攻が判明したからである。正確には、その疑いだ。

インドは日本を手にできれば、アジア全てを手にしたことになる。今となっては、米露も弱腰だ。誰も文句を言えない。日本を除いて、だが。



「インド軍……か」

純也は大和の甲板に座って、景色を眺めながら言った。

「どうしたんですか?」

大和が心配したように尋ねる。彼女はインド軍が日本侵攻を企てている疑いがあることをまだ知らない。

「……なんでもない」

「嘘は駄目ですよ?」

「何で嘘と思うんだ?」

「純也さんのことはわかります。私に隠し事をするときは、いつも素っ気ないです」

まだ1ヶ月も経たない内に純也のことをここまで知るとは、大和もなかなか一途である。

「本当のことを教えて下さい」

大和が懇願した。

そういうのには弱い純也は、ついに口を割った。

「インド軍が攻めてくるかもしれない……」

「……………」

大和は驚かない。むしろ、ああやっぱり、みたいな顔をしている。

「大体想像できるだろ?」

「はい。別に意外でもありません」

インドが日本を狙っているのは、もはや当然と言えば当然だ。太平洋に進出するのに日本は邪魔なのだ。


「勝てますか?」

大和が心配そうにきく。愚問だ。軍人ならそんな質問をするべきではない。……が、純也は目の前の軍服を着た艦魂を女の子として見ていた。

「ふっ……。当然だ。俺達、戦闘機部隊ばかり活躍して艦隊は暇になるぞ~?」

「そんなこと……純也さんなら有り得そうな……」

否定しようとした大和だが、目の前の純也が戦闘機パイロットとして、凄まじい強さを持っていることを知っているので、曖昧に肯定してしまった。

「はははっ! 冗談だ。戦闘機だけで戦争できたら、軍は全て空軍だけになっちゃうよ」

「当たり前です! 私達、核融合エンジン搭載型航空巡洋艦をなめないで下さい!」

「頼もしいお言葉。なら1人で突っ込んで勝ってきてくれ」

「無理です!」

2人は声を上げて笑った。チラリと純也を見た海兵の軍曹は、何が面白いのかわからなかったが、まるで親友と話しているかのような楽しそうな顔をした純也を見て、幸せ者なんだろうな、と思った。




そして……3月2日。

ついにインドが宣戦布告をした。宣戦同時攻撃だ。

インド軍第2艦隊、第3艦隊の連合艦隊が日本に向かって進軍していた。


インド連合艦隊の現在地は朝鮮半島の西側である。迎撃には第三独立機動艦隊と第二空母打撃艦隊が出撃した。



「出撃……勝たなきゃ……」

初陣で大和はガチガチに緊張していた。現時点で第三独立機動艦隊の旗艦は大和なのだ。その重荷はこの少女にはつらいことだった。

しかし、彼女には心の支えの人がいる。独占できないのが玉に瑕だが、彼なら仕方ないかな、と納得してしまう自分もどこかにいる。もちろん純也のことだ。そして、彼女は恋をしている。恋敵の多い彼に。

「どうしたんだ、大和?」

優しく、まるで慰めるように純也は大和に声をかけた。

「私達が勝たなきゃ、第二空母打撃艦隊が被害を受けます。負けられないです」

「負けられる戦いなんてしない方がマシだしね。気負いすぎだ。言ったろ? 戦闘機部隊が活躍の場を全て奪うって」

「でも、純也さんが危険です!」

「お前、俺の腕を全く信用してないな?」

「い、いえ! これ以上にないくらい頼もしいです!!」

本心だった。彼は、彼女の精神面のダメージだけでなく、物理的攻撃までをも防ぐ存在なのだ。軍艦の艦魂として生まれてしまった彼女を痛みから救うナイト。それが純也であった。

「本当かぁ~? あ~あ、悲しいなぁ~。大和が全く信頼してくれなくて~」

かなりわざとらしい口調の台詞だが、純粋かつドジな大和には、純也の真意に気づかなかった。

「い、いえ! 違う、違うんですぅ!! わ、私はただ……」

「もう大和から降りようかなぁ~?」

悪ふざけで言った純也だったが、効果は想像を遥かに上回った。

「う、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

「おわっ!?」

大和の豹変に純也は驚いた。

「ダメ、ダメェェェェェェェッ!! 行かないでください!! 行ったら自殺します!! う、うぅぅ……うわあああぁぁぁぁんっ!!」

大声で泣き叫ぶ大和に純也は慌てて声をかける。

「嘘だ、嘘!! 冗談だ!!」

そこで、ハッとして大和は少し冷静になった。そして、自分の体たらくを思って……顔だけでなく、体全身真っ赤になった。湯気が出そうな勢いだ。

そして、震える声を辺りに響かせた。

「ば、ば、ばぁ……」

「ば?」

純也は大和のおかしな台詞を聞き、ついつい聞き返してしまった。それがトリガーとなったのか、罪悪感を覚えるような、かわいい顔に涙を浮かべた姿で大和は叫んだ。

「ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





『それは、少尉が悪いです!!』

そう言うのは神楽姉妹の長女以外の艦魂達だった。彼女達に先ほどの大和との事件のことを話したのだが、全面的に純也は否定された。そして、葵に責め立てられた。

「大和長官の純情を踏みにじっています!!」

「大和の純情って言ったって……一体、何なんだ? 実は俺を頼りにしてくれてたとか?」

「……当たってはいるです……。でも一番気づくべきところに気づいてないです……。いや、でもお姉ちゃんのためなら、これでもいいような気も……いや、でも……」

葵はぶつぶつ言って、何やら考え込んでしまった。

「少尉さんって鈍感ですか……?」

「私には病気に思えますです……」

「確かにです……。人知を超えた驚異です……」

「人間ってこんなに鈍くなれるですか……?」

紅桜と紅梅が何かを語り合っている。

純也はこの微妙な雰囲気の中で1人、頭を傾げていた。




「姉貴が悪い」

「大和お姉ちゃんが悪い」

「……アナタが悪い」

妹たちに次々に自分が悪いと指摘される大和。

「少尉のやつは、姉貴を元気づけようとして冗談を言ってたんだぜ、きっと」

「そうだよ、お姉ちゃん!!」

「……愚か……」

「うぅっ……」

妹たちの辛口の指摘に大和は轟沈だ。彼女は純也と同じく、他人に相談したのだ。

「でも、ショックだったんだもん……」

偽らざる本心だった。彼が自分から離れて届かない所に行くなんて耐えられない。

「まぁ、今のうちに……」

少尉との距離を詰めようかな、という台詞はどうにか飲み込んだ。危うく言いかけた近江だった。

「お兄ちゃんにあいたいなぁ~」

「……武蔵は素直過ぎ」

「とりあえず、謝れよ、姉貴?」

「うん……」

大和も自分にも悪いところがあったことは、承知していた。





翌日の朝日が昇り始めた頃……


大和は純也に謝ることをようやく決意し、純也の寝ている個室に向かった。しかし……


ウウウーーーーー!!


警報が鳴った。戦闘準備の知らせだった。

10メートル先の純也の個室から純也が出てきた。

「純也さん!!」

大和の声に振り向いた純也だったが、大和が言葉を続ける前に口を開いた。

「大和、今から戦闘準備だ!! 悪いが、帰ってからな!!」

そう言って彼は走っていった。大和はその場で、突っ立っていた。







純也は大和に一言謝るべきか、と思ったが、仕方ないと割り切った。戦いを切り抜けば、いくらでもチャンスがある。


飛行甲板には烈火が8機、スタンバイ状態になっていた。それに純也や龍太、晴香などのスパロー飛行隊パイロットが乗り込んでいく。

ブリーフィングで聞いた作戦内容は、大和、武蔵の烈火部隊、第二空母打撃艦隊旗艦の空母加賀の艦載機、紫電Ⅱ改40機の計56機で、敵艦隊に攻撃を加える。

被害を増やした後、第二次攻撃隊が出撃。さらにその後、第三独立機動艦隊が艦隊戦を開始する。相手に陣形を整える隙を与えないのだ。



「スパロー離艦!! 俺達は戦闘機の相手だ!! 行くぞ!」

スパロー飛行隊の隊長が無駄に大きな声で叫んだ。

8機の烈火が垂直離陸を始め、ズバン!!という音と共に、天空の彼方へ消えていった。計56機の戦闘機が敵艦隊へと向かった。




独立機動艦隊の戦闘機隊は対空役だ。85式空対空誘導弾を12発搭載し、83式空対艦誘導弾も2発搭載している。

紫電は4発の85式空対空誘導弾、4発の83式空対艦誘導弾を搭載していた。


大和はその頃、CICにいた。ここなら戦況が手に取るようにわかるからだ。

「純也さん……頑張って下さい。……死なないで……!」

「アイツは死にそうにないなぁ~」

「誰ですか!?」

いきなり背後から声をかけられ、驚く大和。

「俺は君の艦長だ」

「かん……ちょう?」

大和は聞き返すように呟いた。

「そうだ。アイツは死なんぞ」

「何でそう言えるんですか!?」

大和は猛烈に反論した。

「戦争に絶対はありません! それは艦長もご存知なはずです!!」

「まぁ、確かに絶対はない。だがな……」

そこで艦長はまるで遠くにいる純也を見るような目で続けた。

「アイツの戦闘訓練の成績を見れば、不安なんて消し飛ぶぞ?」

「あの模擬戦は私も見ました。しかし……」

「あんなの序の口だ」

「へ?」

大和はその言葉を聞いて、間抜けな声を上げた。

「アイツはな、お前に配属される前に、新生イギリス帝国との模擬戦で優秀過ぎる成績を残したんだ。イギリス人からは化け物呼ばわりされていたぞ?」

「そんなに強かったんですか?」

「旧式の紫電Ⅱ1機でイギリス空軍の最新鋭機を50機以上撃墜した。対艦任務では、大型艦3隻撃沈。もちろん、仮想空間上でな」

「なっ……!?」

はっきり言って、まさに化け物だ。なのにあの人は大したことないと言っている。どれだけ謙虚なのだろうか……。

「アイツは死なん。そう信じてやれ。俺の息子は死ぬはずがない」

大和は自分の耳を疑った。この人は……今、息子って……。

「お父様……なんですか?」


「ああ。仲は良くない。アイツ……勝手に死亡率が高い戦闘機パイロットになりやがって……。俺は艦長を目指せって言ったのに」

「喧嘩……されたんですか?」

「そうだ。それ以来、口をきいていない」

「そんなの駄目ですよ!!」

大和は大声で叫んだ。

「もし、どちらかが死んでしまったら、生き残った方は一生後悔します!!」

「そうだな……。この戦いが終わったら謝りに行くか。お前も来てくれよ?」

「はい。ですけど、私も純也さんと喧嘩しちゃって……。私も謝らなきゃいけないんです」

「いいな、君は。そんなに早く和解できるなんて。俺は2年間だぞ?」

「ならば、その空白の時間に終止符をうちましょう!!」

「ふふっ……。そうだな」

谷水艦長と大和は2人で微笑んだ。







インド連合艦隊旗艦空母ガネーシャ



「何だと!? 敵艦隊は2艦隊だと!?」

艦隊司令長官は叫んだ。

「はい!! 巡洋艦4、駆逐艦4の艦隊です」

「……ふむ。大した戦力ではないな」

兵の報告で冷静になった艦隊司令長官は呟いた。実際、数量上では第三独立機動艦隊が加わっても、インド連合艦隊の約2割程度の数しかない。

「構わない。作戦に支障はないだろう」

その判断は間違いだったことを僅か1時間後に死をもって知ることとなる。







大和

「はぁ~」


作者

「どうした?」


大和

「純也さんと喧嘩しちゃいました……」


作者

「仲直りすれば?」


大和

「簡単に言わないで下さい」


作者

「でもさ、早く仲直りしないと、彼を誰かにとられるよ?」


大和

「そんなの駄目ぇ!! 何とかして早く謝らなきゃ!!」


作者

「……そうだ!! 読者の皆さんにお願いです!!」


大和

「何をですか?」


作者

「一番好きなヒロインを感想で書いてください!!」


大和

「ええぇぇぇっ!?」


作者

「よろしくお願いします!! では!!」


大和

「ちょっと作者さん!? あ、えと……失礼しましたぁ!!」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ