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永遠の魂  作者: 突撃バカ
15/23

第13話 地獄からの脱出

日本軍艦隊は大活躍です。

しかし……

大和CIC



「海竜が1機墜ちました!!」

CIC要員の声に騒然となるCIC。

「墜ちた海竜の乗員は!?」

谷水艦長が尋ねた。

「救援ビーコンです……メッセージ受信。読み上げます。『ワレ、敵部隊ノ猛攻ニサラサレテイル。至急、援護ヲ求ム。マタ、谷水純也少尉ヲ救出シタ。彼ハ無事ダ』です!!」

その報告に艦魂達は歓喜の声を上げた。

「純也さん……生きてたよ!! やったぁ!!」

「お兄ちゃん……うっ、うっ……生きてて良かったよぉ……」

「まったく……心配かけやがって!!」

『ですです』

だが、まだ安心していないのが信濃だ。

「……まだ助かってない。……このままじゃ……」

「悲観するな。航空部隊出撃。10機でいい。ヘリコプター4機もだ。絶対に助け出せ!!」

谷水艦長は叫んだ。

「その場合、現場到着まで30分かかります。烈火はともかく、ヘリコプターは遅いですから」

「なら少しでも早く飛ばせ!! 時間をかけ過ぎると、アイツらがなぶり殺しにされる!!」

「……っ!! 了解!!」


そして、救援部隊がその3分後に出撃した。



一方、純也達は……



「やばいな……敵だらけだ……」

純也は呟いた。

ここは北京都市部から離れた森林地帯。周囲には中隊規模の敵部隊が展開していると思われる。

墜落でみんな負傷している。パイロットは残念ながら死んでしまった。だが、彼が上手く墜落してくれなかったら、純也達は死んでいただろう。


周囲では銃弾が跳ね回り、やかましい音をがなり立てている。真夜中にも関わらず騒々しい。


純也の持っているレールガンも残弾が少ない。デッドフォースの隊員達もそうだろう。

「純也君、救援部隊を寄越してくれるってさ」

竜也大尉が大声で言った。

「見捨てられちゃ、困りますからね!!」

「そりゃそうだ!!」





大和CIC


「艦長、敵の大規模航空隊が救援部隊に接近中!! 400です!!」

「何だと!? くそっ……奴ら、増援を呼んだのか!?」

谷水艦長は叫んだ。奴らは救援部隊だけでも殺す気か……。

「出せる戦闘機を全て出せ!!」

「了解です!!」

だが、この判断は敵の思うつぼだった。







「戦闘機隊、敵部隊と交戦。救援部隊は作戦続行」

CIC要員の報告にほっとする艦長。

だが……

「警告!! 敵艦隊を確認。ステルス艦隊です」

「くそ、はめられたか……」

「どうします、艦長!?」

「我が艦隊、初の艦隊戦だ。勝ってやろうじゃないか!!」

艦長はそう言うと艦隊の指揮を始めた。

「敵艦隊ミサイル発射!! 計……400発!?」

「今、敵艦隊の陣容を確認しました。巡洋艦8隻、駆逐艦12隻!! クラスは不明」

部下の報告に冷静に対処する艦長。

「迎撃ミサイル発射!! 真っ直ぐ飛んでくるミサイルは戦闘機と違って、範囲兵器が有効だ!! 全VLSにSWM(衝撃波ミサイル)装填!!」

「第1VLS装填。第2VLS装填!! 他艦も装填完了!!」

「座標は本艦隊を基点に方位165から180。高度は0から2000をカバー!!」

「誘導装置に入力完了!!」

「よし!! 砲門開放!! 撃てぇ!!」


大和級巡洋艦と神楽級駆逐艦から大量の炎を吹き出して、ミサイルが発射された。



ミサイルは所定座標まで飛んでいく。そして、丁度敵ミサイルに近づいたときに、炸裂した。

爆発は思いの外小さい。……が、無色透明の指向性粒子が効果範囲の万物を破壊し尽くす。

SWMは弾頭が大きく、速度も出ない上に座標指定式の誘導方式のため、戦闘機には効果がない。

……が、バカ正直に突っ込んでくるミサイルには効果的だ。

400発のミサイルは粉々に粉砕され、夜空を赤く照らした。


その間に第三独立機動艦隊は次の行動を始めていた。



「粒子エネルギー砲、敵艦隊を照準!!」

艦長の命令を素早く実行する部下。

「粒子収束器起動!! 粒子充填!!」

「収束粒子、発射可能域到達。粒子加速器に収束粒子を移動」

「粒子エネルギー砲発射準備完了。他艦も続いて完了!!」

「よし、容赦するな!! 粒子エネルギー砲、発射!!」

艦長の下令とともに4艦の艦首にある粒子エネルギー砲が膨大な光の束を放出した。

粒子機関砲の理論を発展させた粒子エネルギー砲。

破壊力は未知数だが、凄まじいものと推測される。

その光の束が敵艦隊に襲いかかる。

光の束の1つが巡洋艦1隻を丸ごと呑み込む。

巡洋艦はドロドロに溶けて、溶けた金属が次々と蒸発した。

近くを掠めた駆逐艦は全身を真っ赤に焼かれ、金属が溶けて原型を留めていない。船底までもが、溶け始め、沸騰した海水が内部に流れ込み、乗員は釜茹でにされてしまった。グツグツと煮込まれて死亡する乗員。さらに、浸水し続けていく。結果、赤く焼けた見る影のない駆逐艦は海底へと引きずり込まれた。

次々と溶けていく艦。

高速で飛ぶ、莫大なエネルギーを持った粒子は、破壊力も凄いが、空気摩擦や敵艦との衝突による熱は凄まじいものだった。


4つの光の束は海面を蒸発させながら彼方へと飛んでいった。

射程は400キロ。400キロ進むと消滅する。



直撃を受けた艦隊はひどい状態だ。

巡洋艦は6隻が溶けて沈んだ。直撃を受けた艦は完全に蒸発してしまった。

駆逐艦も大半が沈没した。






「敵艦隊撤退です!!」

「よくやった……ふぅ、1発限りの化け物砲は凄まじいな」

そう、1発限りだ。撃った砲塔も深刻なダメージを負うため、1発撃ったら砲塔自体を交換しなくてはならない。

……が、敵艦隊を一瞬で壊滅状態に持ち込める兵器だから、それでもお釣りがくる。


「艦長、すげーな」

近江が誇らしそうに言った。

「さすが、お兄ちゃんのお父さん!!」

「親子ともども、すごすぎですよ」

武蔵と大和が賞賛する。

「誉めすぎだ、照れるぞ」

谷水艦長は年の割には幼い性格をしているようだ。大和達が初めて見た、艦長の一面だった。







一方、純也の方は……


「くそっ!! 多すぎる!!」

純也は叫んだ。生き残ったのは純也と竜也、菊常直樹きくじょう なおき中尉だった。

「ヘリコプターはまだか!?」

菊常が叫ぶ。

「もうすぐです!!」

絶望的な状況の中、純也は叫んだ。

「撃ち返して!! 接近される!!」

竜也の声に反応した2人は接近中の敵を撃った。

レールガンのアルミ弾を食らって、頭から脳漿を撒き散らす敵兵。



マズい……敵が集団で突っ込んでくる!!



純也がそう思ったとき……

音速で飛ぶ何かが上空を通過した。青く輝く粒子。烈火だ。

そして、そのすぐ後に多目的ヘリコプターの海竜が来た。ミニガンを撃ちまくって敵を薙払う。頭部を粉砕されたり、体を吹き飛ばされて内臓を撒き散らす敵を見て、純也は吐き気がした。

その時、ミサイルが海竜に飛んできた。

海竜はフレアを撒いて、ミサイルの赤外線センサーを欺瞞した。

だが、運の悪いことにミサイルが引き寄せられたのは、純也の近くに落ちてきたフレアだった。


ズガン!!


近距離でミサイルの爆発を食らった純也。5メートルほど飛ばされた純也だが、彼はしぶとく生きていた。

だが、さすがに瀕死だ。体のパーツを失ってはいないものの、出血多量だ。そのままにしておくと、すぐに死んでしまうほどの重傷だ。

「少尉、しっかりしろ!!」

菊常が駆け寄って純也を担いだ。目指すは、30メートル先にある開けた場所に着陸した海竜。

3機の海竜が敵と交戦しているが、数が多すぎる。この森林地帯のいたるところに敵兵がいるらしく、そっちの対応で大忙しだ。

海竜から降りた救援部隊と竜也が海竜の近くから援護射撃をする。

だが、敵は確実に近づいてくる。

朦朧とした意識の中でも、ついに純也は口を開いた。

「中尉……もういいです。俺を捨てて脱出して下さい……」

だが、菊常は凄い剣幕で拒否した。

「ふざけるな!! そんなことができるか!!」

「何でですか……? 今日……それも、さっき知り合ったばかりです……。管轄も違うし、階級もアナタの方が……くはっ……う、上です……」

途中で吐血しながらも、純也は言った。

「だからといって……見捨てる理由にはならない!! 傷ついた仲間を見捨てられるか!! 基地で死んだアイツ……哲郎てつろうは、自分が爆発が起こる前に基地から出ることは不可能と思って足止めを引き受けた!! お前は何だ!? 俺に迷惑をかけるからか!?」

そして、不意に優しい声で菊常は言った。

「それに……お前は死ぬには若すぎる。お前は俺とは違って、待ってくれている人がいるだろう……?」

菊常は‘デッドフォース’。死んだはずの兵士が集まる部隊だ。全てを国家に捧げ、待ってくれている人もいない。


「だから……お前は見捨てん!!」

菊常は力強く言った。


ヘリまで10メートル。敵の攻撃が激しくなる。弾丸が当たりを薙払う。だが、それでも菊常は進む。装備重量は純也を合わせて90キロを超えている。

ゆっくりとだが、確実にヘリに近づく2人。

あと5メートル。


だが……


バスン!!


と、いう音が聞こえた瞬間、純也は地面に叩きつけられた。

「かっ……はっ!!」

純也は血を吐き出した。ぼやける視界。

だが、目の前に倒れた菊常がピクリとも動かないことに、純也は恐怖を感じた。

「菊常中尉!!」

菊常中尉は心臓を撃ち抜かれていた。それを理解した純也の瞳から涙が溢れた。

「中尉!! そんな……中尉ぃ!!」

「逃げろ、純也君!!」

竜也が叫ぶ。

「ですが……」

「彼は即死だ!! 彼は君が死ぬことを望んでいない!!」

そう言って、竜也と救援部隊の1人が純也を強引に担ぎ上げて、ヘリコプターへつっこんだ。

だが、そこへ敵の銃弾。

最悪なことに銃弾は純也に当たった。

「ぐあっ!! くはっ……」

凄まじい激痛で意識が混濁していく。

だが、その中でも純也が確かに感じた強い感情がある。


憎悪だ。


そして、純也の意識は暗転した。









この戦いでわかったことがある。

日本軍は無敵ではない。強いが完全無欠ではない。

最初の戦闘ではほぼ一方的に勝利した日本軍航空部隊だが、北京強襲では多くの戦闘機が失われた。


このことは海軍にも当てはまる。

次の戦いは容易ではない。海軍にも被害が出る可能性がある。



そう考えるのは、第三独立機動艦隊司令長官 谷水長官だった……








長門

「あら~? あの子死んじゃうわよ~?」


作者

「そりゃあ、瀕死の状態に更なる弾丸を食らえばね……」


陸奥

「これを知ってるのは私達だけよね?」


作者

「はい。……まぁ、アンタらも本編じゃ知らないよ?」


長門

「大和ちゃん、悲しむわ、きっと~」


陸奥

「大和だけじゃないわよ? 第二独立機動艦隊でも、嵐山が……」


嵐山

「呼びましたか?」


陸奥

「あ、嵐山? い、いや……何でもないわ」


嵐山

「? 私の勘違いでしたか、申し訳ない……」


陸奥

「あ、あはは……下がっていいよ?」


嵐山

「わかりました……では」


陸奥

「言える訳ない……よね」


長門

「あの子、色々と大和ちゃん達を悲しませそうだわ~」


陸奥

「うん……二重の意味でね……」


作者

「純也は一体どうなったのか!?」


陸奥

「あなた、知ってるでしょ? 常に5話くらい余裕もってるくらいだから」


作者

「教える訳ないだろ? では、皆さんさようなら!!」


長門、陸奥

『さようなら』



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