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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 雪の聖夜と恋の行方
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第55話 「クリスマスの雰囲気」

(蒼汰)

 生徒会の活動が始まるとすぐに期末考査が待っていた。

 生徒会としての活動は無いが、折角なので生徒会室で勉強会することに。

 そして、これには嬉しい特典が付いて来た。

 先ずはもちろん美咲ちゃんと一緒に勉強ができるという事。

 俺にとってこれに勝る勉強方法など無い。

 そしてもうひとつは、成績優秀な早野先輩と夏目先輩から個人指導を受けられる事だ。


 先輩達は俺の理解してない事や、間違えて覚えているような事を的確に指摘してくれて、驚くほど分かり易く教えてくれた。

 最近、俺の選択肢を爆上がり中の桐葉先輩からも時々教えて貰えたが、先輩の顔が近すぎて、いい香りがして、ドキドキして何も頭に入らなかった。


 美麗先輩止めて……。リアル女性への免疫無いから倒れそう……。


 会長の伊達君は成績優秀なのでそれほど必要は無かったと思うが、この生徒会役員の特典は非常に有難かった。




 先輩達のお蔭か、期末考査はあまり危機感を感じることなく終えることができた。

 危機感よりむしろ手ごたえがあった気がする。珍しく試験結果が楽しみだった。


 そう言えば国公立の推薦試験を受けていた夏目先輩も合格が決まり、四人の先輩達は晴れて全員進学先が決定したのだ。

 まだ一般受験の生徒も沢山いるので、クラスではあまり騒げず、生徒会室に来て解放感を満喫している様だった。

 結衣や航とも話して、今度お祝いをしようと思っている。


 ----


 数日後、なかなか良い試験結果を受取り、放課後に生徒会室に行った。

 今日は六限目まであったので、美咲ちゃんは来ていない。

 しばらくして、早野先輩や桐葉先輩も来たけれど、今日は早々に帰って行った。

 それから伊達君と少し話をして一人で下校した。


 通学路の途中にある商店街を通ると、どこもクリスマス一色という感じになっていた。

 いつも通っている道だが、まるで別の場所の様に感じる。

 父親は昔からクリスマスにプレゼントは買ってくれたが、特にサンタだった訳でもないし、イブにケーキやフライドチキンを食べる様な事も無かった。

 再婚してからはツリーを飾ったりしていた様だが、俺には関係なかった。

 俺にとってクリスマスは、これまで別に意味のあるイベントでは無かった……。


 今年は美咲ちゃんとクリスマス・イブを過ごしたい!

 そう思うだけで、クリスマスが特別な日になる。


「何処に行っても聞こえてくるクリスマスソング!」


「飾り付けられた華やかなツリー!」


「電飾でキラキラした街並み!」


 その全てがとても楽しい事の様に思えて来た。


 美咲ちゃんのクリスマス・イブを押さえることは出来ないだろうか。

 何とかしたいが、不安要素は沢山ある。

 いや、不安要素しか無いといっても過言ではない。


「あ、その日は彼氏と会うからゴメンね」


 その一言で、俺の夢は全て打ち砕かれるのだ。

 とてもじゃないが、面と向かって誘う事なんて出来やしない。

 でも、誘いたい……。

 いっそのこと、皆で集まってしまうのはどうだろう。

 それだ!

 二人きりでは無いが、それがもっとも無難だ。

 俺にはそれぐらいが限界だ。

 明日、結衣や航と相談してみよう!




 そんな感じでクリスマス・イブの事を、あれこれ考えながら歩いていると、商店街の一角にあるカフェのオープンテラス席が目に入った。有名チェーン店のカフェだ。

 こんなに寒い日なのに誰か座っている。

 服装を見ると、うちの高校の生徒だった。


 こんなに寒い日に物好きだな……。


 そう思ったけれど、別に気にせずに前を通った。

 すると、その生徒があわてて立ち上がり、俺に近づいて来た。

 学校指定のダッフルコートを着てマフラーをしている。

 肩にカバンを掛けて、両手にふたが付いたままの飲物を持っていた。

 寒かったのか鼻の頭が少し赤い。

 それでもりんとした美しさは微塵みじんも損なわれてはいなかった。


 俺の目の前に、桐葉 美麗先輩が立っていた。

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