今世の俺
今世の俺の名前はクロードヴィヒ・フォン・アーライゼというらしい。小国であるアーライゼ王国の第三王子のようだ。そして幽閉中。原因は生まれた時黒髪だったから。
ここは剣と魔法の世界、魔法属性は四大属性の火・水・風・土、上位属性の炎・氷・雷・木、特殊属性の光・闇・時、そして特別な聖がある。
そして黒髪は闇を連想させる。光属性を至上とするアーライゼ王国にとっては王家に黒髪は不味い。母が側室、死亡しているということで隠すのとにしたようだ。
その為内気な性格で、部屋に籠もってばかりだった。〈僕〉に〈俺〉が混ざったことで話し方が変わり、アニーも驚いたのだろう。
そしてもう一つ、3歳児とはいえクロードヴィヒが読書家だったおかげで気づいたことがある。まさかのこの世界、生前やらされていた乙女ゲームの世界でした。ハハッ乾いた笑いしか出てこねぇわ。
よりにもよって、何故~光の乙女と七つの業~の世界なんだろうな。地形とか大国の名前とか丸かぶり。ひどい、ひどすぎる。
しかも、あれの世界ということは魔物がいるということですか。一人で生きていける力願っておいてよかった、前世の記憶残してよかった、本当に。
詳細を思い出そうと頭を捻る。確か光の魔力持ちで秘密にしているが太陽の愛し子である滅びた国出身のヒロインが七つの大罪をモチーフにした人族、魔族、竜人、獣人、エルフ族、妖精族の攻略対象の心を癒やし、悪役令嬢を破滅に追いやる魔法学園を舞台とした王道ゲームだ。
そして問題のRPG。各所イベントで魔獣を倒さなければならなくなる。理由は様々だ。これがやばい、敵が鬼強い。好感度関係なしに死ぬ。
この世界が現実ということは俺も死ぬかもしれない。権力弱い第三王子様だからな、守ってくれるような騎士が俺にはいないようだ。王族の代表として魔物討伐してこいとか放り投げられたら目も当てられない。
そして俺はやるべきことを決めた。強くなろう。知識を身に着け、武力を身に着け、アーライゼ王国から逃げる。さいわい、俺には前世の記憶がある。叶えてもらった願いで身に付いた能力もある。磨けば何とかなるだろう。
確か設定としては、闇属性蔑視は無かった。他国に出たらどうにかしてやってみせる。けれどこれだけは言わせてほしい。
「ふざけんな、あのクソ女神ッ!」
こうして数分前に戻る。