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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 結衣のお胸とライバルと
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第29話 「ポッチさんこんにちは」

(蒼汰)


「じゃーん!」


 体操服を脱ぎ捨てた結衣は、俺の前に仁王立ちになり胸を張った。

 何か下に落ちたが、知った事では無い。

 結衣の胸部から目が逸らせなくなってしまった。


「蒼汰のバーカ。残念でしたー! 下にちゃんとTシャツ着てるし、その下もちゃんとつけてまーす!」


「……」


「蒼汰君は何を期待してたのかなー? 馬鹿ね。残念ー!」


「……」


 そう言われてもなお、俺は目を逸らせなかった。

 対象の胸部中央から三時と九時の方向に起伏あり。よし!

 対象物の上下方向への揺れ確認。非常に危険。よし!

 よし!


「……ちょっと何よ。何をいつまでも胸をジッと見てんのよ!」


 結衣に殴られても仕方が無い。

 でも、これは男として見逃してはいけないのだ。

 汗ばんだTシャツに浮かび上がる胸のポッチを……。

 例えそれが気にならないはずの結衣のであったとしてもだ。

 そんな夢のシチュエーションを見逃すものか!

 くそっ! 結衣が選択肢ランキングを一気に駆け上がって来た。

 明日は体育祭だけど、今夜は簡単には眠れねぇ。


「蒼汰、何? 何をいつまでも……」


 俺の視線に異変を感じたのか、自分の胸元を見る結衣。

 そこで初めて自分の状況を把握したようだ。


「えええええー! 何でー!?」


 慌てて胸元を隠し、Tシャツの首から中を覗き込みながらキョロキョロしている。

 結衣の胸元が隠れて『ポッチさんこんにちは』が終り、俺も少し冷静になった。

 上半身だけはね……。

 慌てる結衣を見ながら、体操服を脱いだ時の事を思い出した。


「結衣、さっき何か落ちたぞ」


 何か落ちたのを思い出して、結衣の足元を見る。

 結衣も体操服を胸に当てながら自分の足元を覗き込んだ。

 二人の目線の先に何かあった。

 そこには、肌色をしたゴムの塊が二つ並んだ様な見慣れぬ物が落ちていた。


「あ、嘘! 信じられない。何で? 汗?」


 結衣は急いでそれを拾うと、俺をひとにらみして脱いだ体操服を慌てて着始めた。

 名残惜しかったが、流石にこれ以上は『大型テント解体工事』の為、俺が立ち上がれなくなる。いや、もう既に立ち上がれないがな……。


 結衣が体操服を着終わった。残念だがお楽しみ会はここまでだ。

 でも、結衣の見かけが何か変だ。


「……結衣。体操服裏返し」


 確認して裏返しに着ている事が分かると、再び俺をにらんで体操服を脱ぎ、裏表を直して急いで着始めた。俺は二度目の『ポッチさんこんにちは』にちょっと胸が高鳴る。

 再び結衣が体操服を着終わった。


「ゆ、結衣。前後ろ逆……」


 『殺してやる』と言わんばかりに俺をにらみ、また体操服を脱いで、今度はちゃんと確認しながら体操服を着直した。俺は三度目の『ポッチさんこんにちは』に心から感謝した。

 うんうん。結衣ありがとう。予は満足じゃ。


 結衣はつかつかと俺の前に来ると、目の前にしゃがみ込んだ。

 顔が真っ赤だ。流石にビンタぐらいは覚悟した。


「蒼汰。こっち見んな。変態!」


 いきなり強烈なボディブローをお見舞いして、プンスカと用具室を出て行った。


「うぐぐぐぐ……」


 見せたの、お前じゃん……。

 不意打ちのボディブローに、悶絶もんぜつして床に倒れ込む。

 遠くの方から美咲さまの声が聞こえて来た。


「あー、結衣ちゃんお待たせー。ごめんねー!」


 お迎えしたかったが、苦しくて動けない。

 頬を用具室の床に擦りつけたまま、動けないでいた。

 その時、視界の端に何か動くものを感じた。見ると床に小さい何かがいた。

 用具室の床を赤いてんとう虫が歩いていたのだ。

 神様分かりました、これは天罰なのですね。

 美咲さま以外の女性に劣情を抱いてしまった、わたくしめへのお叱りなのですね。

 今後、肝に銘じて生きていきます……。

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