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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 魅かれる心と邪魔する香り
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第97話 「地獄の天国ポムポム」

(蒼汰)

 貸切バスは十分くらい走ると、どこかの駐車場へと入って行った。

 そう言えば、お昼をどこかの施設で食べる予定になっていたはずだ。

 おお! ここでお土産が買えれば良いな。

 そう思いつつ、何処に付いたのか期待して待っていた。

 そして、駐車場の看板が見えて来た。


 『地獄巡り』


 何故か見覚えがある……。

 食堂で準備してあったお昼ご飯は「地獄蒸し料理」だった。

 航や結衣たちは珍しい食べ方に凄く喜んでいたけれど、俺と美咲ちゃんは二人並んで苦笑いしながら食べた。

 何故か今日も野菜を多目に食べさせられた。


 近くの席で伊達君と前園さんが並んで食べていて、美咲ちゃんは前園さんを見ると、何故か俺の陰に隠れてしまう。

 二人の間に何か問題でもあるのかな?


 食事が終わると一時間くらい園内を自由に散策できる。

 航達はさっさと食事を終えて行ってしまい、俺と美咲ちゃんの周りには伊達君と前園さんしか居なくなってしまった。

 またもや生徒会役員で集合した感じになる。

 伊達君と前園さんのこの感じが続く限り、これからもこのパターンが続くのだろう。もちろん、俺は大歓迎だ!


 俺がワクワクしていると、食堂のお婆ちゃんが近寄って来た。

 昨日給仕してくれたお婆ちゃんだ。

 俺と美咲ちゃんを見ると、嬉しそうに話し掛けて来てくれた。


「あらあら、あんた達は今日も来てくれたのかい? いつも一緒でお熱いねぇ」


 そう言い残して、ケラケラと笑いながら行ってしまった。

 軽く会釈した俺と美咲ちゃんは固まっていた。

 伊達君と前園さんの視線が痛い……。


 その後も美咲ちゃんと一緒にいると、施設の女性職員さんがすれ違いざまに話掛けて来る。


「ああ! 昨日のお二人ですね。今日も一緒なんだぁ! 良いなぁ」


 そんな事が有る度に、冷や汗をかかないといけないので、取りあえずバラバラに行動する事にした。

 やはり昨日のジャージにスノボシューズは目立っていたのか……。


 俺はお土産を買いに行き、昨日買いたいと思っていた物を購入した。

 早野先輩達には『地獄のボムボム』というゴツゴツした真っ黒のチョコクランチで、来栖さんには『地獄の天国ポムポム』という可愛らしいお菓子を。

 美麗先輩には『地獄の天使湯煎餅(ゆせんぺい)』という可愛いパッケージのお菓子を買った。

 父親には『地獄のバツ二』という激辛煎餅(せんべい)を買ってあげた。

 この先、もう一段辛い『バツ三』を買わないで良い事を祈りたい。

 とりあえず、何とか全員分のお土産を購入できて良かった。


 地獄巡り観光が終わると、また貸切バスに乗り、駅まで二時間程度のドライブだ。

 五分もしないうちに、結衣が青い顔をしてやって来た。

 いつもの如く、空いている席に移動して一緒に座る。


「蒼汰。胸とか絶対触らないでよ……」


 結衣は人の膝枕で寝るくせに、寝転ぶ前に変な事を言って丸まりやがる。

 絶対触るなって……触れって事か? とか思ったけれど止めておいた。

 本当に気分が悪そうだったから、また頭を撫でてやったら、直ぐに寝息が聞こえて来た。


 駅に近づいて来たので、また頬をプニプニして起こしてやっていたら、こっちをにらんで手招きされた。

 何かと思って顔を寄せたら、耳を引っ張られて結衣の口元に持って行かれた。

 結衣は小さな声で「ゴメンニャさい」と呟くと、いきなり頬にチューした。

 キスじゃないチューだ。

 意味が分からず、驚いて顔を見たらタコみたいな顔をしてた。


「ヨダレ付けちゃった。お詫びのチューで許してニャン」


 言うや否や、起き上がって自分の席に逃げて行った。

 ズボンを見ると、丸く濡れた跡が残っている。


 あの野郎。ハンカチくらい敷いて寝ろよ! やっぱり、お胸でも触っておけば良かった……。

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