うっかり
「ケイトリン様、どうか怯えないでくださいませ。この子は、絶対にあなたを傷つけたりしませんから」
念のためそう言い置いて、わたくしはそっと左手を伸ばしました。
はっと緊張が走るのが判ります。それに構わず、わたくしは囁きかけました。
「……おいで、レガリア」
その声に呼応するように、白い光が溢れ、見る間に白い蛇の姿を取ります。真っ白い、優美な蛇。これがわたくしの守護精。『蛇姫』という二つ名の由来なのです。
「ひっ……」
具現化したレガリアの姿に、ケイトリン様とアンナ様が息を飲みます。無理もありません。あんなことがあったばかりですもの。
「……それ……が……アリアドネ様……の……?」
「ええ。名を、レガリアといいます。この子を気味悪がる方が多いので、普段は滅多に外へは出しませんが」
「これが……」
それでも、勇敢なアンナ様は固まるケイトリン様を庇うようにして、おそるおそるレガリアの様子を伺います。
わたくしの手の上で少し小首を傾げたまま、レガリアはじっと青い目でアンナ様を見返しました。
「思ったより………小さい……のですね。それに……真っ白くて、綺麗……ねえ、ケイティ、この子、貴女を襲った蛇よりずっと細いんじゃないかしら」
「え……ええ……」
怯えていたケイトリン様も、アンナ様の後ろから顔を覗かせます。
「本当……それに、こんなに白かったら、闇の中でも目立ちそう……」
ごくり、と唾を飲み込み、ケイトリン様は震える手を伸ばしました。
「ア……アリアドネ様?その……触れても……?」
「ええ、もちろんですわ」
なんて勇気のある方でしょう!
内心感嘆しつつ、わたくしはレガリアをケイトリン様のベッドの隅に横たわらせました。おとなしく横になったままぴくりとも動かないレガリアに、ケイトリン様はそっと指先を触れさせます。
「まあ……!全然違いますわ!冷たいけれど、細くて……すべすべで!鱗も、ちっとも痛くない……」
「これが本来の大きさですの。小さくすることはできますけど、大きくするのは無理ですわね。それに……ご覧になって?」
言いながら、わたくしはレガリアの鱗を指し示しました。少し丸みを帯びた、明らかにケイトリン様の首に残る痕とは違う鱗を。
「まあ!この鱗!まるっきり違うわ!ケイティの首の痕と!」
「本当だ!……ランバウム嬢、念のために訊くが、この鱗、怒ると形が変わったりとか……そういうことはないんだろうな?」
「お兄様!!?」
「……そんな器用な守護精がいるのなら、お目にかかりたいものですわね」
ランデール先輩の無礼な言いがかりに、わたくしはちょっとむっとして答えました。妹の無残な痣を見せられて、過敏になっているのは判りますけれど、あんまりな言いようではありません?ほら、ケイトリン様も怒っていらっしゃるではありませんの!
「まあ、ともかくこれでアリアの疑いは晴れたわけだな」
不用意な発言をケイトリン様に窘められるランデール先輩を尻目に、お兄様はほっと肩の力を抜きました。
「しかし……実際にその蛇はなんなのか、どこから侵入したのか……。問題はそこだな。マリナ嬢、探索の結果、寮には外から動物が忍び込めるような場所はなかったのだろう?」
「ええ、ジークハルト様。寮監先生の下、従僕の方々が全部屋をチェックしましたが、そんな場所はどこにもなかったそうです」
「そうすると、考え得るのは誰かの守護精か……はたまた、使役獣の類か……」
「でも、この学園で蛇の守護精を持つのはわたくしだけですわ」
腕組みをするリディア様に、わたくしはそう答えます。というより、自分以外で蛇の守護精を持つ方にわたくしはお目にかかったことがありません。
それに。
「気になるのは、巫女様の予言です。ドロレス様は、ケイトリン様に部屋を明け渡せ、さもなくば死ぬことになるとおっしゃったのですわね?この部屋に居続けたら、死ぬことになると?」
「あっ!!」
わたくしの指摘に、マリナ様も息を飲みました。
「そうか……ケイトリン様ご自身に死が迫っているのか、それとも、あの部屋に居るから危険なのか……」
「ええ、あの部屋に何があるのかは判りませんが、あそこに居続けるのが問題だという可能性は大いにあると思いますわ」
つまり、あの部屋にいなければ、ケイトリン様は安全かもしれないということ。現に王立病院にいた昨夜は、蛇は現れなかったのですもの。
「なるほど!では、部屋を替わりさえすれば、ケイトは安全なのだな!?」
「そうだな、ケイトリン嬢はそうする方がいいだろう。だが、蛇の一件をこのままにするわけには…」
「いっそ、開かずの間にしてしまえば?」
わいわいと騒ぎ始めるみなさまに、わたくしはひとつ咳払いをいたしました。
「……そこでわたくし、ひとつ提案がございますの」
虚を突かれたように黙るみなさまの顔を見回し、わたくしはそう申し上げたのでございます。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その晩は、よく晴れた風のない夜でございました。
「……雨よりはいいのでしょうが……少し、明るすぎるかもしれませんわね……」
カーテン越しに射し込む月明かりを見て、わたくしはため息をつきました。2面ある窓の半分を枝で遮られているとはいえ、カーテンを締め切った部屋は思ったよりも明るく、うすぼんやりとものの形も見て取れます。
「こんなに明るくても、蛇さんは来てくださるのかしら……」
もう一つため息をつき、わたくしはケイトリン様のベッドに腰かけました。
そう、ここは問題になったケイトリン様のお部屋。女子寮の、3階の一番東の端っこです。
本当にこの部屋に居るのが危険なのか、蛇が来るのか。それを確かめるために、わたくしはケイトリン様と入れ替わってこの部屋に居るのです。
ええ、それはもう大反対されました。この計画を提案した時、主に、血相を変えたお兄様とケイトリン様その人から。
それでも心配して泣き縋るケイトリン様をあの手この手で言いくるめ、わたくしは自分の意見を押し通しました。
だって、腹が立つではありませんの!
あのお優しくて生真面目なケイトリン様をあんな酷い目に遭わせて!!黒幕(いるかどうかは存じませんが)が誰であれ、ひとこと言ってやらねば気が済みません!そして、その悪い蛇さんも!!
「とっ捕まえて、動物園送りにしてさしあげますわ!いえ、水族館かしら!?」
そのために、ケイトリン様にお願いして病院から自室に戻る演技までしていただいたのですもの!
憤りながら、ぎゅっと手を握り締めたとき。
「?」
不意にこつん、と何かが窓に当たったような音がして、わたくしは顔を上げました。
「……風……?」
耳を澄ませてみますが、別段風の音は聞こえません。
「!?」
そうして、耳を澄ませること数秒、今度はがさがさと大きく枝が動く音がして、わたくしは思わず腰を浮かせました。これは、断じて風などではありません!
「いったい何が……」
思わずわたくしは窓へ駆け寄りました。用心しつつカーテンを捲り、外の闇に蛇がいないのを確認して窓の掛け金を外します。そして、そろそろと窓を開けようとした、その瞬間。
「っ!」
不意に横から伸びてきた手が外からがしっと窓を掴んで引き開け、同時に悲鳴を上げようとしたわたくしの口を塞いだのです!
「よっ……と」
目にも止まらぬ早業とはこのことでしょう!
わたくしが反応もできずにいるうちに、闖入者はいとも簡単に窓枠を乗り越え、部屋に入り込みました。そうしてご丁寧に窓を閉め、わたくしに向き直ります。
「あぶねえなあ。物音がしたからって、簡単に顔出すなよ、お姫様」
「ラッ………ランスさまぁ!?」
「おっと、声がでかい」
思わずひっくり返ったような声を上げたわたくしの口を、もう一度ランスロット先輩は塞ぎます。
「なっ………なんでランス先輩が!?」
「何やってるんですか!ここ、女子寮ですよ!?女子寮!!」
「うおっ!?なんだ、お前ら、いたのか!?」
想定外の闖入者に、隠れていたリディア様とマリナ様が飛び出しました。
「当り前だろう!?アリア嬢一人にそんな危ない真似がさせられるか!」
「そうですよ!なんたってアリアドネ様は、しっかりしているようでいて、疑いもせず窓開けちゃうようなうっかりさんなんですから!!」
模造剣を握ったリディア様と、なぜか分厚い本を振りかぶったマリナ様に、返す言葉もございません。うっかりさんなわたくしは、小さくなるしかありませんでした。
「いや、ウィルからケイト嬢の身代わりにアリア嬢が囮になるって聞いたからな。いくら蛇に慣れてるからっつっても、一人じゃ危ねえんじゃないかと思ってよ」
机の前の椅子を引き出し、どっかりと座り込んでランスロット先輩は笑いますが。
「ご心配ありがとうございます!!でも、びっくりするじゃありませんの!第一、どうやってここまで!?ここ、3階ですのよ!?」
「ん?境の塀よじ登って、樹の枝伝って?」
まだドキドキする胸を押さえつつ文句を言っても、このかたはいっこうに悪びれた様子がございません。
「……凄いな、それで来れちゃうのか。ここまで」
「これは、明日にでも枝を払う必要がありますね……」
おなじ騎士候補生のリディア様はその身体能力に感心し、副寮長のマリナ様も突飛な侵入経路にため息をつく始末。
……普通、できるかも?と思っても、やりませんわよね?しつこいようですが、3階ですのよ、3階!
「枝が折れなくて良かったですわね!いくらお猿さんのようなランスロット先輩でも、落ちたらただではすみませんわよ!」
「おっ、心配してくれんの?」
何やら嬉しそうに笑うランスロット先輩に、わたくしは匙を投げました。皮肉のつもりでしたのに……なにを喜んでいらっしゃるのかしら。まったく。
そんなこんなで、ランスロット先輩はすっかり腰を据えてしまいました。
内心呆れるわたくしでしたが、月明かりがあるとはいえ灯りを付けることも叶わぬ暗い部屋の中、殿方がいてくださるのは確かに心強いものでした。先ほどまでは黙りこくっていたわたくしたちも、先輩のおかげで囁き声でも話ができるくらいの余裕を取り戻していたのです。
「……で。ケイト嬢は無事なんだろうな?」
「もちろんです。ケイトリン嬢には護衛もついていますし、二人の入れ替わりについても誰にも気取られていないはずです」
しばらく声を殺して世間話に興じたのち、まるでその延長のように、ランスロット先輩はリディア様に話を振りました。
「……蛇が出るのは決まって真夜中過ぎだという話だったか……」
のんびりとそう言った先輩の雰囲気が、がらりと変わります。
そのときになって、はじめてわたくしはいつの間にか真夜中を過ぎていることに気づきました。そうですわ、暢気に話し込んでいる場合ではありません!わたくし、囮なんですもの、囮らしくベッドに上がらなければ!!
「動くな」
ですが、ベッドに上がろうとしたわたくしの腕を、ランスロット先輩が掴みました。
え?と思う間もなく、先輩はそのままわたくしを庇うように自分の後ろに引き入れてしまいます。同時に剣を抱えたままリディア様がさっとベッドに潜り込みました。
ああ、リディア様!!一番危険なその役は、わたくしのはずだったのに!
でも、今更どうしようもありません。緊迫した空気の中、わたくしとマリナ様は固唾を呑んで成り行きを見守るしかありませんでした。
どれくらい時間が経ったでしょうか。数分?いえ、数秒だったかもしれません。
不意にベッドの真上で、ごとりと物音がしました。
いつの間にか、あれほど明るかった月明かりが翳って真っ暗な部屋の中では、何が起きているのかがよくわかりませんでした。でも、次の瞬間。なにかがぼたり、と音を立ててベッドの上に落ちてきたのです!
ああ、みなさま!悲鳴を上げなかったわたくしたちを褒めてくださいませ!!それは、見るも恐ろしい、真っ黒な蛇だったのです!
太さはレガリアの倍ほどもありましょうか。ベッドの上でくねる胴体は、伸ばせばベッドの端から端まで届きそう。黒く刺々しい鱗は、蛇が動くたびかすかな光を受けて滑るように光ります。それは同じ蛇とはいえ、レガリアとは似ても似つかぬ禍々しい姿でした。
―――ああ、ごめんなさいレガリア!蛇だというだけで、あんなのとひとくくりにしてしまって!!
痺れたように身動き一つできず見つめる中、蛇は辺りを伺うように鎌首をもたげました。
「……え……?」
……なにかが聞こえた、と思ったのは気のせいでしょうか。
その途端、蛇は滑るように動き出しました。ベッドの上―――リディア様が隠れる、枕元の方へと。
「!リディ……」
「ッ!」
わたくしが悲鳴を上げるより早く。
鋭い気合いとともに、ランスロット先輩が動きました。
正直に申し上げますと、わたくしには何が起きたのか判らなかったのです。
きらり、と鋭い光が走った、と思った次の瞬間には、蛇は真っ二つになってベッドの上に転がっていたのですから。
「おう、リディア無事か?」
「先輩!?」
チン、と軽い音を立てて剣を納めた先輩の言葉に、やっとわたくしたちは我に返りました。
「リディア様!?大丈夫ですか!」
「あ、ああ。いったいなにが……うぎゃ!!」
慌てて駆け寄ると同時にマリナ様が部屋の灯りを付け、飛び起きたリディア様は蛇の死体を見て思わず悲鳴(?)を上げます。仕方ありませんわ。だって、この蛇さん、まだ動いているんですもの……。
「うわ……先輩、これ、死んでる……んですよね?」
「ああ。反射で動いてるだけだ」
おそるおそる覗きこむマリナ様にそう言って、先輩はまだのたうつ蛇さんを観察しているようです。
「毒蛇……ではないようだな。そのへんに生息している蛇とも思えんが……」
「王都のこのあたりに野生の蛇がいるとは思えませんわ……」
何とはなしに見守る中、やがて蛇さんはゆっくりと動きを止めました。その頃になって、ばたばたと足音が響き、殿下を筆頭にお兄様、ランデール先輩、そしてトカフマン先輩が部屋に雪崩れ込んできました。
「アリア嬢!無事か!?」
「アリア!」
ドアを蹴破る勢いで飛び込んで来た殿下は、ランスロット先輩を見て目を丸くします。
「は?ランス!?」
「なんできみがここに!?」
「細かいことは気にするな」
いえ先輩、そこ、ちっとも細かいことじゃないと思いますわよ!?
「アリアドネ様!!リディア様!マリナ様!!」
「ああ、ケイトリン様、大丈夫、みんな無事ですわ!今、こちらをご覧にならない方が!」
殿下たちの後ろから舎監先生に支えられたケイトリン様が顔を出して、わたくしは慌ててベッドを隠すように立ち塞がりました。
「大丈夫だケイイト!蛇はランスが退治してくれたから!」
「え?ランス様?ランス様がなんで?」
まあ!ランデール先輩!ナイスフォローですわ!
一緒になってベッドを隠してくださったランデール先輩の言葉に、ケイトリン様は蛇の血塗れのベッドを見ずに済んだようです。
「いったい何の騒ぎなの!?この夜中に!」
ですが、その気遣いは割り込んで来たドロレス様によって台無しになってしまいました。
「またあなたなの?ケイトリン・ランデール!怖い夢を見たくらいで大騒ぎを……」
戸口に立つケイトリン様を押しのけるようにして部屋を覗きこんだドロレス様は、まずわたくしをみて息を飲みました。寮生でもないわたくしがここにいるとは思わなかったのでしょう。ついで、その視線がわたくしの後ろで話す殿下たちに移り、彼女はさらに目を見開きます。
「ラ……ランス様?それに殿下?な……なんで……」
「それは蛇退治と申しますか……許可は取っていますのよ?その、ランスロット先輩以外は……」
「ランス先輩はアリア嬢を心配して押し掛けてくださったのだ。あの枝を伝ってな!」
弁明しようとするわたくしの前にずずい、と身を乗り出してリディア様が胸を張ります。
「なんですって!?あの枝を!?」
「そうです!今日にでも伐採する予定ですけど!でも、おかげでこの通り!蛇は退治しましたよ!!」
ぎょっとするドロレス様に、マリナ様も得意げに胸を張りました。
「ランス先輩がアリアドネ様のために駆け付けてくださったおかげです!!」
いえ……べつにそこをそんなに強調なさらなくても……。
ケイトリン様のお話を聞いて以来、どうにもお二人はドロレス様に反感を持っておられるような気がします。
「っ!!」
ドロレス様はそれを聞いて真っ赤になり、それから蛇の死骸を見て真っ青になりました。
「ドロレス様?」
それはもう、倒れるのではないかと心配になるくらい。
ですが、思わず差し伸べたわたくしの手を、ドロレス様は払い除けました。
「そんな、どうして……なんで……今日だったの………?それにまた……どうして……いつも……」
「ドロレス様?」
俯いて肩を震わせるドロレス様。どうなさったのでしょう?蛇の死骸でご気分が悪くなったのでしょうか。
「あの……」
その顔を覗きこもうとした瞬間、ドロレス様は勢いよく顔を上げました。
「よくも……よくも!この蛇女!よくも巫女様の御前を蛇の血で穢したわね!!」
「!!」
そう叫ぶなり、ドロレス様は両手でわたくしを突き飛ばしたのです!予想外の行動に、わたくしは後ろに倒れるところでした。
「アリア嬢!」
しかし、わたくしはすぐにしっかりした腕に抱き留められました。
「ラン……」
「ちょっと待て。聞き捨てならねえことを言うじゃねえか。てめえ」
わたくしを支えて下さったランスロット先輩は、すぐにわたくしをお兄様の方へ押しやると、怒気も露わにドロレス様を睨みます。
「蛇の血っつーんなら、穢したのはこの俺だ!蛇斬ったのは俺だからな!コイツはちっとも悪くねえだろうが!!」
まあ……これが噂に聞く、平民を凌ぐガラの悪さ……!
あまりの迫力に、怒りを向けられているわけでもないわたくしでさえお兄様に縋りついてしまいます。
自業自得……といってしまえばそれまでかもしれませんが、その怒りの矛先を向けられたドロレス様は唇まで真っ青になって立ち尽くしてしまわれました。
「……そこまでだ。ランスロット、それにそこのきみも」
何とかとりなしを、と思ったところでタイミングよく殿下が介入なさいました。お二人の間に割って入り、宥めるようにランスロット先輩の肩を叩きます。
「夜中にたたき起こされた挙句、あんな蛇の死骸を見せられたんだ。気が動転するのも無理はない。皆、気が高ぶっているだろうし今夜のところは解散して頭を冷やそう。……おまえもそれでいいな?ランス」
「………ああ」
殿下のお言葉に、ランスロット先輩もしぶしぶ矛を収めました。顔にありありと『不本意』と書いたまま、じろりとドロレス様を睨むとランデール先輩に宥められながら部屋を出ていきます。
「……では、我々も帰るとしようか、アリア」
「え……ええ……」
廊下でずっとオロオロしていたらしい巫女様がドロレス様に駆け寄るのを横目に、わたくしたちは迎えの馬車に乗り込みました。
こうして、わたくしたちの蛇退治は幕を下ろしたのでございます。
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