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おによんっ!  作者: もうじゃ
3/5

3話 鬼娘は優しい夢を見るのか

ピピピピッ!ピピピピッ!


意識の覚醒を促す様に耳障りなベルの音が耳を打つ。


もう朝か。そういえば変な夢を見たような気がする。鬼に襲われて…


「すぅ…すぅ…へへへ、もっと食べていいんですか〜? ムニャムニャ…悪いな〜」


そうそう、それで鬼に食われそうになって


「ムニャムニャ…柔らかくて美味しい〜。柘榴さんもどう〜?」


それで鬼と名乗る少女、キクリと出会って…


「えへへへ…そうですか〜悪いですね〜独り占めするようで〜グゥグゥ…ムニャムニャ、じゃあ頂きまーす。ガブッ!」


ん? ガブッ? ていうか僕は誰と微睡みの中で会話してるんだ。それに頬がヌメヌメするし、なんか…痛い?


目覚まし時計を片手で探しながら、若干の痛みがある右頬へと霞む視界を向ける。


そこには


「ウギャー! ナンデオンナノコが入るのォ!??」


眠気が一気に覚醒に飛び起きる。

それもその筈、可愛い女のコが自分の横で眠りこけながら頬をしゃぶるように噛んでいたのだ。


「ん? う〜ん? ふぅわー…あ、ざくろさんおはよー」


朝の日差しに照らされ寝ぼけた顔を視界へと映る。

その顔は昨晩自分を怪物から救ってくれた少女、キクリだった。


「あ、おはようございます」


「んー!! 今日もいい朝ですね〜。じゃあ朝ごはん作るからちゃんと顔洗ってくるんですよ〜」


キクリはさも当たり前かのようにベットから降りると、普通に寝間着から着替える。


「ちょっと待った!」


「どうしたんですか〜柘榴さん、朝からそんな大きな声出して、私はまだ眠くて眠くて。あー夢の中で食べたケーキ美味しかったな〜」


え? あの寝言で本当に寝てたの。しかもケーキと間違えて僕の頬食べてたって…あともう少し遅ければ噛み千切られてたって事?


「いや! そんな事よりなんで! 僕の! 家の! 僕の部屋にいて! 当たり前の様に一緒に寝てるの!?」


キクリは頬に人差し指を当てうーんと考える様な仕草をすると、ポンっと手を叩いた。


「あ! 昨晩言ってませんでしたっけ? 私、キクリは昨晩より穂御月 柘榴さんの専属守護鬼になったんですよ〜。いやー言い忘れたなんて私たっらおっちょこちょい。さ、そんな事より朝ごはん朝ごはん! 一日の元気は朝ごはんからですよ〜」


「え? どういうこと? いや、全く話が分からないんだけど…」


「難しい事は後、後!さあお腹減ったんでご飯もりもり食べますよ〜」


そういうと、キクリは僕の襟首を掴みズルズルとキッチンまで運んで行く。


そして、席に座らせられると、手慣れた手付きで食事の支度をし始めた。


「はい! おまたせしました。今日は豆腐の味噌汁とご飯と目玉焼きです! いやーシンプルイズベストですね」


気が付けば目の前にはいい匂いのホカホカの食事が並べられていた。


そういえば昨晩から何も食べてない。自然と腹の虫が鳴く。


「おや〜? 柘榴さんのお腹は正直ですね。本当に可愛い…」


一瞬目を細めると、キクリは手を合わせ先に食べ始めた。


彼女は一緒に食べようという気持ちがないのだろうか。そんな事を思いつつふと時計を見ると


「マズイ! もう時間じゃん! 急いで支度しなきゃ」


席を立とうとするとキクリはいつの間にか背後に立ち、


「ご飯食べましょうね?」


「いや、でも…もう時間…」


「食べないと力、出ませんよ?」


「はい」


無言の圧と言うべきか、僕は席に座り直し手を合わせ食事を食べ始めた。


「…! 美味しい」


「でしょう? 朝ごはんは一日の始まりですし、柘榴さんの身体の一部となる物ですから気合入れて作りましたよ♪」


キクリは嬉しそうに僕の事を見つめる。


彼女の料理は何処か懐かしさを感じさせる味でとても美味しかった。


「それじゃあ、帰ったらまた詳しく聞くから。行ってきます」


「はーい。気を付けていってらっしゃ~い柘榴さん」


彼女に聞かなければならない事は山程あるが、まずは遅刻しないよう学校に行く事が先だ。


ーーーーーーーー


ギリギリなんとか学校に着くと、クラスメート達は既に集まり雑談に花を咲かせていた。


「おっ、ザクロっち。今日遅いじゃ〜ん。何? 寝すけさん?」


声をかけてきたのは肌を褐色に染めた小学校からの付き合いの女のコ 雉染 弥生(きじそめ やよい)だ。


中学までは大人しかった彼女だが、高校デビューすると突然宣言し古きゆかしきクロギャルへと変貌を遂げた。


「うん。ちょっと、色々あってね…」


アハハと誤魔化すように朝の挨拶を済ませる。


「ふぅーん。ま、気を付けなよ。最近物騒だからさ。ザクロっち、小さいんだから夜とか歩いていたらオニに食われるかもよ〜」


「え?」


なんで、と言いかけたその時、背中に強い衝撃が走る。


「オッス〜。ザク助! おっせーから心配したぜ〜」


185は越えた巨体にがっしりとした身体。彼は源田 岩男(げんだ いわお)、二年生にして実力で柔道部の主将へと上り詰めた僕の友人の一人だ。


「そういや、ザク助知ってか?」


「ん? 何? 岩男の運命の人でも見つかった?」


「いやーロマンスを求める漢、岩男だが…まだ素敵な出合いが…って! 違うわ、なんでも今日このクラスに転校生来るらしいぜ」


「転校生? こんな中途半端な時期に?」


「え〜なになにイワオっち。マジで? 訳あり?」


「いや、なんでも海外に居たらしく両親の仕事の都合で急きょ日本に来たらしい」


「じゃあなに? 外人さんってこと? うわーウチ、英語とかマジ無理無理蝸牛なんですけどー」


無理無理蝸牛なんて初めて聞いたぞ。


それにしても海外からの転校生か。転校生って聞くと何故かワクワクしてしまうのはあるあるだと思う。


「この情報通岩男のデータによるとな、転校生は日本人らしいぞ」


「おま、データなんて一番似合わない単語だな」


「それな〜」


「お前ら酷いな! 文武両道! 覇道爆進! ロマンチスト岩男といえば俺以外にいないだろうが」


友達との何気ないバカ話。

昨日の怪物鬼はなんだったんだろうか、今朝までは別世界に放り込まれた感覚だったが、ホッとする。


そんな事を考えていると朝のホームルームを知らせる鐘が鳴る。


それと同時に教室の扉が開かれ教師が入りいつも通りのホームルームが始まった。


そしてホームルームが終わる頃


「えー、皆さんにお知らせがあります。本日、このクラスに新しい仲間が加わります。彼女は1歳年上ですが海外に暮らしていた為、特別に皆さんと一緒に学んで貰います。それでは入ってきて下さい」


先生の言葉が終わると扉が開かれ一人の少女が…って


「始めまして皆さん、私は穂御月キクリと申します。このクラスの穂御月柘榴さんの、遠縁の親戚で婚約者です」


「「「えっ?」」」


クラスが一瞬で凍りつく。皆の視線が一気に僕へと集まった。


「それでは皆さんよろしくお願いしますね」


ペコリとお辞儀をするキクリ、固まる教室。


僕の波乱で不可思議な冒険の幕が開けた。

まだストックはありますがのんびりと


よろしければコメント、評価、ブクマなど頂けるとモチベーションアップに繋がります。よろしくお願いしますm(_ _)m

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