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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 結衣のお胸とライバルと
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第30話 「憂鬱だわ」

(美咲)

 体育祭の前日練習後、彩乃先生から用具を片付けるように頼まれ、結衣ちゃんと蒼汰君と一緒に、楽しくお話ししながら片づけをした。

 三人で一緒に何か作業をするのは、遠足のクラス委員の時以来。

 久し振りに三人で話せて楽しかった。

 最後の用具は、二つのカゴを蒼汰君が真ん中で持って、私と結衣ちゃんに挟まれる様な感じで運んだ。何かの競技をしているみたいで楽しかったな。


 でも、運んでいる途中で「あ……」という感触があった。

 遠足から約一ヶ月。迂闊だった。

 そう言えば、昨日もスイーツ食べたわね……。


 少しくらい大丈夫かな? と思ったけれど、ダメそうだった。

 蒼汰君と結衣ちゃんに、その場を離れる事を急いで伝えた。

 結衣ちゃんには、お腹の下辺りを指さしてメッセージを送ったら、直ぐに理解してくれた。

 ダッシュよダッシュ!


 戻ると、丁度結衣ちゃんが用具室から出て来るところだった。

 顔を真っ赤にして変な顔をしているけれど、どうかしたのかしら?

 用具室の中を見ると、蒼汰君が床に寝転んでいた。

 近づいて、何をしているのか聞いてみた。


「いや、床にてんとう虫が居たから……」


 何だか苦しそうに答えてくれた。

 床に顔を擦り付けてまで、てんとう虫を見たいだなんて。

 さっきもそうだけど蒼汰君はてんとう虫が大好きなのね。

 意外な趣味を発見!

 ああ、でもこのタイミングで体育祭かぁ。

 腰が痛くなってきた。憂鬱ゆううつだわ。


 ----


 夕方、徐々に腰が痛くなるのを我慢して、バイトに行く準備をする。

 今日は夕食の食材とは別に、明日の蒼汰さんのお弁当の食材も買わないといけない。

 重たい荷物を待ちたくない時に、小さなキャリーケースを持って行けば良い事に気が付き、今日はそれを持ってお買い物へ。

 でも、買い物用じゃなくて旅行用のだから、見た目も相まって更に変な人に見えるかも。

 この姿は私じゃない。この姿は私じゃない……。

 心の中でそう唱えながら、スーパーからの道をゴロゴロと音を立てながら歩き、蒼汰君の家に到着。


 今日の夕食は親子丼とお吸い物と野菜サラダ♪

 明日のお弁当は、やはり傷むのが心配なので、おかずは筑前煮とひじきと切干大根。

 見た目が地味過ぎるけど、仕方が無い。


 朝に作って渡せるのであれば、卵焼きとかタコさんウインナーとかウサギのリンゴとか、もっと華やかな見た目のお弁当にできるけれど、時間的に無理だから保存の効く料理中心になってしまう。


 おにぎりには小袋入りのふりかけを付けた。

 梅肉がちりばめられているから、味が微妙になるかも知れないけれど、せめてそれでいろどりを加えてね。

 ごめんね、蒼汰さん。


 今日も蒼汰さんのお父様は帰りが遅いので、蒼汰さんは食卓で夕食を食べた。

 お父様がいらっしゃる時こそ一緒に食卓で食べれば良いのにと思うけれど、そういうのは何か違うらしい。


 食事中にお腹を痛そうにさすっていたので、食事が原因かもしれないと思って聞いてみたけれど、学校で転んで打っただけで大丈夫だというので、ちょっと安心した。

 でも、蒼汰さん今日転んだっけ? 放課後かな?


 ----


 家に帰って、私も親子丼を食べた。

 お弁当のおかずを少量作るのは無駄なので、蒼汰さんのお父様の夕食は蒼汰さんの明日のお弁当とほぼ同じもの。

 自分のお弁当の分も少し貰って来た。

 後は明日の朝に適当に野菜と冷凍食品とかを入れれば完成。

 一息つくと、お腹と腰の痛みが一段と酷くなって来た。

 シャワーをさっと浴びて早く寝よう。


 翌朝、分かってはいた事だけど、きつくてなかなか起き上がれない。

 しばらくは体が重たく感じて、ぐずぐず動けないでいたけれど、お尻が冷たい事に気が付いて飛び起きた。慌てて掛け布団をめくる……。


 朝っぱらから、シーツやら何やらかんやらを洗濯機に放り込んで、またシャワーを浴びてから支度を始めた。

 鏡に映る酷い顔。この青白い顔をした女は誰? 眼の下はパンダみたいになってるし。

 今朝の私は変装した来栖ひなにも匹敵する不気味さね。

 髪をかすのも億劫おっくうだから、いっそのことあのウィッグを被っていこうかしら……。

 ファンデーションで眼の下のクマを薄くして、日焼け止めをしっかりと塗って、一応準備完了。


 体育祭。大雨で中止にならないかしら……。

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