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宇宙の方舟 ~妹とクローンが繋いでくれた愛~  作者: 月迎 百
第1章 水の行方 (アイ視点)
6/16

6 そっちで何とかしろ

SFですが、ちょっと重めな設定かもしれません。

でも、なんとしてもハッピーエンドにしてやる! と思って頑張って書きます。

どうぞよろしくお願いします。

 しばらくするとミネヴァとマリンとミアとハルと私、つまり女性陣がミセスの部屋に集められた。

 その間の仕事のシフトは男性で回してるはず。


 とりあえず、ミアはマークとパートナーということは決まった。

 両方からの希望が合ったからということ。

 もちろん自然繁殖です。

 マークはすでにミネヴァとパートナー&自然繫殖を体験しているし、大丈夫ということで。


 えっと、後は私以外の人だけど、みんな希望が合わないんだとか。

 まあ、ミネヴァもマリンも若く見えるし、きれいだし、お姉さんみたいだし。


 もうそっちで話し合って決めて欲しい。


 私は関係ないし……とぼーっとしてたら、ミセスBに肩をトントン叩かれ、我に返った。


「話せる?」


 別の部屋に連れて行かれた。


「人工繁殖希望は変わらないの?」

 

 ん?

 そう勧めてたくせに、今更、何言ってんだ?!

 ちょっとムッとして答える。

「変わりませんけど」

「ミクラが人工繁殖でもいいから、アイのパートナーになりたいと言ってるけど?」

「……なんで?」


 カッとなった。

「ハルはミクラを希望してますよね?

 そっちを優先して下さい。

 私は先生方が決めた人の子を、その人の子っていうか、もう遺伝子の子を人工繁殖で妊娠すればいいんだから!!」

「……本当にそれでいいの?」

「先生達が人工繁殖勧めてたんでしょが!!

 実験的にデータ取りたいとか、そんなんなら、私がそれやるから!」

「やっぱり、そういう理由か……」

「他にも理由があります」

「何?」


 私は大きく息を吸うと一気に吐き出すようにしゃべりだす。

「私はあの中からひとりだけなんて選べない。

 だからと言って、複数の異性と付き合う気もない。

 だったら、最初からドロップアウトしたい。

 たぶん、第1グループで揉めたのって、パートナー以外との恋愛とか繁殖行為とかで人間関係が揉めたとかなんでしょ?

 そーいうの、嫌だ。

 面倒くさい、関わりたくない」

「あなたって子は……」

「わかってますよ。

 私の役目はこの船の機能維持のための仕事と子どもを産むこと。

 だから、めんどくさい人間関係に巻き込まれるくらいなら、最初から人工繁殖って決めたんです」


 私はミセスBを睨みつけた。


「決心は変わらないと」

「はい」

「うーん……、わかったわ。

 アイは外して考えます」

「ありがとうございます。

 じゃあ、もう自室に帰っていいですよね!」


 ミセスBは苦笑いした。

「いいわ、そうして」


 私が自室に戻る途中でミクラとばったり出会ってしまった。

 気まずい……。


「女性の方の話、終わったの?」

「いや、まだ続いてる」

「……アイは?」

「私は人工繁殖だからって、話し合いから抜けた。じゃね」

「待ってよ」

 手を掴まれて立ち止まざるをえない。


「聞いた?」

「聞いてない!!」

 私は頭をぶんぶん振った。


「……嘘だな」

 ミクラが微笑む。

 むかっとする。

 なんで、ドロップアウトしようとしてんのに、ミクラとハルのためにしてんのに!


「手、離してよ」

「何で?」

「何でって……。

 ミクラのパートナーになる子に悪いからだよ!

 そんなこともわかんないのか!

 このボケ!!」


 私は頭にきてたこともあって、かなり本気でミクラに体当たりして、掴まれていた手を自由にすると走って逃げた。


 結局、あの後、男性の方に女性の話の結果を伝えて、ミアとマークはパートナー決定、私はパートナーなしで決定、それ以外の人はもう少し様子を見てパートナーを決めていくことにしたそうだ。

 ハルが私の部屋に来て、そう教えてくれた。


「なんだかとっても不安だわ。

 アイも一緒にいてくれたら……」


 ハルがそう言うけど、私はもうミクラに会いたくない。


「申し訳ないけど、それはできない。

 私はもうそっちのグループとは関係ないから。

 話聞くくらいならできるけど……」

「なんで……、そんな冷たいこと言うの!

 アイ、私を守ってよ」


 ハルが涙ぐむ。


 もう、なんか、そんなのも正直言うと、うんざり、だ。


「ごめん、無理なものは無理。

 ミネヴァとマリンと話し合って、頑張って」


 ハルがぐずぐず泣き出す。


「ミセスには言っておくよ。

 ハルの話、よく聞いてあげてって」

「本当に怖いのよ!

 ふたりとも年上だし、アレクもいるのよ!

 アイは私をもう守ってくれないの?」


「うー、私は私で怖い思いしてる。

 人工繁殖だって、やっぱり怖いよ。

 だから、お互いにそれぞれの怖さと自分で向き合わないと……ね」

「……アイより私の方が何倍も怖い思いしている!」

「だから、ハル、どっちがより怖いとかじゃなくて……」


 その時、ミアが私の部屋に来た。

 招き入れる。


「ハルもいたんだ!

 泣いてた?」

「……だってアイがっ!」

 ミアがハルをよしよしする。

「ハルが泣かせたの?」

「勝手に泣いたんだよ。

 ミアだって話聞いたんでしょ? 

 私は誰ともパートナーにならないって。

 なのに、一緒にパートナー決めの中に入って守ってくれって言うから……。

 さすがに、それは無理!!」


「あー、それは無理だわ」

 ミアもそう言ってハルを見る。


「ひどいっ!!

 アイもミアもひどいっ!!」

 ハルが怒り始めて部屋を出て行ってしまった。


「……ミアは、パートナー決まって良かったね」

 私の言葉にうれしそうに頷くミア。


「うん、ありがとう。

 たぶん、アイが人工繁殖の方に回ってくれたから、合同ってことになったんだと思う。

 でも、本当にいいの?」

「……なんでみんなそう聞くのかな?」

「もったいないと思うからだよ。

 好きな人と一緒に過ごすのって、本当に楽しくて、幸せなのに……。

 それにアレクもハルとアイなら、アイがいいって言ってた」

「……それ、ハルも知ってる?」

「どうかな?

 ハルはミクラよね……。

 悪いけど、うまくアイをミクラから引き離したなって、ハルのやり方を見て思う。

 それで、思ってた展開じゃなくなって、合同になったら、またアイに戻ってって……。

 今度はアレクにアイをくっつけようとすると思うよ。

 アレクには選ばれたくなさそうだから」


「えっ?

 ミネヴァとマリンは?」

「考えてみなよ。

 ミネヴァはパートナーがいたのに違う人の子を産んでるし、マリンはずっとパートナーだったけど子どもがいない。

 ここは新しく第2グループの子がいいなって思うんじゃない?」

「……ハルも大変だね。

 でも、私はもう何もしてあげられないよ」

「うん、それでいいと思う」

「ミクラと早くパートナーになっちゃえばいいのに……」

「……それでいいの?」

「いいから、こうしているんだよ。

 でも、ちょっと毒吐いていい?」

「いいよ~」

「悪いけど、できることとできないことがあるからっ!!

 なんでもかんでも私に頼るな!

 自分で何とかしろ!!

 あー、もうこれで忘れるっ!」


 ミアが笑って、私の頭をよしよししてくれた。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。


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