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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 二人の時間と美咲の心
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第83話 「女子のお部屋」

(蒼汰)

 皆疲れ切っていたはずだが、風呂に入り夕食を食べて少し休むと、修学旅行の夜を楽しく過ごすモードに突入した。

 教諭陣の監視の目をくぐり抜け、女子も男子も盛んにお互いの部屋を訪ねて、トランプやボードゲームをしながら、人によっては恋の花を咲かせていくのだ。


 まあ、先生達も点呼の時間までは割と厳しく注意してくる事も無く、カップルでイチャイチャしている連中だけ間違いを犯さない様にマークしている感じだった。

 二学期の半ばから世間話をよそおていで、誰と誰が付き合っているのかなど、先生がやたらと聞いて来るのは、これへの布石らしい。教師も大変だな。


 もちろん俺らも、女子のお部屋に行きたいとは思ってはいるが、ヘタレの俺たちにそんな事は不可能だ。

 不可能だと思っていたら、龍之介りゅうのすけが「お前ら行くぞ!」と言って準備を始めた。

 本気かどうか確かめたら、愛理あいりちゃんと、部屋に行く約束をしているから問題無いと自信満々に答えた。


 そうか、里見さとみさんがいたな! でかした龍之介!


 俺らは龍之介の後ろを、尻尾を振りながら付いて行った。

 美咲ちゃんに会えるー!

 龍之介が事前に連絡していたのか、美咲ちゃん達の部屋にスムーズに入る事が出来た。

 同室の奴も皆ついて来たので、男女合わせて十二人になった。


 買ってきたお菓子を広げ、トランプで負けたら罰ゲームをしたりして楽しく過ごす。

 トランプに飽きると、何となくグループに分かれて、部屋の明かりを少しだけ暗くして、怪談話や噂話をしたりして盛り上がっていた。

 龍之介は里見さんと二人で窓際に置いてある椅子に座り、何だか良い雰囲気だ。

 わたると他の男子は、女の子を捕まえて何だか王様ゲームの大人しいのをやっている様だ。

 俺は結衣に捕まり、適当に話しをしながら壁にもたれて座っていた。


「蒼汰。眠い」


 言うや否や、結衣が俺の膝枕で寝始めたので、動けなくなってしまう。

 まあ、今朝は話もしてくれなかったが、いつもの結衣に戻ってくれたのは良かったと思う。

 美咲ちゃんが気を利かせて、掛布団を持って来て結衣に掛けてあげていた。

 美咲ちゃん。こいつを本気で寝かせてどうする……。

 ところが美咲ちゃんは俺の横に座って話をし始めたのだ。

 良いぞ結衣! ファインプレーだ!


 美咲ちゃんと、昨日の観光の話や今日のスキー学習の事を話した。

 そういえば、明日の午後からはフリーで滑る様になるらしい。

 一緒に滑ろうと誘うと、普通にOKしてくれた。

 誘っておきながら、全く滑れる気がしないのが一番の問題だが……。


 美咲ちゃんが急に生徒会の話を始めて、前園さんの事を聞いて来たけれど、俺も全く知らないので殆ど答えられなかった。

 俺が前園さんについて知っている事と言えば、生徒会室で彼女が消しゴムを拾った時に、純白のパンツが見えたこと位だ。

 それしか知らないし、その事は言える訳がない……。


 しばらくすると、美咲ちゃんが静かになってしまった。

 静かになったと思ったら、美咲ちゃんがもたれかかって来た。

 驚いて美咲ちゃんを見たら、俺の肩に頭をもたれかけて眠ってしまっていた。


 か、可愛い……。


 直ぐそばに美咲ちゃんがいて、俺にもたれかかって眠っている。

 美咲ちゃんの方を向くと、綺麗な茶色の髪と大好きな美咲ちゃんの香りに包まれる。

 俺が幸せのあまり呆けていると、結衣が動いた。

 結衣が起きたのかと思って見ていたら、俺の右手を胸に抱え込んで、またスヤスヤと寝始めた。人騒がせな奴め。

 美咲ちゃんに視線を戻すと、左手の直ぐそばに美咲ちゃんの右手が有る事に気が付いた。

 こんなチャンスはなかなか無い。

 俺は勇気を出して、美咲ちゃんの手をそっと握った。


 美咲ちゃんの手が一瞬ピクリと動いたけど、優しく手を握り返してくれた。

 実は起きていて手を握り返してくれたのかと思って、ドキドキしながら美咲ちゃんを見たら、眠ったままだった。

 それでも嬉しかった。

 俺は今、二人の女性に両手を握られている。


 両手に花って、正にこの事だよなぁ。


 二人の体温を感じながら、俺は幸せのあまり意識が遠のいていった……。


 ----


 俺は息苦しさで眼を覚ました。

 顔を何か柔らかい物に押し付けられながら、頭を固定されている感じがする。

 目を開けても何も見えない。

 寝ぼけていて、最初何が起こっているのか分からなかったが、幸せな柔らかさに包まれている事に気が付いた。

 俺は誰かの胸に抱きしめられて寝ているのだ。

 でも、誰だろうとか考える必要は無かった。

 俺の大好きな香りがする。

 この香りは美咲ちゃんだ!

 どうしてそうなったのかは分からないけれど、俺は美咲ちゃんの抱き枕になっていたのだ。


 神様。僕はこのまま命を絶たれても文句は有りません。むしろ、ここから離れるくらいなら、命を絶ってしまいたい。でも、これは多分夢だろうな……。


 夢ならばと思い、俺は念願の『美咲ちゃんのお胸でフニフニ』を堪能した。

 ああ、幸せー。夢よ覚めないで……。

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