半年後
記憶が戻って半年が経っても、相変わらずの生活を俺は続けている。午前は読書、午後は魔法練習。体作りにも取り組みたいが、小さい頃から体を鍛えるのは良くないと聞いたような気がするからしていない。
読書に関しては、ほとんどの書物を読み終えてしまったから、礼儀作法に移っている。マナーの本を読んで、真似して、読んで、真似しての繰り返しだ。何気ない動作もたくさんの決まりがあって、こんなに細かくつくる必要ないだろっ、と思っている。
が、礼儀は大事・マナー良く、相手を不快にさせないおもてなしの心を持つ日本人の記憶が投げ出すことを許さない。母さん、厳しかったもんな。姉貴にお淑やかにしろとか言ってたわ。俺より男らしい姉貴に言っても無駄だろってずっと思ってたけど。
そして魔法、進展がありました。今はは中級魔法ぐらい使えるようになっている。被害が出ないやつしか出来ないから、上級魔法や最上級魔法が使えるようになりたい。手持ちの魔法が少ない現状を早く壊したいんだよな。でも、やっぱり使えると実感する。ホント便利だ、魔法って。
さらに今日は、時属性中級魔法『空間把握』で図書室の安全確認をしようと思っている。なんでも国の歴史書で知ったんが、その昔、ここには魔女が幽閉されていたらしい。いわく付きの建物だ。なんて場所に閉じ込めているんだよ、王様。更に追い詰めるなや、正妃様。
ましてや、ここでの魔女は魔法に長けていたり、錬金物作ったりする魔族の一種。元々あった魔法や錬金物の誤作動で死ぬとか目も当てられない。そんな死に方嫌すぎる。
それで、早々に生活圏の図書室の安全を確保してしまおうというわけだ。いつかは離宮全体やりたいが、実力不足で出来ないからまたの機会に。目指せ無詠唱。
では、心を落ち着かせて。
「時魔法 空間把握」
そうすると目の前に図書室の間取りが立体で出てくる。あれだ、3D映像が展開される感じだ。イメージで拡大したり回したりしながら全体を見ていく。天井良し、床というか地下良し、ドア付近にも異常は無いな。次は一番奥か。
映像に注目すると、カーテン裏の壁に違和感。あれれ。気のせいかもしれないが、もう一つ部屋がある?と思いながらそこまで行く。カーテンをめくっても何もないただの壁だ。
疑問に思いながらも、もう一度部分的に空間把握を行うとやっぱり部屋がある。ん?何度か目の前の立体映像と壁を見比べながら首をかしげる。なんで?
壊したら見えるかな。けど壊す筋力ないんだよな、俺。使用人に見つかったらメンドクサイし。どうすればいいんだろう。あれか、魔力流してみるか。魔女が作っただろうし。最終手段で下級魔法のウィンドボールとダークボールぶつけて壊せばいいし。
色々考えて、駄目だったら壊せばワンチャンあるだろう、という考えでまとまった。最初は一番穏便な方法、魔力を流すを試す。
そうすると、壁が光って禍々しい扉が現れた。無音で。スーッと壁から滲み出てくる感じだった。シンプルに、怖い。どうしよう、拷問部屋とかだったら嫌だ、でも武器手に入るかな、と思いながら、恐る恐る足を踏み入れたそこは……。