エピソード1.断崖屋敷の殺人 第1話 殺人事件は突然に
登場人物紹介
三条 百合子 私立探偵
御影 千春 百合子の友人
西鶴 大善 西鶴財閥の総帥、屋敷の主人
錦織 大和 タナトス社社長
宮城 悟 西鶴大学学生
柊 沙那美 サイカーエージェントの女優
浜松 義郎 西鶴邸執事
柳瀬 凜香 西鶴邸メイド
天貝 悠仁 警視庁捜査一課警部
*登場する名称は全てフィクションです。
日曜日の静かな朝。
「いやー、今日はのんびりすごすかな。」
何て考えてたら、いきなり携帯が鳴った。
「誰よ、こんな朝っぱらから電話するの。」
ちょっとムっとしたけど電話に出る。
「はい、もしもしどちらさん?」
「百合子ーおはよー!」
何だよ千春かい。一体なんなんだよ。
「千春、何朝からテンション高いんだよ。」
「ねえねえ、百合子も一緒にパーティーに行こうよ。」
はっ?何の為にアタシが行かなきゃならんのだい。
「千春、悪いけどパーティーは苦手でねぇ。パスだわ。」
「そんなこと言わないでついて来てよ。私一人じゃいやだよ...。」
そうだった。千春は一人でガンガン行くタイプじゃなかったな。
「分かったよ。一緒に行ってやるよ。いつどこのパーティーだい。」
「今日のお昼にあるよ。場所は西鶴邸だよ。」
ナニ!今日の昼だと。時間あまりないよ。それに西鶴ってもしかして...。
「あのさ、聞き間違いかもしれんけど、西鶴邸ってあの西鶴財閥のことじゃないよね。」
「百合子よく分かったね。じゃあ現地でね。」
はぁ?西鶴財閥と言えば色んな事業をしているとこだよな。まあ、千春も御影家のお嬢様だからそんなもんか。
「ひぇー、西鶴邸凄いな。」
「百合子間に合ったね。」
「間に合ったじゃないよ。大変だったんだからね。」
「百合子の好きなご馳走も出るみたいだよ。」
何かアタシが意地汚いみたいじゃないか。
まあ、ご馳走は好きだけどね。
「千春、何か凄い人来てるよね。」
周りをキョロキョロ見る。
あっ、あの女の人女優の柊沙那美だよ。
「ああ、柊さんだ。こんにちは。」
「あら御影さんのところのお嬢さんじゃない。」
なにー、千春知り合いなのか。
「そちらの方は?」
「友人の三条百合子です。」
「三条さん、よろしくね。」
うわー、有名人のオーラが凄いよ。
ん?あそこのイケメンは誰だ?
「千春、あそこのイケメ…、いや男性は誰なの。」
「流石、百合子も目をつけたか。」
そりゃそうだろ。イケメンはいるだけで尊いんだよ。
「あの人はタナトス社の社長さんで錦織さんだよ。」
千春ナイス!アタシをパーティーに誘ってくれてありがとう。
まずはお近づきに…。
「あっ、あの、タナトス社の錦織社長ですよね。」
「おや、どちらのご令嬢でしたかね。初めてお会いすると思いますが。」
れっ、令嬢!なんという心地よい響き。
私の人生では無縁と思われた呼び方だよ。
「私は令嬢では無く、しがない私立探偵をしてます。」
「探偵さんでしたか。事件とか色々話を聞きたいですね。」
はいはい、いくらでも話ますよ。なんなら一日中でも。
「失礼ですが、探偵さんのお名前は何と言いますか。」
「三条です。」
なんなら百合子って呼んでもらってもいいです。
「では三条さん、後程またお話ししましょう。」
ううっ、イケメンが行ってしまった...。
あれ?会場の端っこに誰かいる。
「千春、あの端っこの人誰?」
「宮城君だよ。西鶴大学に行ってるんだよ。」
西鶴大学だとー。あの偏差値最高クラスの学校じゃないか。挨拶しとくか。
「あの、私三条と言います。宮城さんですよね。」
「はいそうです。どこかでお会いしましたか?」
ここで初対面でーす。インテリボーイさん。
「いえ、友人の千春…いや御影さんから聞いたんですよ。」
「御影さんのご友人でしたか。失礼しました。」
千春がこちらに来る。
「百合子、そろそろパーティー始まるよ。」
屋敷の主人が広間に入って来た。
西鶴大善だ。一代でここまで築いた大物だ。
「みなさん、本日はようこそいらっしゃいました。ではパーティーを開催しましょう。」
ご馳走だぁ...。いやいや、あまりがっつくのははしたない。上品にせねば...って分からん...。
いやーパーティー凄かったな。
さてと帰るか。
「千春、それじゃ帰るね。」
「百合子、パーティー途中で帰るの?」
はっ?途中ってみんないなくね?
「千春...誰もいないんだけど...。」
「今日はここに泊まって明日のパーティーに出るんだよ。」
なになに?なんて言った。明日だと...。
「そんなにやるのか...パーティー...。」
「そうだよ。知らなかったの?」
知る訳ないでしょ!金持ちとは縁遠いアタシだよ。
「泊まるなんて...知らんかったよ...。」
「三条様、ご心配無用でございます。」
ん?ダレだいアンタ...。
「申し遅れました。わたくし執事の浜松と申します。お部屋や宿泊に必要なものはこちらで用意させて頂きました。」
執事さん、ありがとー。
「ではお部屋にご案内致します。」
スゲー部屋だな。設備もヤバい。
部屋を物色してると誰かがドアをノックした。
「三条さん、よろしければテラスでお話しませんか。」
おお、イケメン王子の錦織さんじゃありませんか!勿論速攻OKですよ。
「ではご一緒致します。」
錦織さんとは探偵の仕事の話で盛り上がった。このままイイ雰囲気にって所で...。
「三条さん、楽しかったですよ。もう遅いですから明日にしましょう。」
いえいえ、私はエンドレスに行けますが...。
「はっ、はい。また明日楽しみにしてます。」
私のバカー!イケメンとの至極の時間だったのに...。
部屋に戻ると何だか急に疲れて眠くなった...。
翌朝。
「きゃー!」
ん?悲鳴か?あの声は女優の柊さんか...。
えっ、お屋敷...資産家...何か集まった人...。
嫌な予感がする...。
「西鶴さん!西鶴さんが殺されたの!」
広間にみんな集まっている。
誰か倒れてるよ。やっぱ資産家殺人事件か...。
「誰じゃ、ワシが殺されたとか言うヤツは。」
ん?さっ、西鶴さん?何で生きてんの?
「じゃ、じゃあ誰?」
みんなをかき分け倒れている人に近づく。
はっ?にっにっ錦織さーーーん!
第2話 予告
アタシのイケメン、いや錦織社長が殺された。犯人は誰なの?いや、ここは私の出番じゃない!
次回 「容疑者はダレ?」
探偵百合子、一夜限りのアバンチュールでしたか...。さてさて、次回はどうなる?
ではまた。




