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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】  揺れる心と二人の距離と
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第74話 「偶然ね、蒼汰さん」

(美咲)

 初詣の日は楽しかった。

 途中で蒼汰君と二人きりになってしまったけれど、小川に泳いでいた魚とかを一緒に見て楽しく過ごした。

 私が蛇に驚いて抱きついてしまった時は、優しく受け止めてくれた。

 気が付いたら、申し訳ないくらい抱きついていたので慌てて離れた。

 離れた後、何だかちょっと寂しかったけれど、何故そう感じたのかは考えない事にした。


 その後は、また皆で集合してお昼を食べようという話になったけれど、結衣ちゃんが着物が窮屈きゅうくつでギブアップしたので、解散する事になった。

 蒼汰君と結衣ちゃんが「タオルを入れ過ぎだ」とか「胸には一枚も入れてない」とかで言い争っていた。

 最後は「何であんたがそんな事知ってるのよ。変態!」とか言いながら、結衣ちゃんのパンチが入って終了した。

 本当にこの二人は仲が良いわね。


 ----


 年が明けて、蒼汰さん家への最初の出勤日。

 一週間振りで、家の中がどんな状態か気になっていたけれど、意外に綺麗だった。

 少し多めの洗い物と洗濯をしてしまえば、いつもとほとんど変らない。

 年末に作り置きしておいた料理は、全部食べてくれたそうだ。とても嬉しい。


 今年最初のお夕食はお鍋にした。

 鶏の骨付きもも肉に、白菜や舞茸、水菜などのお野菜たっぷりの水炊き。

 締めはおうどんを入れて♪

 うん!いい感じ。


「こういうのが食べたかった!」


 二人とも凄く喜んでくれた。

 七日に七草(がゆ)を出すと「蒼汰が小学校に入学してからだから十年振りだ」とかお父様が言われていた。

 蒼汰さんは「漫画や小説で見た事はあるが、本物は生まれて初めて食べた」と言っていた。

 どっちなのかしらね?


 そう言えば、沢山あった荷物の整理は年末までに完了して、物置になっていた部屋も綺麗に片付き、空き部屋が二部屋出来た。

 そしたら蒼汰さんのお父様が、仕事の合間に落ち着ける場所があった方が良いだろうからと言って、一部屋を私のワークルームにして下さった。

 本当にありがたい。


 そして、来週からは修学旅行だ。

 修学旅行の費用は、入学時に学費と一緒に全額支払ってくれていたので行く事ができる。

 最近は海外に行く学校が多いらしいけれど、もしそうだったら私は行けなかった。

 パスポートは「来栖ひな」だから……。


 あと、私は学校の人とは一緒に病院にも行けない。保険証の名前がね……。

 親の承諾が必要な書類に関しては、彩乃先生が私の代筆に目を瞑ってくれて何とかなっている感じ。

 母の不在がこれほど長期間になるとは思って居なかったので、騙しだましやって来てはいるものの、色々とほころびが出始めている。


 蒼汰さんのお父様には、修学旅行の期間については、以前から所用でお休みをすることを伝えてある。

 その間、別の家政婦さんが必要か聞いていみたら、()()にも蒼汰さんが修学旅行で不在だから、必要ないとの事だった。


偶然ね! 蒼汰さん……。

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