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永遠の魂  作者: 突撃バカ
11/23

第9話 北京強襲partⅡ


現在、3月19日20時……



北京付近の海域上空では、光の粒子をばらまく航空機が圧倒的な数で北京に向かっていた。そして、それを迎え撃とうとインド軍北京航空隊が全力出撃した。



60もの烈火が編隊を組んで飛行している。第二・三独立機動艦隊から出撃した飛行隊だ。

「スパロー1からスパロー各機。前方にレーダーコンタクト。戦闘機と思われる。数……400!?」

敵は圧倒的な物量で戦うつもりだ。スパロー3こと純也は思った。だが、彼は負けられない。出撃前……今日の夕方、大和に約束したのだ。

……艦隊には傷一つつけさせやしないと。そして、無事に帰ってくると。


純也はコクピットの中で、死の危険が迫っているわけではないが、走馬灯のようにその経緯を思い出した。








「ブリーフィング、どうでした?」

ここは純也の自室。大和は純也に興味本位で尋ねた。現在は3月19日朝10時。独立機動艦隊は昨日の内にでも北京を奇襲攻撃できたが、朝鮮半島上陸部隊の準備が遅れていたために、1日ずらすことになっていた。

「そうだな……少しヤバいかも」

「え……?」

大和は純也の、「大丈夫だよ」、という言葉を期待していただけに、とても不安になった。

「何かあったんですか?」

「PMCが雇われているらしい……」

「ぴ、ぴーえむしー?」

大和はPMCを初めて聞いたため、何のことやらわからない。いつもの純也なら苦笑混じりに大和に教えるだろうが、今回は教えはするものの、どこか浮かばない顔だった。

「PMCっていうのは、民間軍事会社のことだ。要は傭兵団みたいなものだよ。……普通のPMCなら問題ないのに……」

「何か問題があるんですか?」

「そのPMCは《ウルズ・ミリタリー・サービス》、略称‘UMS’っていうんだけど、彼らは航空部隊に……」

続く純也の台詞に大和は戦慄した。

「粒子エンジンシステム搭載機がある」

「えぇぇっ!?」

日本以外では開発されていないはずの粒子エンジンシステム搭載機が、何故PMCに?

そういう大和の思考を見透かしたように純也は言葉を続けた。

「去年の8月、粒子エンジンシステムが開発された2ヶ月後だな。その時に粒子エンジンシステムの研究員が何人か謎の失踪をとげたことを知ってるか?」

正直、初耳だ。

「多分、UMSに誘拐されたんだと思う。幸い、UMSは粒子エンジンシステムを自分達だけで独占する腹づもりらしい」

ということは、今のところ粒子エンジンシステムが他の軍隊やPMCに渡ることはないと言っていい。

「今回の敵機は粒子エンジンシステム搭載機ということですか?」

「断定はできない。だけど、もし粒子エンジンシステム搭載機だったら苦戦を強いられる。PMCの性質上、彼らの‘社員’達はかなりの腕前だ……」

「純也さん……」

大和が心配そうな顔で純也を見たが、あろうことか純也はそれに気づかず、「まだ仕事があるから」と言って、去っていってしまった。


大和は心の中の大きな不安をどうしたら良いか、全くわからなかった……







大和CIC



「敵機接近中! 緊急戦闘配備!」

CIC要員が叫んだ。現在12時。敵航空部隊がレーダーに映った。

「敵の速度は!?」

谷水艦長が大声で尋ねた。

「は、速い!? マッハ4です!」

「くっ……! UMSか!?」

マッハ4は粒子エンジンでなければ出せない速度だ。

「敵は後何分で到着する!?」

「5分です!」

「くそっ! 今出られる戦闘機を全て出せ! 本艦からは誰が出られる!?」

「格納庫で整備の手伝いをしていた、スパロー1、3、4です!」

おそらく、彼ら以外は間に合わない。

「早く出撃させろ!!」

「了解!!」






大和格納庫



「スパロー3、4離陸だ!! 俺に続け!!」

航空機エレベーターで格納庫から飛行甲板に出た3機は垂直離陸を開始した。

他の艦にも離陸を開始した機はいるが、第二・三独立機動艦隊合わせて20機だ。

「スパロー3よりCIC!! 敵機の数は!?」

【28機だ。全機粒子エンジンシステム搭載機だ。気をつけろ!!】

「了解!!」


垂直離陸を完了し、一気に加速した20機の烈火は敵機がいる方向へ機首を向けた。

接敵まで後2分……





「おい!! 日本艦隊から戦闘機が出てきたぞ!?」

「早すぎる!! 日本人の対応は予想以上だ。奇襲攻撃は失敗だぞ、アレン!?」

アレンと呼ばれた戦闘機パイロットはコクピットの中でほくそ笑んだ。この男は先日、重要人物の護衛をしていた男だ。

「いいじゃないか。戦いがいがある。腕前の方も良さそうだ」

アレンはニヤリと笑って言った。

彼は自分と互角以上に戦えるライバルが欲しかったのだ。そして、この戦いでライバルを見つけるのだった……







ウルズ・ミリタリー・サービス社の粒子エンジンシステム搭載機はカナード翼がついていた。昔の戦闘機である、《タイフーン》をステルス機らしいフォルムにしたかのような戦闘機だ。

そして、その機体の名は《UFー1 トルネード》。

それと戦うのは《Fー22》のようなステルス機らしいフォルム、《Fー14》のような可変翼、尾翼とカナード翼がついていて、翼が合計4対ついている《Fー6 烈火》だった。


純也は機体モードをミリタリーに変更し、85式空対空誘導弾を選択した。敵機が射程に入り、純也は操縦桿についている発射ボタンを押した。

胴体の下部についた格納式ウェポンベイが展開して素早くミサイルを放った。その時間、僅か1秒。

純也以外の機体も次々とミサイルを発射した。もちろん敵も……。

互いのミサイルがすれ違い、互いにミサイルに襲われる。

「回避だあぁぁぁっ!!」

スパロー飛行隊隊長が無線を通しても頭が痛くなるような声を上げた。そんなこと言われなくとも、全機回避行動に移った。

純也に迫るミサイルは2発。1発目はギリギリまで引き寄せてバレルロールで回避。バレルロールとは、進行方向を軸にして樽みたいな円形を描くように機体を翻す機動のことだ。

間髪入れずに2発目が接近。真正面だ。

純也は反射的に操縦桿の‘発射トリガー’を引いた。ミサイル発射ボタンではない。

機体についている粒子機関砲が光の弾丸をばらまく。実際は光ではなくて、破壊エネルギーなどなどを含んだ凶悪な粒子の塊だ。一発一発が戦車砲顔負けの威力である粒子弾がミサイルに襲いかかる。

ミサイルは粒子弾に弾頭からロケットエンジンまで貫通されて、爆発し空中四散した。迎撃成功だ。


だが……


味方の反応が5分の1ほど消滅していた。回避しきれなかったようだ。敵の反応も同様に減っている。


「くそっ……! スパロー4が!」

純也は吐き捨てるように言った。スパロー4の反応が見当たらない。やられたようだ。その証拠にスパロー4がいたはずの空域には黒煙が立ちこめている。パラシュートは確認できず。



これは確実に死んだ。


純也は冷静にそう判断した。一瞬、スパロー4のパイロットを思い出す。とても気さくでノリが良く、ムードメーカーだった男……。それが今、無惨で無様な金属の破片と共に四散した。


覚悟はしていた。……が、実際に経験するのは覚悟するのとは違う。彼の死が重くのしかかる。

今まで敵兵をたくさん殺しておいて何を、と自分でも思う。しかし、純也には近江の言葉が繰り返し響いていた。



“みんなに死んでほしくない”



「……俺だって……そう思ってるよ……だけど!」

純也はそこで持ち直した。

「これは戦争なんだ!」

敵との距離はかなり縮まり、ドッグファイトの間合いに入った。

とりあえず、前方にいる1機の敵機がこちらに機首を向けているのが見えた。攻撃されるのを先読みして機体を翻す。

先ほどまでスパロー3がいた空域を赤く光る粒子弾が切り裂く。やはり敵も粒子兵器を持っているようだ。


だが当たらなければ関係ない。素早い動きで敵機の背後をとったスパロー3は敵機を瞬殺した。敵機は反応する間もなかった。あまりの素早さに敵機がスパロー3を見失ったからだ。

純也の動きを見た敵機が2機で襲ってくる。接近し過ぎてミサイルの間合いから外れている。

2機分の粒子機関砲弾幕がスパロー3に襲いかかる。その合間を抜けるように回避するスパロー3。

敵機2機はスパロー3の背後について、ひたすら粒子機関砲を撃ちまくったが、華麗な回避機動でかすりもしない。

熱中し過ぎたのだろうか。2機のトルネードはスパロー3にかなり接近してしまっていた。


もちろん純也がこのチャンスを逃すわけがなく、‘クルビット’を行い、2機の背後を取り返した。

慌てるのは2機のトルネードの方だ。必死に回避機動をとる2機。

しかし、完全に読まれていて、粒子機関砲の偏差射撃によって2機とも粉々に消し飛んだ。


純也の操縦技術を見て、ほくそ笑む男が1人。アレンだ。

「見つけた……! 最高の敵を!!」

彼は対等に戦える敵を探し求めていた。そして、ついに今、発見したのだ。

「俺と勝負しろ……日本のエース!」

アレンのトルネードは純也の烈火に向かって一直線に突進した。




純也は急速に接近してくる敵機をレーダーで認識した。単騎で突っ込んでくる。

純也は操縦桿で機体を操り、敵機の方へ機首を向けた。


純也は85式空対空誘導弾を選択して敵機をレーダーロックする。躊躇わず発射。


ミサイルがマッハ12で敵に突っ込む。着弾までは5秒ほど。だが、純也の目の前で、敵機は凄まじい回避機動をとった。

いきなり機体を垂直にさせて、‘コブラ’のような状態になった敵機。一気に減速するが、ミサイルは回避できない。むしろ当たりやすくなる。



しかし……



敵機は純也のそんな考えを嘲笑うかのような行動にでた。


コブラのまま失速したのだ。


「なにっ!?」

純也は叫んだ。なぜなら、敵機が失速していきなりほぼ垂直方向に高度を低下させたため、純也のミサイルが外れてしまったからだ。すぐさま信管爆発が起こるが、失速したまま機体を立て直さない敵機は、既に効果範囲から脱していた。


そして、そのすぐ後に機体を安定させて戦闘機動を取り始めた。


「なかなかのパイロットか……!」

純也は舌打ちしながら敵機と相対した……







続く

大和

「一体、あのパイロットは何なんですか!?」


作者

「まあまあ、落ち着いて」


大和

「落ち着けませんよ!!」


近江

「大丈夫だ、姉貴。アイツがそうそう死ぬかっての」


作者

「さっき物影でお祈りしてた奴とは思えない……」


近江

「見てたのか!?」


作者

「聞こえてた!?」









信濃

「……作者が下手くそだから、回想の途中で続く……ってなっちゃいました……」


武蔵

「ごめんなさい……」



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