エピソード1.断崖屋敷の殺人 第4話 犯人はアナタよ!
登場人物紹介
三条 百合子 私立探偵
御影 千春 百合子の友人
西鶴 大善 西鶴財閥の総帥、屋敷の主人
錦織 大和 タナトス社社長
宮城 悟 西鶴大学学生
柊 沙那美 サイカーエージェントの女優
浜松 義郎 西鶴邸執事
柳瀬 凜香 西鶴邸メイド
天貝 悠仁 警視庁捜査一課警部
*登場する名称は全てフィクションです。
「今回の錦織さん殺害の犯人はこの中にいます!」
「三条様、犯人はどなたなのでしょうか。」
「まあまあ、浜松さん。順に説明しますね。」
「まず、柊さん。あなたの部屋には水が無かった。だからわざわざ台所まで来る必要があった。そうですね。」
「そうよ。探しても無かったから行ったのよ。」
「では...その水のボトルはどうしたのか。」
「誰かが飲んだとか?」
「いや、冷やしたんですよ。冷蔵庫では無く冷凍庫でね。」
「三条さん!それが…。」
「今回の被害者は殴打されて亡くなった。検証の結果棍棒のようなもので殴られたとのことです。つまり凍らせたボトルで殴打して殺害した。これが凶器です。」
「次に殺害時刻ですが、柊さんが聞いた物音は殺害した時の音です。時刻は死亡推定時刻と一致します。」
「あの時の音が...。」
柊さんがしゃがみこむ。
「宮城君、あなた台所に行っていませんね。」
「はい...、嘘ついてすいません...。」
「台所ではずっと浜松さんがいた。では、宮城君はどこにいたのか...。それは柳瀬さんが知ってますよね。」
「はい...広間です...。」
「そもそも柳瀬さんは宮城君の恋人ですね。この屋敷で働くと知り、宮城君は心配になってこのパーティーに参加した。」
「どうして心配なんかするんだね、三条さん。」
「屋敷の主、西鶴さんは無類の女好きとしてその界隈では有名なんですよ。若いメイドがいたら彼氏さんは心配になりますよね。」
「なんじゃと!ワシがなに...。」
「西鶴さん、何故パーティーを2日間する必要があるのでしょうか。私は最初夜帰ろうとしましたけど...。」
「うっ、そっ...それは...。」
「まあ、殺人とは関係ないので、先に進めます。夕食後から柳瀬さんが失踪、いやかくまっていたのは宮城さんです。」
「凜香を守りたかったんです。」
「まあ、お二人が仲がいいのはいいですが、問題は朝です。お二人が向かった広間には殺害された錦織さんが倒れていた。」
「はい、殺されていました。」
「そこで柳瀬さんにトラブルが発生しましたね。」
「服の裾に血がついてしまったんです。」
「そんな折、柊さんが血まみれの錦織さんを見て悲鳴をあげた。血がついた服を着た柳瀬さんが疑われると考えた宮城さんは咄嗟に血を拭いたんですね。」
「はい...すいません...。」
「これが出血死にも関わらず血の無い遺体のカラクリですよ。」
「三条さん、柊さんの所から凶器を持ち出し、錦織さんを殴ったのは誰なんです?」
「ところで、錦織さんの名前はみなさんご存知ですか?」
「錦織社長ですよね...、なんでしたっけ...。」
「この中にいるただ一人の人は知っています。そう...御影千春さん、あなたですよ。」
「ゆっ、百合子...いや...私もたまたま知っていただけだよ...。」
「千春、わざわざ私をパーティーに招待したのには理由があるわね。」
「ふっ、普通に楽しみたかっただけだよ...。」
「昨夜、私は錦織さんとテラスで話をしたわ。その時あなたは近くで話を聞いていた。ボトルを凍らせて凶器にする話を聞いていたわね。」
「いっ、いや聞いてないから。急速冷凍とか...あっ。」
「あなたの本当の目的は錦織さんとの婚約を私に証人としてなってもらいたかった。でも錦織さんは他の女性ばかり気にしていた。」
「大和さんなら分かってくれると信じていたのに...。」
「あなたは愛情から一気に憎悪の気持ちに傾いた。私に睡眠薬を仕込み、眠ったのを確認してから錦織さんを呼び出した。」
「重大な話をしたいって言ったらアイツ何て言ったと思う。俺には関係ないとかほざいたのよ!」
「イケメンなんてそんなものなのかもしれないわね。あなたの怒りが爆発したのも分かる気がする。でもね、殺人だけはダメなのよ。」
「百合子...ゴメン...。」
「三条先生、お見事な推理でした。」
「天貝警部、少しはご自身で考えてみてはどうかしら。」
「いやー、頭使うのはどうにも苦手でして...。」
「天貝警部、千春のことお願いね。」
「分かっております。まあ、司法の判断は我々の感知するところではないですが...。」
その後、宮城君と柳瀬さんは取り調べを受けたそうだ。まあ、大した罪にはならんだろ。
西鶴のエロジジイは悪評がたち、事業を他人に継承し田舎に引っ越したみたいだ。
柊さんは今回の事件がトラウマになったみたいで女優を引退した。理由は話さなかったけどね。
千春にはあの後面会に行った。だいぶ元気そうだから何とかするでしょ。
そうそう...執事の浜松君...。
「三条所長、この案件いかがしますか。」
「浜松君に任せるわ。」
「いやいや、何か私ばっかりこき使われてるような...。」
「アンタが下働きでいいからとか言うからでしょ。」
「それはそうですが...。」
事務所の扉が開き、誰か入って来た。
「あの...三条先生にお願いしたい案件があるんですが...。」
何かヤバいオーラ出てるよこの人...。
「どのようなご用件でしょうか。」
「うちの学園の七不思議の謎を解いて頂きたいんです。」
エピソード1.断崖屋敷の殺人 完
第5話 予告
旧校舎にかけられた呪い?そんな折学生が殺された。新たな事件が始まる!
次回 エピソード2.学園七不思議の殺人
「旧校舎の謎」
いよいよ次回より新展開。
新たなる殺人の舞台は学園。
ではまた。




