エピソード2.学園七不思議の殺人 第5話 旧校舎の謎
登場人物紹介
三条 百合子 私立探偵
浜松 義郎 探偵助手
矢部 ゆり 生徒会会長、学生
明智 あかね 弓道部、学生
加納 かなこ 美術部、学生
佐伯 さくら 茶道部、学生
天堂 ちなつ 吹奏楽部、学生
名取 ねね 放送部、学生
羽村 ほたる 生活指導担当教師
牧村 まもる 担任教師
八代 八千代 八代学園理事長
天貝 悠仁 警視庁捜査一課警部
*登場する名称は全てフィクションです。
事務所の扉が開き、誰か入って来た。
「あの...三条先生にお願いしたい案件があるんですが...。」
何かヤバいオーラ出てるよこの人...。
「どのようなご用件でしょうか。」
「うちの学園の七不思議の謎を解いて頂きたいんです。」
「七不思議ですか...、うちは超常現象とかやっていないんですが。まあ、どうぞ。」
年配の女性だ。何となく気品があるが、何かある感じだな。
「あっ、申し遅れました。わたくし八代学園で理事長をしております八代八千代と申します。」
「その理事長さんが私に何を調べて欲しいんでしょうか。」
「私は前理事長が亡くなったので、最近学園に来ました。ですが、学園にある旧校舎について聞いても誰も話さないんです。」
「何かありそうだから調べて欲しいと言うことですね。」
「はい、しかも旧校舎には七不思議があると言われていますが、それが何なのかは誰も知らないんです。」
知られてないことがあたしゃ不思議だよ。
「成る程、分かりました。改めて学園を調査する準備が出来たら連絡しますね。」
「所長、今日から学園の調査ですね。頑張って下さい。」
「はっ?浜松君...君はどうするつもりだい。」
「はい、所長の留守をしっかり守ります。」
「アンタも一緒に学園の調査をするんだよ。」
「えっ?私が調査ですか?」
「そりゃ助手なんだから当たり前でしょ。」
「私助手になれたんですね。てっきりパシリだとばかり思ってました。」
「失礼ね。なんでパシリ雇うのよ。さあ、早く支度しなさい。」
「ここが例の学園ね。」
一見普通の学園のようだが、何かありそうだな。
「理事長、それでは調査を始めたいのですが...。」
八代目八代学園八代八千代って...なんなのよ...。八と代が多すぎよ。
「三条さん、何か。」
「学園内で探偵がウロウロすれば目立って調査になりません。教師として対応することは出来ますか。」
「分かりました。手配致します。後は生活指導担当教師の羽村先生にお願いすることにします。」
「生活指導担当の羽村ほたると言います。三条先生はどちらの学校にいたんですか。」
いやいや探偵事務所なんすけど...、あっ!
「西鶴大学で教えてました。」
宮城君...話せて良かった。助かったよ。
「凄いですね、三条先生。あの西鶴大学で教鞭を取るなんて。」
ううっ...教鞭じゃなくて狂言なんすけどね...。
「ええ、まあ...それ程でも...。」
「三条先生にはこちらのクラスの副担任をお願いします。牧村先生、こちらにお願い出来ますか。」
「どうしました、羽村先生。」
「本日から先生のクラスの副担任をすることになった三条先生です。」
「三条百合子です。よろしくお願いします。」
「そうですか、私は牧村まもるです。これからクラスを一緒に見ていきましょう。」
ここが受け持ちクラスか。どんな生徒がいるんかな。
「みんな、今日からこのクラスの副担任になる三条先生だ。」
「三条百合子です。みなさん、よろしくね。」
「三条先生...質問があります。」
ほら来た、定番のカレシの件だよね。
「先生は本当に西鶴大学で教師をしていましたよね。」
ナニ、この生徒鋭いな。何でバレた?
「こら、矢部。三条先生に失礼だぞ。すいません三条先生。」
矢部かぁ...ヤベー生徒だなってダジャレか...。
「矢部さん、きちんと教えていましたよ。」
「そうですか。失礼しました。三条先生すいません。」
まあ、頭良さそうな生徒だから気を付けよ。
「三条先生、ちょっといいですか。」
この生徒は...確か明智さん?探偵か?
「どうしました明智さん。」
「私弓道部なんですけど、先日顧問の先生が辞めてしまって困ってるんですよ。三条先生に顧問頼めますか。」
ふっふっふっ、アタシゃ自慢じゃないけど、道と名のつくものは全くダメなんだよ。
「弓道ねぇ...やったことないから分からないなぁ。」
「先生、名前だけでいいんです。顧問いないと部活出来なくて...。」
まあ...名前くらいならいいか...。
「分かりました。弓道部の顧問を引き受けましょう。」
「ありがとうございます。放課後弓道場でお待ちしてます。」
あーあ、何で引き受けてしまったかなぁ...。
昼休みだ。
何となく屋上でのお弁当とかはいい感じだ。
ん?先客か...。
「どうしたんですか、加納さん。」
「あっ、三条先生。一緒にお弁当食べる。」
「そう言うの嫌いじゃないわよ。」
「やっぱ三条先生はサイコーだね。」
しかし...私が来なければ1人か...。
「教室でみんなと食べないの。」
「私、絵が好きなんだけど、騒がしいのキライなんだ。」
「美術部だったわね。どんな絵を描くの。」
「先生には見せてあげるよ。今度美術室に来てね。」
アタシゃ絵が下手だから、あまり良し悪しは分からんけどねぇ...。
放課後。弓道場に向かう。
「明智さん、待ちましたか。」
「あっ先生、大丈夫です。昔の道場は旧校舎だったんで大変でしたけど、今はこの校舎にあるから助かります。」
何だって、旧校舎の情報だね。
「明智さん、ちょっといいかしら。」
「何でしょう先生。」
「旧校舎の七不思議って聞いたことある?」
「先生...そう言うの好きなんですか...。」
何か知ってそうだな。
「少し小耳に...聞こえてきただけよ...。」
「じゃあ、今度一緒に旧校舎探検をしませんか。」
第6話 予告
旧校舎にまつわる言い伝え。全てが揃うと惨劇が起こるですって?
次回 「地塗られた道場」
学園編スタートしました。
いよいよこれからです。
ではまた。




