表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 蒼汰と美咲と来栖ひな
5/186

第5話 「美咲さまを案内」

(蒼汰)

 校門から街まで歩きながら美咲さまと何かしら話した気もするが、夢見心地であまり何を話したか覚えていない。

 そもそも、殆ど結衣が喋り続け、自分は聞いているばかりだったので、美咲さまと直接は話してなかったのかも知れない。

 それに顔を見て話すなんてことを出来る訳もなく、視線が向いていない時にチラリと横顔を見て、こちらを向きそうになると慌てて目線を逸らすという事の繰り返しだった。

 ええ、そうなんです。ヘタレなんです。


 結衣に先導されて、下校時に立ち寄れるコンビニや書店、皆が良く立ち寄るファミレスとかを案内した。

 結局、俺はついて回っただけだけれど、美咲さまと一緒に過ごせたから満足だ。

 それに、結衣が色々質問してくれたお蔭で、美咲さまは隣町に住んでいて、昨日のバス停を使って通学している事が分かった。バス停から学校までは俺の通学路と同じルートだ。

 俺の明日からの通学時間を美咲さまのバスの時刻に合わせるという法案が、俺の全会一致で可決された。

 ああ、明日からは美咲さまと一緒に素敵な通学が始まる。美咲さまをお守りする為に十メートル後ろを歩く俺。いや、五メートルまで頑張れるか。三メートル、二メートル、いやいや一メートル……うひょー!


 案内が終り、昨日美咲さまを見たバス停まで一緒に送った。

 バスが来るまでの間も結衣が話してくれたおかげで、美咲さまの笑顔や美しい姿を沢山見ることができた。結衣に何かお礼をしなくては罰が当たりそうだ。


「結衣さん、上条君、今日はありがとう。明日からも宜しくお願いします」


 軽く頭を下げると、美咲さまはバスに乗り込んで行った。

 美咲さまは乗り込んで直ぐのバス停側の座席に座ると、窓越しに手を振ってくれた。萌え死にそう……。

 美咲さまを乗せたバスがカーブを曲がり見えなくなるまで見送り、直ぐに帰ろうかと思ったら、結衣が正面に立ち塞がり顔を覗き込んでいた。

 これが他の女子なら、慌てて目線を逸らすか訳も分からず謝るところだが、結衣は大丈夫だ。


「蒼汰さあ、もうちょっと話してよね。私がひとりでペラペラ話して、お喋りのお馬鹿さんみたいだったじゃないの!」


「い、いや。そんなの無理だよ」


「はあ? なんで無理なのよ」


「人と話すのは得意じゃないし。女子相手は尚更無理だよ」


「何それ。あたしは女子じゃない訳?」


 おっと、地雷を踏んだ気がする。


「いや、そういう訳じゃ……」


 その後、しばらくキャンキャンと吠えられ、ひとしきりペコペコと頭を下げ続けた。結衣には美咲さまのおしとやかさを見習って欲しいものだ……。




「じゃーねー蒼汰。また明日! 委員頑張ろうねー」


 言いたいだけ文句を言ってスッキリしたのか、結衣は手を振りながらご機嫌で帰って行った。

 バス停から家への道すがら、この二日間の事を思い返してみる。

 真っ先に思い浮かぶのは、彩乃先生の胸元……。もとい、美咲さまの美しい横顔。

 結衣と話すときの笑顔。

 まともに見てはいないけれど、美しい瞳。

 窓越しに手を振る姿。

 萌えが止まらない。


 ──彼女ともっと話したい。もっと知りたい……。

 俺は彼女のとりこになってしまった。

 何と言っても、明日から遠足委員の仕事を一緒に出来る。

 神様ありがとう。本当にありがとう。

 俺は神様を想像し祈りを捧げた。

 もちろん祈りを捧げる神様は、白いひげのお爺様じゃなくて、金髪ボインの女神様だけどね。

 うん、女神様も選択肢からは外せないよね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=489571759&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ