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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 結衣のお胸とライバルと
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第25話 「体育祭の練習」

(蒼汰)

 十月に入り、体育祭の練習が本格的になってきた。

 まあ、体育祭の主役は応援団と運動部だ。俺には関係ない。

 鍛錬遠足が終わると、遠足のクラス委員の活動も終了なので、美咲さまと過ごす幸せな時間が無くなってしまった。

 結衣と美咲さまが話している時に、時々口を挟むくらいしか出来ない。


 何か一緒に出来る事は無いかと探してはみたが、応援団は男女共に夏前にはメンバーが決まっているし、体育祭実行委員もとうの昔に決まっていて、体育祭に関しては今更参加できる役目は無かった。

 もちろん、美咲ちゃんと一緒じゃない限り、そんな面倒な役目はやらないけどね。


 体育祭が近づくと、午後の授業が体育祭の予行練習に変わる。

 全体練習が終わった後も、男子応援団の演舞と女子応援団のダンスの練習はナイター設備の消灯時間まで続いているらしい。

 噂によると、その後も近くの公園に行って、街灯の下で練習をしているそうだ。

 彼らは『青春真っ盛り』という感じだ。

 まあ、俺には関係ないが……。


 体育祭は、応援団長の男女が各組のリーダーで、その号令の下に団員が他の生徒たちをまとめていく。

 そして、参加するだけの生徒は、団員や実行委員の雑用係と化すのだ。

 特に他の委員会活動とかが無い俺とかは、格好の雑用係。

 日々体操服姿の女子を眺めて過ごすだけだと思っていたのに、面倒なことこの上ない。

 まあ、役目の無い生徒の内の一人に美咲さまがいるから、時々一緒に雑用ができて有難い時もあるが……。

 かといって、美咲さまと二人きりで人目の無い体育倉庫に行くなんて事も無く。

 ましてや、二人三脚のひもが取れなくなって、取ろうとしているうちに転んで、マットの上に重なって倒れこんだり、偶然手が胸に当たっていたり、とかいうイベントは発生しない。

 現実とは残酷なものだ。


 毎日疲れ切って帰宅し、来栖さんの美味しいご飯を食べて、ちょっと元気になって、部屋で過ごしているうちに寝てしまう。そんな日々の連続だ。

 来栖さんとは、遠足の日に話をしてから急に口をきいてくれない日が続いたが、何日か経つとまた話す様になった。

 俺と話すときに、何となく『上条さん』は言い難そうにしていたから、

 蒼汰でいいと伝えたら、最近は『蒼汰さん』と呼んでくれるようになった。


 来栖さんの容姿は相変わらずで、服装も地味なままだ。

 あまり凝視はしてないけれど、お顔の方は相変わらず怖くて「不細工」というか、正直に言うと「ブス」だ。

 おっと、失礼……。


 とは言っても、顔の輪郭の大半は髪の毛に隠れているし、ヘンテコな眼鏡のせいで眼は殆ど見えない。本当はどんな顔なのかは分からない。

 体型も確かアバヤとかいう服で、殆ど体のラインが見えない様なデザインなので、スタイルが良いのか悪いのかとかすら分からない。

 結局、全てが謎のままの人だ。


 でも、話すと真面目で良い人で、驚くほど仕事熱心。

 他にも色々な事を気遣ってくれるから、全然嫌いじゃない。

 むしろ、結衣の他に初めて普通に話せる女性ができた感じだ。

 まあ、大分年上だし、容姿も含めて女性として意識していないからかも知れないけれど。

 こんな事、本人に知れたら呪い殺されそうだけど……。

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