第18話 女難の相あり!?
更新速度の低下は、学校が課題を絶望的な量で渡してくれやがるからです……。
誰か助けてー
↑
まぁ、助ける方法などありませんが(笑)
先日の戦いの4日後……
第三独立機動艦隊は横須賀基地に帰還していた。
爆牙の飛魂、ランとの出会いがあり、純也は更なる試練が訪れていた。
「ちゃんと磨きなさい!!」
そう言って、ランは純也の頭をげしげしと蹴った。
現在の状況は、純也が爆牙の機体の掃除……機体表面を磨いており、機体の上からランが見下ろすという状況を、大和と武蔵が見ているという状況だ。
もちろん、大和も武蔵もプリプリ怒っている。
「お兄ちゃんに乱暴するなぁ!!」
「うっさいわね!! いいでしょ!? 私の下僕なんだから!!」
「よくないです!! 純也さんをあなたの好きにはさせません!!」
「何よ!? 人を悪人みたいに……!!」
「俺から見たら、相当悪人なんだが?」
「下僕のくせに勝手に喋るなぁ!!」
「理不尽だ!!」
何をやっているのやら……
「っていうか、純也さん!! 何でいいなりになって磨いてるんですか!?」
赤面で叫ぶ大和。その赤さは怒りによるものなのか?
「いやさ……。親父に自分の機体の整備を手伝えって言われたからなぁ~。できる整備ってこんくらいだし」
「だからって、お兄ちゃんを下僕みたいに扱うなんて許せないよ!!」
「いいじゃない。下僕なんだし」
「お兄ちゃんをバカにするなぁ!!」
「そうです!! もう怒りました!! 八つ裂きにしてやります!!」
いやいや……
最初から怒ってたし。普段、お前は八つ裂きなんて言わないだろ?
心の中でつっこむ純也。
「まあまあ、大和、武蔵。これ以外は、やらないか『純也さん(お兄ちゃん)(下僕)は黙ってて!!』……なんで?」
明らか状況がおかしいぞ?
何で当事者である俺が黙らないといけない?
純也は自分のおかれている理不尽な状況を恨んだ。
純也は仕方なく、機体の掃除だけして、アホみたいな戦場からサッサと逃げ出すことにした。
「純也、明日から2日間、外出許可が出るぞ?」
そう言うのは純也の父、谷水長官。先ほど、大和艦内の通路で純也とバッタリ会ったのだ。
そのまま、大和から出る道を歩く2人。
「外出しても会う人いないよ……」
純也は寂しさを滲ました苦笑いをしながら言った。
「いるだろ、モテ男。3人も」
「あ、あいつら?」
「会いにくいか?」
「そりゃあ、約束破って死にかけたからな」
「言わなきゃいいだろう、純也。俺の息子ながら大したチキン野郎だ」
「親父……殺すぞ?」
「……すまん」
瞬間的に発散された純也の殺人的殺気を感知した長官は、素早く逃げの一手に出た。
「ああ、そう言えば純也」
谷水長官は思い出したように切り出した。
「お前、本日付けで大和航空隊隊長スパロー1に任命だ」
「は?」
純也はキョトンとした顔をした。実は、純也はチーム戦よりも個人戦が強いので、部隊の司令塔なる隊長には向かないのだ。エースの悲しい性質だ。
エース部隊とて、大概は個人能力で押しまくる部隊だ。
「……親父、俺が隊長には向かないこと知ってるだろ?」
「知ってるとも。だがな……お前みたいなエースが、爆牙を使って隊長してたら士気が上がるだろ?」
なるほど。それが理由か。
「なら、やってやってもいい。……が、司令塔としては期待すんなよ?」
「期待してるよ」
「するなって!!」
親子でアホな漫才をし、大和を出たところで2人は別れた。
長官は基地司令部、純也は厚生センターへ向かった。厚生センターには、食堂やちょっとした娯楽施設がある。
その一角に、外出許可申請所があり、そこで外出許可を申請するのだ。純也はもちろん、幼なじみ達に会いに行くのだ。
仮にも、純也の帰りを待っていてくれる人達だ。たまには顔を出すべきだろう。
そして、純也は2日間にかけて、外出許可をとった。そして、谷水長官に電話をした。
内容は……
「親父……大和達に説明よろしく!」
めんどくさいことを押しつけることだった。
翌日……
純也は基地から出て、東京の都市部にある大きなマンションへ向かった。綺麗なマンションで、実はここに純也の部屋がある。父の方もほとんど帰らないので、ほとんど留守にしているのだが。
そして、そのマンションの玄関には……
「純也!! 会いたかったよぉ~!!」
「このバカ!! 心配ばっかりかけて!!」
「ほ、本当に……し、心配しました……」
3人の幼なじみ達が待っていてくれた。
明るい性格をしているのが、佐々木奈緒、バカ呼ばわりしたのが天野友紀、自信なさげなのが矢川琴美だ。
「……何でお前ら、俺が帰んの知ってるんだよ?」
そう。純也はこの3人に連絡も何も入れていない。純也が帰ってくるのを知ってるはずがないのだ。
だが、すぐに犯人がわかった。
「えっ!? 純也のお父さんから電話かかってきたよ!?」
「アタシんとこもよ?」
「あ、あの……私も……」
……絞首刑確定。死ね親父。
心の底から落胆した純也は、とりあえず自分の部屋へむかうことにした。
「ちょっと待ってよ、純也ぁ!!」
「待ちなさい!!」
「あ、ま、待ってくださ~い……へぎゃ!?」
琴美は持ち前の鈍くささで見事に転倒。
だが、健気にもすぐ立ち上がり、みんなを追いかけた。正確には純也を。
それはこの3人の共通点だ。
「いろいろと聞きたいことがある」
『何?』
純也は心に秘めていた疑問をうち明けた。
「何で許可もとらずに堂々と俺ん家に入って来れんだよ!!」
幼なじみ3人組は、純也の許可をとらずに堂々と純也の部屋に入っていた。
「いいじゃない、純也ぁ~」
「そうよ……ち、ちっちゃい時……い、一緒に……って、ああもう!! アタシがいいって言ったらいいの!!」
「いいわけあるかぁ!!」
「あ、あの……私は……ダメですか?」
琴美の涙目+上目遣いに勝てる方法を、誰か教えてくれ……
純也は心の中でそう呟いて、琴美に対しては……
「仕方ないな……」
で、許可してしまった。琴美の涙にはかなり弱い純也だ。
それを見て激怒するのは残された2人だ。
「ちょっと!! 何で琴美はいいのよ、純也!?」
「このバカ、殺すわ……!!」
ああ、めんどくさい……。
「わかったよ、うっさいなぁ!! 好きにしてくれ!!」
純也はついにヤケクソだ。もう抵抗しても無駄だと悟ったのだろう。
そして、何もない家の中で何もする事がない4人は、沈黙してしまった。
その沈黙を破ったのは、意外にも、おとなしい琴美だった。
「あ、あの……軍隊では大丈夫でしたか?」
「それ!! 私も気になるよ、純也ぁ!!」
「アタシもよ!! 言いなさい、純也!!」
こうなったら拒否権はない。ほとんどの権利(基本的人権にいたるまで)を純也から剥奪していくのだ、この3人は。
「まぁ……大事件も起こらずに平和だ」
とりあえず、大嘘を吐く純也。死にかけた、なんて口が裂けても言えない。
その瞬間、死にかけの、さらにその先へ旅立ってしまうフラグが立つからだ。
純也は自分の命が惜しかった。少なくとも、幼なじみにボコリンチにされて、ミンチ肉になった死体で発見される未来は御免だ。
「そう……ですか……」
怪訝な目で純也を見る琴美。純也は、バレたのか、と身を強ばらせた。
……が、それが裏目に出た。
「嘘です……!! 身を強ばらせました。私が見つめると、後ろめたいことがあるときに身を強ばらせるのは純也の癖です!!」
なんたる洞察力。もはやストーカー。正直怖い……。
「まぁ……俺が生きてるから、その程度のことしか起きてないよ」
実際、笑えないような状況にたたされた純也だが、納得してくれるように、そう言った。事実、生きてるし。
「そう……な、なら、いいんですが……」
琴美が少し安心したように言った。
しかし、奈緒と友紀が納得してなかった。
「ちょっと待って、純也!!」
「アンタ……!! もしかして実戦したんじゃ……!?」
「いや……まぁ……な。でも、日本は戦争中だ。珍しいことじゃない」
「でも……!! ケガするんじゃ!?」
すまん、奈緒。すでに1回、死にかけてる。
「このバカが、いくらしぶといからって……」
しぶとさについては自分でも驚いてる。
「と、とりあえず生きてるんだから、大丈夫だ!!」
ばれない内に、会話の内容を変えようとする純也。
だが、そうそう上手くいくもんじゃない。
「純也……ほんとーうに、大丈夫なのね?」
奈緒が疑り深い目で純也を見て言う。
「あ、ああ。ま、まあな」
少しタジタジになる純也。
「……ま、いいわ。純也のお父さんに聞くしね」
純也は冷や汗をかいた。
後で口裏合わせをしとかないといけない、と内心焦りながら純也は思った。
「で、でも……わ、私、純也が心配です……」
琴美が言った。
純也としては嬉しいのやら悲しいのやら。
「あ、そうだ……」
奈緒が何かを閃いた。その閃きは、純也の平和な世界を破壊した。
「私達も、純也の艦に乗るわ!!」
「はぁ!? 無理無理!! 民間人が軍艦なんて……」
「純也のお父さんに頼めば大丈夫よ。確か……独立なんたら艦隊って、裁量権が大きいんでしょ?」
「んな、ムチャな。第一、軍艦で何もしないのは……」
「私達、料理が得意だから糧食班に入るわ」
「最悪だ……」
特に、マジで入って来れそうなところが。
純也は心の中で、そう付け足した。
あのクソ親父ならやりかねん……!!
純也の休暇は、1日目の午前から嵐にみまわれていた……
作者
「出たよ、幼なじみの3人!!」
陸奥
「個性豊かな子達ね」
長門
「あぁ~、琴美ちゃん可愛い~」
琴美
「へくちっ!!」
友紀
「琴美、風邪?」
琴美
「わかんないです……」
佳奈
「今日は暖かくして寝てよ? 風邪こじらしたらダメだから」
友紀
「そうそう。純也みたいなバカは風邪ひかないけど、アタシ達は風邪ひくんだから」
琴美
「う……何だか頷きがたいです……」




