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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 二人の時間と美咲の心
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第87話 「美咲ちゃんと一緒だから」

(蒼汰)

 午前中のスキー学習は、昨日に比べて急にレベルが高くなった。

 インストラクターいわく、基本が有る程度できたら、後はとにかく滑る事らしい。

 転び方さえ間違えなければ大丈夫だから、恐れずに滑るコースを上げていく事を薦められた。

 但し過信はしない様に注意された。

 確かに、昨日は絶対に行けないと思っていた斜面も、慣れて来ると何でも無い斜面だった。

 今日の午後には上級者コースをスイスイ行けるんじゃないかとか思っていた。


 お昼を食べると午後はフリーだ。

 約束通り美咲ちゃん達と一緒に滑る事に。

 最初の頃はリフトを二本分上がった所から滑走していたけれど、なだらか過ぎて面白く無くなって来たので、中級コースまで上がってみることにした。

 下から見ていた時は大した斜面ではないと思っていたけれど、上から見たらとんでもない急斜面だった。

 それでも、美咲ちゃんに格好良い所を見せようと頑張ってみたが、派手にコケる回数が増えただけだった……。


 意外な事に結衣が一番上手く滑れるようになって、転んだ俺にパラレルターンで雪をかけて行くという悪戯いたずらをし始めた。

 追い付いて反撃しようと思ったが、全く追い付けない。

 リフト待ちでやっと追い付いて、悔し紛れに「結衣はお尻が大きくて重心が低いから上手だよね!」って言ったら、転んだ時に雪像せつぞうになりそうなくらい雪をかけられた。

 おかしいと思ったら、結衣はスキーに家族で行った事があるらしくて、初心者ではなかった。

 結衣に対抗するのはあきらめよう……。


 その次に滑れるようになったのは航だった。

 その次が龍之介カップル。

 俺と美咲ちゃんは、まだ急斜面は苦手で転んでばかりいた。


 ----


 上級者コースに上がってみようという事になり、皆に連れられるままに、かなり急斜面の所まで上がって来た。

 上から見ると、俺と美咲ちゃんにとっては崖にしか見えない勾配こうばいだった。


 ”リフト乗り場で待ち合わせ”という事で、結衣や航は直ぐに滑り始めて、龍之介達も行ってしまった。

 俺と美咲ちゃんは、上級者の邪魔にならない様に気を付けながら、超低速で滑り降りる事にした。

 この頃から雪が結構強く降り始めて、山頂の方は吹雪いているのか見えなくなっていた。


 ゲレンデの端の方を滑っていたら、分かれ道があったので、美咲ちゃんと話して緩やかな斜面の方に行く事にした。


 しばらく滑ると、また急な斜面があり、二人で苦労しながら滑り始めた。

 その頃になると、山裾やますその方まで吹雪いて来て、景色が見えなくなってしまい、自分達の位置が分からなくなってしまった。

 少し不安だったけれど、美咲ちゃんと一緒だから楽しくて仕方がない。


 上級者コースになると、ゲレンデの端の方は余り人が滑らないからなのか、雪が柔らかくて転んだらなかなか起き上がれない。

 美咲ちゃんが転んで雪にはまる度に、手を引いて起こしてあげた。

 でも、起こされた回数が俺の方が多かったのはナイショだ。


 雪に嵌って起こして貰う時に、ふざけて美咲ちゃんを逆に引っ張り、雪の深い所に転ばせた。

 そしたら、美咲ちゃんが「もー、蒼汰君!」とか言いながら、雪を投げつけて来た。

 俺も投げ返したけれど、ゲレンデの雪は固まらないから、しばらく二人で雪の粉を投げ合っていた。

 何だか恋人気分で滅茶苦茶楽しかった。


 何とかリフト乗り場まで降りて来たけれど、結衣達も龍之介達も居なかった。

 俺たちが遅すぎて置いて行かれたのだろう。

 航が俺に気を使ったのかも知れない。


 美咲ちゃんに、もう一度リフトで上級者コースに上がるか聞いたら、とても滑れないからもう少し下に降りようという事になった。

 これで完全に二人きりだ!


 さあ『これから吹雪いて道が分からなくなって、遭難しかけたら山小屋があって、薪をくべながら一晩を共に過ごして、明け方にキスして救助される』というフラグが立ったぞ!

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