受付窓口21
扉の向こうに
受付マスターランク進級試験
進級試験の通知は、前触れなく届く。
王国印付き。
拒否権なし。
「……早すぎないか?」
封書を読んだ瞬間の感想はそれだった。
通常、受付ランクの昇格には数年を要する。
前例も慣例も、そうなっている。
だが――
「特例、ですか」
副長が乾いた声を漏らす。
「国家推薦。しかも最上位審査」
「笑えない冗談ですね」
「冗談ならどれほど良かったか」
試験内容を見て、空気が変わった。
⸻
■ 試験名
総合災害対応評価試験
■ 試験形式
実地・非公開・妨害あり
⸻
「……妨害あり?」
「ええ」
副長の顔色が悪い。
「意図的に混乱を発生させる、と」
「つまり」
「窓口を崩壊させに来る試験です」
受付職の試験とは思えない単語だった。
「戦闘試験ではありません」
「だが安全保障も保証されません」
「死亡事故の前例も……一応あります」
「一応って言うな」
頭痛がしてきた。
さらに問題は続く。
「試験官は?」
「不明」
「参加人数は?」
「不明」
「発生事象は?」
「不明」
「情報ゼロか」
「いえ」
副長が一枚の追記資料を差し出した。
⸻
■ 合格条件
窓口機能を維持せよ
⸻
それだけだった。
「……シンプルすぎるだろ」
「最悪の部類の試験ですね」
受付とは、
秩序の職業だ。
それを意図的に壊される状況下で、
通常業務を維持しろという。
つまりこの試験は――
受付という存在そのものへの挑戦。
俺は静かに封書を閉じた。
「いつだ」
「三日後」
「準備期間短すぎないか?」
「奇襲想定試験ですので」
「試験官は容赦しませんよ」
当然だ。
受付マスターランク。
都市運営級。
国家安定級。
その資格審査なのだから。
深く息を吐く。
「……面白い」
「え?」
「窓口を崩壊させる、か」
わずかに口角が上がる。
「やれるもんならやってみろ」
受付窓口21。
世界で最も地味で、
最も過酷な試験が始まる。
何かあれば
なるほど




